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同じ世界なようで違った世界

少し繋ぎが悪くて読み難いかもしれないです。




 我が家の二階の自室にて、外の燦々とした明るい憎き丸がチラリと外を覗こうとする僕の顔面に光を直射してくる現在。

 そんないじめに必死こいて耐え、カーテンの隙間から学生達の帰宅途中を覗く。

 こちらに来た数日前から変わらず、複数の通行人が凶器を(・・・)持ちながらたむろい歩くのを眺め、静かにため息を溢す。





 僕の平穏な日常は突然にして過ぎ去っていた。


 いつもと変わらない日常を過ごすべく、起床し、学校へ向かい、授業を受ける。

 最初、クラス内へ入ったと同時に複数の違和感を感じた。前からこんな物あったかな?とか、帰宅部だったはずの人が何かのケースを持ってきていたりとか、あの人何か雰囲気変わったなぁ、など。

 特に思うことも気にすることもなく過ごしたら放課後になっていた。クラス内がやけに浮き足立っていたことには少し疑問を抱いたが、今回も特に気にとめることなく帰路につく。


 夕方になり、いつも帰りの遅い会社員だった筈の父が家に帰宅してきたことで一つの違和感に気付く。

 170後半の父が、同じサイズくらいの大剣を担ぎつつ狩りに行こうと誘ってきた。

 父の突然の変わり様に困惑し、丁度帰ってきた母に助けを求めようと顔を向けたことで、再び困惑。

 片手に血が付着した肉切り包丁、もう片手に4本足の1mはある頭のない鳥の首を掴んでいる母の姿。視線に気付いた母は笑顔で解体を手伝ってと言ってくる。


 困惑を通り越して頭が真っ白になった。

 頭が痛くなってきたのを理由に断り、部屋へ閉じこもる。真っ白になっている思考のまま、疲れた様子で何もない宙を見続け数十分が経過した頃。

 血を分けた弟妹達が帰宅。彼等の声が聞こえたことで思考を再始動し、復活。


 そこらの子供と変わらない最愛の弟と妹の無事を祈って、出迎えに行ったことで再び思考停止。

 生臭さを感じる緑色の液体を頭から足までどっぷりと被り、ナイフ片手に二つの手提げ袋を渡される。

 嫌な予感がするも、期待するような目を向ける二人に断れもせず諦めて袋を開けた。

 一つには小さな尖った耳がぎっしりと、もう一つには中心が淡く光っている灰色の小さい石ころが詰まっていた。どちらも緑色の液体が付着して、微かにだが生暖かさを感じる。

 可愛い笑顔で褒めてとおねだりしてきたので逆らわず頭を撫で褒め、すぐにでも叫び出したい心を押し殺し、回れ右して逃げようとする身体を鋼の意志で食い止め、引き攣りそうになる頬を無理やり笑顔にする事で、どこかぎこちないながらも何食わぬ顔で、お風呂に入るよう勧め促すことに成功した自分を褒める。


 よく分からない内容はお茶を濁すことで終わらせた家族交流。たった一晩で変わってしまった家族に、大変混乱してた僕へ、友人が突然写真を送ってきた。

 内容は、大量にある人間大の蟻の死骸を背景に笑顔でVサインをかます友人達の写真。さらに自慢気なコメントも送られてきて、意識が遠くなっていくのを感じた。


 ちらりと視界の端に見える何かを見なかったことにして、ベッドへと転がる。頭の疲れが連続した非現実を逃避するには充分で、夢から覚めればいつも通り僕の知ってる家族や友人に戻っていることを願い、心が限界を迎えたようで気絶するように眠りに落ちていった。


 結局、夢から覚めてもみんなに変わりがなかったことに頭を抱えるが、何も言わずに認め許容することで心の自己防衛に走る。



  ◇

  ◆

  ◇



 知らない間にこんな世の中になっていて、頭を真っ白にして過ごした数日。

 家族や友達が自分の武器を磨く日々、国が謎生物モンスターの殺しを推奨する平和とは言い難い世界。


 僕のいた日常には武器なんてなかったし、世界に化け物が溢れる事も、それらを嬉々として殺しに行く様な人達もいなかった。

 こんな世界に恐怖を抱かない方が可笑しいけれど、今の世界では僕の方が異物なんだろうな。


 まるでゲームみたいで、小説の物語みたいで、夢みたいだけど、全てが現実で、暴力が身近になかった僕の世界はどこに行ってしまったのか。

 元の世界に帰れるのなら、帰りたい......でも帰れない。朝起きたらこの世界にいたから帰り方が分からない。


 一番よく分からないのは、数日前に見なかったことにしていた何か浮いてるもの......

 自身の個人情報がつらつらと書かれた、プライバシーなどない板と言うか画面と言うか、よく分からない浮遊物質。

 ただ周りの人には見えてなく、一人一人にある個人だけの物だと言うことは周囲の様子を見て分かった。空中を指で押す風景をたまに見かけるから。


 僕の中にある前の現実を壊さない様に、視界に映る非現実から目を逸らしつつも考える。考えてしまう。

 自身が本当にゲームの中にいるみたいな、世界にゲームのシステムが組み込まれてしまったみたいな。そんな嫌な感じのする現実を。


 今の僕に出来ることなんて、考えることしかない。

 だけどあまり深く考えても、答えは出なく。現実から逃げるように、今の生活に慣れることに注力していく。




  ◆

  ◇

  ◆




 心の自己防衛に務めること数日。

 .......頭がパンクし、熱が出ました。


 その内出るかなとは思っていたけれど、存外にして早かったことに泣きそう。

 元々、僕は身体があまり丈夫ではなく、熱にもかかり易かった。それに最近はあまり食も進まず、心労もあったことから高熱に発展して4日程休むことになった。


 ここ数日で変わってしまった家族が心配してお見舞いを持ってきてくれました。が、父と弟コンビが持ってきた40cmくらいの白い芋虫は丁重にお断りし(何とか言いくるめ)て持って帰らせ、母と妹がくれた黒いクッキーだけを食べました。

 チョコに見えるけど確実にチョコではない材料が見えて、とても不安になるクッキーではあったけど、調理済みなので何とか食べれました。

 ここ数日まともな物を食べてなかったので、元を知らなければ食べられることが分かって良かったです。

 それでも当分は僕の知ってるものだけを食べていきたい.....



 休みたいからとみんなを追い出し、誰もいなくなった室内のベッドの上で気怠げに寝転がる。

 突然だけど、僕の現実を壊したくなくていつまでも見ないようにしてきたプライバシー侵害板を操作しようと思い至った。

 なぜ今になって、と思うかも知れないけれど。もしかしたらこの世界に関して何か分かるかもって、数日経った今更ながらに考えついた。


 元の世界に帰りたいなら、この世界で頑張れば帰れるのでは?

 正直早々に疲れてしまって、安易にもそうであって欲しいと言う希望を抱いた......







ちょっとしたお話です。


ーーーーー


 僕のいた世界がおかしくなって2日目の夜のこと。


 昨日食べたこちらの母の料理は普通・・に美味しかった。

 少しばかり母のご飯を楽しみにして、一日の色々なことを無心で過ごし、夕飯を迎えた現在。


 ーー心底、僕は絶望しています。


 元の世界(あちら)の母の手料理は、不格好であったり奇怪的な味のする物が度々出て、美味しいと思える物が出てくるのは稀だったけど、まだまともな物であった。

 母が僕達の身体のことを考えて、たまに暴走しつつも栄養よく一生懸命に作ってくれてたのを僕達は知っていた。

 たまに前の日の記憶を失くすものとか、気絶させてくるものもあったけど、そんな母に今でも感謝しています。



 さて、なぜ突然あちらの母のことを話し始め、楽しみに迎えた夕食にて絶望した理由.....

 それは、こちらの母の手料理を食べた感想、いや食べる前の感想を言いたかったからです。

 極論として、原形のまま食卓に出さないでください。と言うかせめて調理してください.....

 とりあえず可能なら、食べる際は目隠しをして食べたいと切に思います.....



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