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22/50

21:00

はぁ、疲れた。


仕事がやっと終わり、一人駅に向かっている。

街は色めき立っていて、友達と楽しそうに過ごしている人たちや、恋人たちがわらわらといる。


なんでそんなに浮かれてるんだろう。

ただの1日なのに。


まあ、雪が降ってるからだろうな。

雪が降るとテンションが上がるのはわかる。

俺も子供の時からそうだった。


だけど、積もらない雪を見ると悲しくなる。


あれは一年くらい前になろうとしてる。

大学卒業をキッカケに遠距離になってしまう彼女と別れた。

お互いやりたい仕事につけてとても嬉しかったが彼女は海外。

俺はここにいる。


彼女は俺となかなか会えないことを気にしていた。

だから断ろうかとも考えて悩んでいた。


だけど俺がいなくなればそんな心配は無くなってやりたいことに集中できる。


だから、彼女のためを思い別れた。

別に嫌いになったから、会えない時間が多いからではない。

好きな人のやりたいことを応援するためだった。


だけど、今は後悔してる。

まあ、それは俺だけなんだろうな。


連絡は彼女が海外に行ってから取っていない。

また会いたくなってしまいそうだから、お互い連絡先は消そうってなって消してしまった。


友人に聞けばわかるんだろうけど、

そんなことしては彼女の邪魔をしてしまうからやらない。


俺は元気だよ。

君は…元気でやってると嬉しいな。


あぁ、また君のことを考えると涙腺が緩むよ。

いつか笑顔で君を思い浮かべることができるのかな。


駅の改札に入り、ホームで帰りの電車を待つ。


ホームのベンチで座ってるおじちゃんが

イヤフォンが抜けてることに気づかず大音量でラジオを聴いている。


[May happiness come to everyone who listens.

皆さんこんばんわ。明日のクリスマスが終わるまでひとつまみの奇跡をお届けします。]


意外とお洒落なラジオ聞いてるんだな。


電車がやって来る。

いつも乗る各駅停車。


俺は乗り込み扉のすぐ横に立つ。


『この電車は…』


いつものように急行を先に通すというアナウンスが流れる。

5分くらい寒い中待たされる。


はらはらと雪が降っている中電車に乗っていると思い出す。


俺がこっちへ引っ越す時に、彼女が送ってくれた日。

季節外れの雪が降っていた。


雪は積もらず降っては消えていく。


彼女は笑顔で手を振っていたが頬には一筋の涙が流れていた。

俺は涙を拭いてあげられずに電車が出た。


あれが彼女との最後の思い出。


今の俺だったら彼女の涙を拭きに降りていただろうな。

そんなことを考えても無駄なんだろうけど。


[では、次の曲、雪の降る街。あなたに幸多からんことを。]


次の電車を待っているおじちゃんのラジオが聴こえる。


あぁ、聞いたことないのにグサグサと刺さる歌詞。


あの時間に戻れれば、俺は何かできたのだろうか…。

結果的に何もできないんだろうな。


彼女が元気に悲しみが少ない人生を送ってくれればそれだけでいいや。

俺は見えないところで応援しとこう。


マナーモードにしているスマホのバイブレーションが鳴る。


スマホを見ると大学の先輩からメッセージが来ていた。

度々誘われて彼女候補を紹介される。

内容を見ると今から飲まないか?とのいつも通りの誘い。

場所は反対側の電車の乗り込めば一本でいける。


家帰ってもやることないし、明日休みだからな。


「行きます。また近くまで来たら電話します。」


『OK、女呼んでるから身なり綺麗にしろよ。』


この時間に呼んでおいてそれは中々難しくないか?


まあ、リハビリ頑張るか。

彼女のことをグッと押し込めて

俺は先輩のいる居酒屋に向かった。


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― 新着の感想 ―
[一言] 一瞬、ダークダックスの「雪の降る街を」だと思ったのは秘密です
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