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調香師 ニコン・カーター  作者: 間宮沙紀
3/8

2、幽霊?月の妖精?

ニッカは麻酔薬が効いてきたのか

眠るようにして動かなくなった

でも呼吸はしているし、顔色もよくなっている

アルバートはニッカの側でソワソワとしていた


もし刺客がまた来たら、手負いのニッカを抱えて戦えるだろうか

ニッカを失いたくない気持ちと焦りから周りへの木の配り方が過敏になっていた

霧の中から一人の人物が現れた

薄茶色の髪が肩に付くくらいの長さで前髪が長く

ウェーブかかった後ろ髪は赤いリボンでひとまとめにしている

チェック柄のベストの上に白衣を着ている


「あら、本当にニッカじゃないの」


ニッカの知り合いだろうか

顔をみて様子を伺い、体を起こす


「移動するから、運んでちょうだい」


馬に乗せるのは傷が開く恐れがあるからそっと運ぶように言われ

その人物が持ってきた担架に乗せ

アルバートとその人物で頭と足を持つようにしてニッカを運んだ


「ここは?」


森の中に隠れるようにひっそりと小さな家があった

その一部屋に運びこむと、天井には草が干されていたり

ところかしこに草や鍋や本が雑だが、整頓されてびっしりある異様な部屋だった


「私の家よ」

「助けていただいてありがとうございます」

「さっきは、うちの娘がごめんなさいね。ニッカから連絡きていたから来る頃だとおもったんだけど

まさかこんな状態になっているなんてね」


ベッドに横たわるニッカの腕に針を刺す、そこから管をつけ

薄緑色をした液体を時間をかけ流し込んでいる

そのおねえ口調で話す男はサンドラと名乗った


「サンドラさん、その娘ってのは誰の事です?」

「あら、さっき会ったでしょう?ニコン!そっちにあるニルギリ持ってきて」


ニコンと呼ばれた人物がちらりと顔を出す

黒いフードを被ったさっき応急処置をしてくれた人だった


「カラス!!!」

「え?カラス?」


ニコンはニルギリを届けるとさっといなくなった


「ああ、ニコンをカラスって呼んだのね・・」


サンドラはクスクス笑っていた


「お茶どうぞ」


いい香りのするお茶を出してくれた


「訳ありなのは、様子を見ればわかるわ。少し落ち着て、今日はここにいていいから」

「ありがとうございます」


アルバートはお茶を飲んだ


「あつっ」


猫舌だったアルバートは冷めるまで待つことにした

ニッカはまだ目が覚めまない

何かあったら呼んでとサンドラに言われ、アルバートは血のついたマントを洗おうと外へ出た

外は暗くなっていた


湖が近い

森の木々がさわさわと揺れる

刺客がいないか神経を研ぎ澄ませて外へと出たアルバート

月が出ていた

森と湖しかないこの場所ではあたりは真っ暗で

月の光と空に瞬く星だけが幻想的に輝いているようだった

湖まで来て、マントを洗おうとしゃがみ込むと

湖の中に月の光で輝くような白い髪の女がいた

白い1枚のワンピースで水の中にいるその後ろ姿は消えてなくなりそうなくらい透明感がある

一瞬見えてはいけないものを見てしまったのかとアルバートはぎくりとした

よくよく見るとしっかりとしたシュルエットがあり

ゆっくりとこちらを向く

長い腰まである白い髪に灰色かがった青い瞳

月の光に照らされたそれは


「狼?」


アルバートは人とは思えない、その美しい姿にみとれていた


「ジロジロと見てんじゃねぇぞ、この変態」


姿からは想像っも出来ない言葉が出てきた

こちらを見るその女に

度肝を抜かれたアルバートは文字通り固まる


腰の高さほどある湖をざばざばと水をかき分けるようにして

でてくると岸においてあった黒いローブをさっと羽織ると家の方法へと歩いていった


「え????」


アルバートは何が起こったのか、夢をみているのか

現実なのか自分の頬を強く引っ張るのであった


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