7,現場検証、3
ニッカが戻ってきていた
怯えた様子のアルバートに
なぜか機嫌がよいニコンを不思議に思うも
お茶を入れて、作戦会議へと突入した
「第2王子は生きてますか?」
「知らん」
「1週間では手遅れって言いませんでした?」
「確かに血の匂いはあったが、獣の血の匂いもした
あの場で何があったかまでは、わからん。私は超能力者ではないからな
事件後すぐならまだしも、片付けられた後
それも1週間も経っていたら追跡はまず不可能だ」
「血だまりとは・・どういったことでしょう?」
「刺されたのか、捜査をかく乱するための獣の血か、あるいは獣に襲われたか・・」
「ちょっとそこのポンコツ王子!!聞いてるんですか?」
アルバートは耳栓をして、新聞に夢中になっていた
「いや・・こいつはなしだろ。これか、でも以前もこれにしたから」
ぶつぶつと賭け事の表とをにらめっこしているアルバートに
ニッカは声をかけるも、全くアルバートには届いていなかった
ニコンがアルバートの目の前にしゃがみ込むと両手でアルバアートの顔を包み込む
ヒヤリとした冷たさを感じたアルバートは顔を上げる
「ちょっ・・触らないで!!」
「どこのうぶだ。その反応」
新聞を手放し、ニコンの手を払うアルバート
ニコンから逃げるようにかなりの距離をとる
「どうしましょう・・もし手遅れだっだら?」
ニッカが青ざめた顔をする
「天才調香師、ニコン・カーター」
アルバートはニコンを見て名を呼ぶ
「お願いします、助けてください・・借金チャラがかかっているんです」
ニコンの前に膝をついて項垂れるようにして座るアルバートはまるで子犬のようだ
ニコンは無表情だが、アルバートに名を呼ばれたことが嬉しかった
「まずは、王室について聞きたい」
ニッカが机や壁に紙や地図を広げ出していた