聖女は今日も憂鬱
読み専が深く考えずにただ書いてみたくなって書きなぐった初めての拙い文章です。書き方、使い方も分かってませんので、皆様のお目汚しになるかと思いますが温かい目で見ていただけると幸いです。
展開もオチもなく、ざまぁもありません。
誤字脱字はたくさんあると思いますがスルーしていただけると助かります。
「聖女様」とは「神聖」で「聖なる人」というイメージ。
「清廉潔白」「癒し」「慈愛と博愛の精神をもつ」方であり、「美しく」「穏やか」で、場合によってはとてつもなくスタイルの良い高位貴族。(たまに平民もいる)
というのが世の中の常識であり、通例。
あとは祈りを捧げることによる病気や怪我の治癒や回復・体力の向上、結界張ったり、天地を平穏にさせることが出来る神に仕える女性かな。
私が今いる世界でも、「聖女様」はいらっしゃる。もちろん「大聖女様」も。
そして「私」も「聖女」の1人だ。
ただし、「私」が今生活しているこの世界。聖女とはある意味職種の名称なのだ。
「私」の名前はアスカ。15歳。アスカ・ライスガーデナー伯爵令嬢と言う。家はライスガーデナー伯爵といい、広大な農作地帯を領地とする中堅貴族で、家族は父と母、年の離れた兄が2人と姉が1人。私は4人兄弟の1番下という立ち位置ではあるが実は養女だ。
他人行儀な自己紹介だが、実際血の繋がりはあるものの親は実父母では無い。ん〜と、私の父が伯爵の弟なのだ。国の中央に兄夫婦が居を構え、国の中枢のお役人。弟が地方の領地を護る領主。2人兄弟でライスガーデナー伯爵家を盛り立てるように頑張ってたらしい。そして貴族にしては遅い結婚をした父と侍女だった母は数年前に隣国へ農業の視察にいって勉強中。
となると今、領地を治めているのは誰?となるが、私の年の離れた長兄(義兄)が伯爵家の後継者として頑張っているらしい。ニイ様がんばれー(棒読み)
では、実の両親が生きているのに、なぜ私はついていかずに、縁組までしてこの国に置かれているのかと言うと、十歳で全国民が受ける適正検査で「聖女」と分類されたから。
適正検査はこちらもよく聞く話だろうが、地域地域に置かれた教会で十歳児は集められ、神に祈りを捧げた後、神父の前で一人一人水晶に手をかざす。で、白く光れば「聖女」に適性がある。
ここでは、適正が出たものは週一回教会に集められ聖女教育を受け、またその中での適正によりどの分野の聖女として成長させていくか決まるらしい。そして聖女適正がでる女児は多い。
はぁ。説明がドンドン長くなっているが、聡い方なら気づくいているだろうが、私は「転生者」でもある。
日本って国の普通の主婦だったし、別に不幸な死に方もしてないし、多分天寿も全うした。
ただ、転生モノや召喚モノ、悪役令嬢や婚約破棄話を好んで読んでいた、ホントにただの主婦だ。
だから、この世界で生きていく上で「聖女」なんて立場にはなりたくなかった。
だって、私の知ってる貴族で聖女って、婚約者が王族や高位貴族だと、学園卒業間近で「平民」で「急に」聖女の力に目覚めた子が婚約者に近づいてきて、やってもいないイジメや罪を被せられた挙句、婚約破棄からの国外追放や死刑にさせられる。もしくはざまぁ展開で逆転劇が発生するってことが多い。
あとは魔王退治のために異世界から召喚された勇者と苦楽を共に魔物・魔族退治するか、冒険者になって聖魔法使っての回復や向上、あとはスカル系の魔物退治のあげくリーダー巡って女の争いに巻き込まれ…とか?
はぁぁ。考えるだけでめんどくさい。
***
「おはようございます」
「おはようございます、アスカ嬢」
今日も今日とて聖女教育のため教会に向かう。講師である神父と挨拶を交し、神に祈りを捧げた後、週一回のお勤めの1つ、水晶に手を掲げ、相変わらず白く光る(聖力というらしい)事を確認され、年代別、能力別に各部屋に分かれて勉強だ。
基本の勉強と呼ばれる「国語」「算術」「歴史」や、貴族社会の知識は週四日通っている学園で学ぶので、教会で学ぶことは自分がどの分野の聖力が強いのか、その能力を正しく使うためにはどのようにすれば良いのかだ。
魔力や魔素で魔法が使えたり、精霊のチカラを借りて色々できる世界かと思いきや「神」がいて「聖女」認定の「聖力」があるにもかかわらず、ここの「聖力」の原動は「聖女の生命力」なのだ。無理をすれば自分が…てことになってしまう。だからこその力の使い方を学ぶ為に教会で学ぶのだ。
私が読んでた世界とは違う!!
違いすぎる~~~!!と喚いてしまった私は悪くないと思う。
そして、そんな私の聖女適正能力は「農地平穏」と「守護」。補助能力は数えたけど覚えてない。なんか色々細かいの迄あった気がする。これってチート?でも、その前に全能力使ったら私の命尽きません??
本来なら適正した能力が1つあって、それに近い能力が補助能力として2つくらい。
例えると「回復」に適正能力だとすると「治療」「癒し」辺りが補助能力。
この場合、学ぶのは怪我の治療法やその後のケアの仕方だったり、心のケアや安らぎのための声掛け等。
ものの数秒で怪我が治るということは魔法の世界だけ。この世界では祈りの力で本人の病気に対する抵抗力等を向上させるのだ。あとはキチンとした治療と心のケア。
こんなの医師や看護に適性がある人に任せればいいじゃないか!聖女の仕事じゃないだろうって意見もあるけど、医師や看護に適性がある人はかなり少なく中央には集められるけど地方にはね…ってこともあるし、「聖女」ってだけで崇められるし、癒しの能力があれば地方に渦巻く中央への不満や隣近所のストレスを聞いてあげたりできるので国の目が届かない地方に聖女を置くことで国の安定にも貢献していたりする、実は大変な職種なのだ。
***
「アスカ、いますか?」
私が脳内説明している間に、今日の学び時間は終わっていたらしい。
他能力の学びをしていたお義姉様が迎えに来てくれた。
「姉様、ちょっとだけお待ちいただけますか?」
そう一言返して、今日使用した文具を慌ててしまい席を立つ。
タタタッと駆け寄ると、姉様はあまり走っては危ないわよとやんわりとたしなめてくれる。
私はライスガーデナー伯爵家に養女となって良かったと思えることの1つは家族関係が良かったことだ。
実父母はもちろん大好きだが、聖女の適性がわかった時に国の決まりで他国に行くことはできなくなった私。両親は隣国へ農業勉強が決まっていた為に1人置いていかれることが決まったのだが、前世のおばさんだった記憶があっても、今の世界ではまだ十歳。納得出来ずにグズる私をなだめ、慈しみ、何日も何日もかけて寄り添ってくれていたのが姉様であり、今の父であり母なのだ。
いくら仲の良い伯爵家兄弟であった父と実父だとしても、やっぱり実子との差は出てくるだろうと思っていた。が、預けられた私が過ごした時間は多分実父母よりも濃い関係では無いか?と思うくらい仲良く、楽しく、優しいけど、令嬢としての教育も聖女としての学びも厳しかった。
厳しい一点張りじゃなく、フォローも凄かったけどね。
そんな大好きな姉様と並んで歩きながら、今日の学びの話を互いに報告する。
姉様の適正能力は「癒し」
回復がメインでは無いので、治療などは補助になるらしいが、傾聴する能力やマッサージ等を学んでいる。
柔らかい微笑みと、優しい声、所作も緩慢なわけではないのに柔らかくでも優雅で。観ているだけで心穏やかになるのだ。
今日も姉様に癒されたい民が私たちを待つ馬車を遠巻きにしている。姉様を女神と崇めているのだろう。うん。崇めてもいいと思う。それくらい姉様の聖女の力は強いんだから。
「みなさま、今日もお疲れ様です。
また来週もお仕事頑張ってくださいね。」
馬車に乗り込む前に民の前に立ち、にこりと微笑んで声をかける姉様に「ほぉぅ」と感嘆が溢れる。
そうだろそうだろ。姉様の癒しのチカラは私なんぞのチカラとは違うのだ!
そんな姉様の癒しのチカラに魅了された輩が姉様にフラフラと近づいてくるのが私の憂鬱の1つ。毎回毎回どうしても姉様の癒しに呑まれてしまい、魅了化されてしまう人がいるのだ。
私は姉様の隣でにこにこしながら姉様に何事もおきないようにまず「守護」の能力を展開し守りを固め、自分や従者、馬車に被害がいかないように「護りのバリア」を展開。
癒されにきただけの民にも被害が及ばないように、そして変に近づいてこないように「バリア」で保護し、近づいきた輩を「捕獲」する。
捕獲して教会の守衛をしてくれている騎士の元に送るまで数秒どころか瞬きの間もないくらいなので、気づいてない人も多いだろうけど、こんだけ何回もあるんだからも少し護衛付けろって言ってんだけどねぇ…私が隣にいる以上使えない護衛が近くにいる方が邪魔と姉様と両親から言われてしまえば、家族大好きな私としては「任せておいて!」と鼻息も荒く返事をするのは分かりきっていたこと。
もちろん、聖力発揮するには生命力使ってるけど、使命感に燃える私には少量どころか全く生命力を使ってないレベルなんだけどね。なんだけど、姉様に魅了されちゃう民がいるという時点で鼻高々ご自慢タイムであり、姉様が私だけの姉様じゃないと自覚させられる憂鬱タイムでもあるのだ。
今日も姉様を護れた♡とるんるんした私が、伯爵家に着いた途端に憂鬱な事が増えてイッキに機嫌が悪くなるのは姉様の婚約者と、何故か毎日会いに来る私の婚約予定者のせいなのはまた今度。
お読みいただきありがとうございました。私を取り巻く人々と憂鬱事が増えたらまた書きたいと思います。その時はまたお読みいただけるように精進いたします。