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人ってほぼ感情で出来るんだって。

初投稿です、お手柔らかにお願いいたします。

幼い頃、交通事故にあった。




何歳かなんて覚えていないけど私を車で轢いたクソ野郎は飲酒運転だった。生きていたのは奇跡だと、逆に何故生きているのかわからないと、親が医者に言われたらしい。




今日も普通に起きて、ご飯を食べて、学校に向かう。それが出来ているのは奇跡である。数人でお喋りしながら歩いている女子高生の後ろを1人で歩く。だって朝から待ち合わせして友達と話すことなんてないじゃない、いや今はそんなことどうでもいい。



私の横に高身長の男性がすっと寄ってくる。目を合わせたわけじゃない、影で気づいただけである。




「おはようございます」



「おはよ〜、前の奴ら4人横並びとか迷惑じゃね?潰す?」





なぜ私は生きているのか




心当たりがあった。


私はある死神に生かされている。






「朝から物騒なこと言わないで貰えますか」



「なあんでよ、お前もイライラしてたでしょ?」





馬鹿でかい声で愚痴をもらす横の男は制服なんて着ていない。黒いスーツで、髪は明るくて、謎に綺麗な顔をしている。





「だからもう来るなって何回も、!!!!」





私がそう声を荒らげた瞬間、前の女子高生が振り向く





「え、誰と話してんの」


「独り言、、?関わっちゃいけないタイプじゃん」


「早く行こうよなんか怖いし笑笑」





あぁ、またやってしまった。




「また変な人だと思われちゃったね、?笑」



「マジで黙ってください」



「そんな口の利き方していいのかなあ?」





ケラケラ笑いながら横に立っている彼は目の前の女子高生には見えていない。いや、普通の人間には見えない。



何故なら、私を死の世界に連れていこうとした死神だから。






「だったらさっさと殺したらいいじゃないですか。もう生きたいなんて思ってません、」



「でも事故のとき契約結んだんじゃん。ほらこれ。」



「そんなの子供だったから、、ってなにそれ」



「この世界で言うーーーあーーー、わかんないけど書類!!」





目の前にパッと差し出されたのは紙のような、データのような物体。







"死神12 特別任務"


"人間界調査のため既に亡くなった松村哀の霊として取り憑くことを命じる。その際実体を生き返らせても構わない。期限は対象人間が20歳の年までとする。"









「破棄は」



「無理ンゴ」








どこが死神なんだよと思ったが、これを知ったのは物心着いてからで、数年前まではこいつのことをただの妖精だと思っていた。なんか生まれつきそういう力があるのかなーとか、馬鹿馬鹿しいな、。突然カミングアウトされたときは驚いたけど事故の記憶はあったもんだから自分が死んでいたかもしれないことはすぐに理解出来た。




「てか人間界の調査って何するんですか結局。貴方毎日遊んでるだけじゃない」



取り憑いてるわけだから私の遠くにはいけないし、実体無いから何かをすることも出来ない。でも一応死神の能力として望めば人間の実体に触れることはできるそう。毎日私が6時半に叩き起されてるのも原因はこれ。




「いやー、ね。元々調査はしなくちゃいけなかったんだよね。ここ数年人間で人生終了した人が俺らの世界に戻ってきたとき、"怨み"が凄くてさ」



「人間が終わったら、次は別の世界に飛ばすわけだけど、例えば死んだときの感情が強すぎると上手く世界転換できないわけ。」



「へえ、」




興味なさそうだね!!んはは!!!と笑いつつ、話を続ける彼。既に校門に着いてしまってるけど、少し気になってしまって足を止めている。




「普通はさ、あー終わった!!お疲れ様!!って感じで迎え入れるんだけど、人間界から戻った人は"殺意"とか"後悔"だとかそういうものを残したまま来る人が多くてね?だから面倒臭いし偉いやつがそんな世界いらないだろーーって言ってて、地球無くす計画があるのね」



「今すぐ消せよって感じなんですけど」



「まあまあ、事情ってもんがあるでしょ?とりあえず人間どんな感じで暮らしてんのってことで俺が観察してるわけ」



「ちなみに俺の今の姿も人間に合わせてるだけで、言語も適当。だからあんまり難しい言葉はわかんないよ!!」



「アホなだけかと思ってました」



「んえ、酷」





1度人を生き返らせたってだけでどれだけこの男がヤバいのかは伝わっていたけれど、まさか地球が無くなりそうになっていたとは。人生既にオワコンな自分からしたらどうでもいいけどだったらこいつもう少し真面目に考えた方がいいんじゃないか、って心配になる。




「だから哀ちゃんの生活をモニターみたいな感じで見てるわけなんだけど、お前1人すぎてつまんないよ」



「悪かったですね友達いなくて」




話が逸れてきたので話し出した彼を無視して下駄箱に向かう。どうせ着いてくるけどHRが始まったら消えてるのがいつものルーティーン。何しているのかは知らない。




「学校行って帰ったと思ったら社蓄だろ?お前あと3年しか生きられないのに勿体ないよ。」




「それ貴方が言って大丈夫なやつ?」




「こんなに毎日死にたいと思ってる人間初めてだからさ、可哀想だと思ってやってんの」





...心配してんのかしてないのか意味がわからない。


私が席に座ると前の席に腰をかけてこっちを向いてくる。そのうちどうせ前の人が来てこいつに気づかずに座って二重になって「うわ気まずい」とか言い出すんだろう。





「まあでもこの頃はそんなにかもしれないですよ。 サヤさんがいたら毎日飽きないですしね、色んな意味で」




「マジ?恋愛する?」




「……は?」




「だから付き合う?って」




「意味わかんない。やっぱ貴方1回死んだ方がいいですよ」




「哀ちゃんこわい!!!」





そう言ってるうちに案の定前の席の人が来て追い出されている。舌打ちしてぶつぶつ呟く彼。聞こえてないからって文句言うなよ、、。


あぁ、えっと、サヤはこの人の愛称らしい。名前は無いんだって。





「今日も長いなぁ、、」






見ていただいた通り私には友達がいない。陰キャってやつ。


だからこの死神が唯一の話し相手であることも事実、否定することは出来ない。




私が高校三年生で17歳だから残された時間はあと3年。




どう生きようがどう死のうが、何をしようが、結局3年なのだ。でも先を考えなくていいのは結構良いもので、20代の自分なんて考えたくなかったからそんなに寂しくは無い。





生きる目的なんて無い。



生きたいなんて思ったことがない。





それを探し始めたら終わりだとか、それを見つけるのが人生だとか、そんなことは聞いていない。







「せっかく人間なんだからさぁ、もっと楽しく生きたら??」





「それができたら苦労してないですけどね」







貴方が私を生かしたならば、私に教えて欲しい





人間で生きることの幸せを。

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