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調香師 ニコン・カーター  作者: 間宮沙紀
7/8

6、現場検証2


さっと足早に部屋を通り抜け

奥の寝室へと足を踏む入れるニコン


広い部屋、大きな窓はカーテンで閉め切られ

一切乱れのない整えられた部屋には

チリ1つない完璧な部屋がそこにはあった


ニコンがカーテンを開ける

窓に手に掛けベランダとなっている場所に出た


「あんたら、なんとも無いのか?」


大きく息を吸い

口元に手をあて大きすぎるベランダから

部屋の方を見るニコン


「何があったのですか?」

「血の匂い、それと呪詛・・」

「呪詛??血???え??

報告では第2王子が連れ去れた際にはそのようなことはなかったはず・・

ねぇ!アルバート様」

「この血の量だったら…1週間経っている・・追跡は不可」

「え???もう間に合わないってことですか???」


焦ったニッカはアルバートの体を揺する


「どうするんですか!もし間に合わない状況どうなります?

私もあなたもただではいられないですよ!!」


体を揺すられながらも、言葉を発さないアルバート


「血の匂いなんてしないけど?」


口を覆う布にさらに手を当て、ニコンが再び部屋へと戻る


「ここ、この場所に血だまりがあったはずだ」


ニコンが指をさすとことには何もない

絨毯がひかれ、匂いもない

もちろん清掃済だ

アルバートは絨毯に這いつくばるような態勢で確認するが

やはり何も分からなかった


「この花瓶、壁面、枕、カーテンすべて邪念が籠っている」


あちこちを指さすニコンのいうところを調べてもアルバートには何もわからない

ニッカも首をかしげていた


「あんたたち、誰に何を聞い・・」


ふらっとニコンが突然意識を失って倒れこんだ

音もなく一瞬の出来事だった

床に倒れこみ、動かないニコンをアルバートが揺する


「おい!!カラス!!どうした!!」

「ニコンさん!!!!!!」


息はしているし、脈も確認できた

しかし、呼びかけには応答しない


アルバートがニコンを横抱きにして運ぶ


「俺の部屋へ運ぶ!急いで、侍医を呼んでくれ」

「かしこまりました」



ニコンが目を覚ますと、知らない天井が映った

いつもの見慣れた茶色の木でつくられた天井ではない

白い壁、煙草の葉に似た香りがする


「起きた!!大丈夫か?」


目の前には黒い髪、青みかかった黒い瞳が心配そうに

こちらを見ている


目の前に手が伸ばされるのと同時に、その手を反射的に払いのける


「触るなっ・・」

「はっ・・ここまで運んでやったのに。そういう事言う?」


ぎゅっと自身の服を掴むと小さな声で謝る


「・・すまない」


体を起こすとフードもない、マスクもなかった


「ここは??」

「俺の家」


今いるのは、こじんまりとしたベッドの上

あたりを見渡すと、テーブルや椅子

ごちゃとした中に整頓されている雰囲気の日常生活品たち

確かに、生活しているのがわかる

しかし、城の雰囲気とはまるで違う

それどころか

王子が生活しているとは思えない部屋だった


「あんた・・どういう立ち位置なの?」

「なかなかいいでしょ?俺の城は。さっきいた城の外にあるんだ。俺だけの最高の城さ」


くしゃっとした笑みでアルバートは笑う


ニコンは気づいた

普通は、他者のベットにいること自体無理なのだ

ましてや、生活しているであろうこの場で

フードもマスクもない状況で話せていることが

あり得ないことで

よりアルバートという存在の興味を引く


ベットから立ち上がり

となりの小さなテーブルと椅子のある場所に座る


「もうすぐ侍医が来るはずだけど、大丈夫なの?」


2脚ある不揃いの少し背の低い目の前の椅子に、アルバートも座る


「大丈夫、匂いにあてられただけ」

「そんな匂い感じなかったけどな」

「ポンコツ王子・・天才調香師ニコン様をなめるなよ」

「お待たせしました!!!」


息をきらせて、老侍医を背におんぶしたニッカが部屋へと入ってきた


「もう起きてた」


アルバートは手でもういいから帰ってというようにニッカへと伝える


「え~~~!!ここまで遠いのに、また戻れと?」

「ごくろんさんでした」


ニッカはニコンに大丈夫かと確認し

元来た道を老侍医を背負ったまま戻っていった


ニコンはテーブルに肘をつくと手をアルバートの右頬にあてる


「あんたのこと知りたい」

「はぁ??」

「私のこと怖いくせに心配してくれんだね」

「……」


狼のような灰色の目

月の妖精かと思うほど白く輝く白銀の髪

警戒心が強く触らせないのに、自分からは簡単に触ってくる

獲物を狙っているようなニコンからアルバートは距離をとる


「近づかないでください」


その様子を見て楽しむニコンは、悪魔のような微笑みを浮かべていた










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