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青と黄色  作者: 澪。
8/10

葛藤。

こんばんは!

最後まで読んでいただけると、うれしいです!

太陽は一人、真っ暗な部屋で月光に浴びながら、外を眺めていた。

「華...」

そうつぶやくと、太陽の頬に涙がつたっていく。

太陽は、自分が泣いている事にきづき、自分で驚いている。

「俺はどこで間違えたんだ...華...」

と言い、顔をうずめ、声をこらえながら泣き出した。



華も同じように泣いていた。

「こんなんなら、出会わなきゃよかったのに...太陽...会いたいよ...」

華は泣き疲れて、ころっと眠りに落ちた。

タイミングを見計らって、大地が華の部屋に入る。

眠りに落ちた華に布団をかける。

華の頬は、涙でぬれている。

大地は、そっと華の涙をぬぐい、頭をなでた。

「華...」



美奈は昼食を買い、太陽の家に向かっていた。

その時、車のクラクションの音が聞こえ、振りむいた。

高級車の後部座席から、大地が顔を出していた。

「えっと...華ちゃんの...」

「大地です。こんにちは。」

「こんにちは。」

「送っていきますよ。」

美奈は、車とはおもえないふわふわのシートに感動しながら、大地を見つめる。

端正な顔立ちと大人っぽいオーラに太陽とは、また違った魅力がある。

二人は連絡先を交換し、たわいのない話をする。

「で...何かお話が?」

美奈がしびれを切らして、大地に尋ねる。

「ええ。実は最近、華の様子がどうもおかしくて...太陽くんはどうですか?」

「華ちゃんもですか...実は太陽もなんです。あの時、公園で会ってから...」

二人はお互いに確信した。

華と太陽は別々の相手と一緒にいるにも関わらず、まだ思いあっているのだ。

「僕は、華を放すつもりはありません。でも、華のあんなにつらそうな顔見るの...初めてで...」

「......」

美奈も、太陽のつらそうにぼーっとしていた様子を思い出す。

二人に沈黙が流れる。

そうしている間に、太陽の家につき、美奈は車から降りる。

「ありがとうございました。」

「いえ、お話しできて良かったです。」

「あの!」

「はい。」

「もし、私達が彼らを解放したあげたら、彼らはもとに戻るんでしょうか。」

「それは...僕たち次第というところでしょうが...では、失礼します。」

大地は車で去っていき、美奈はしばらく動くことができなかった。


大地は車の中で、頭を抱えて悩んでいた。

大地も華のつらそうな顔をみると、胸がはちきれそうな気持ちに襲われる。

しかし、愛する華を手放したくはないし、なにしろ親同士が決めた婚約を、あと数年のところで破棄するわけにはいかない。

「解放すれば、元の彼らに戻るのでしょうか。」

美奈の言葉が、よみがえる。

「俺は...」



そのころ、美奈はある覚悟を決め、太陽の家のインターホンを鳴らした。

「今、開ける。」

太陽が開けてくれた。

また泣いていたのだろうか。

目が充血していて、クマが前より濃くなっている気がする。

美奈は、気づかないふりをして、明るくふるまう。

「お昼、買ってきたよ!一緒に食べよ」

「ありがと。」

二人で並んで美奈の買ってきた弁当を食べる。

太陽は、ぼーっとしてお箸が進んでいない。

「太陽。」

「美奈。」

二人が同時に口を開いた。

「なに?太陽。」

美奈が太陽に先に話すように促す。

「やっぱり、俺、華が好きだ。」

太陽の目に涙がたまっている。

美奈は、静かにうなずいた。

「ごめん、美奈。俺、お前に悪い事した。」

「いいよ。誘ったのは美奈。華ちゃんの事、好きだってわかってて、いじわるした...ごめん。」

「ほんとにごめん...」

「いいって。でも、どうするの?華ちゃんには大地くんがいるんだよ...」

「華に言えなかった気持ち...こんどこそ、伝えるよ。」

太陽の頬にたまったなみだが伝う。

「うん!美奈、太陽のこと、応援する!」

「ありがとう。美奈。」

「じゃあ...美奈、帰るね...」

「ああ、今までありがとう。楽しかった。」

「これからも美奈と太陽は友達だからね!」

「ああ。」


美奈は太陽の家を出て、一人で歩き出す。

小さい公園のブランコに座ると、大地にメッセージを送る。

「美奈です。解放しました。」

そして、アルバムを開き、

太陽の写真を一枚一枚、削除していく。

声をだして、泣きじゃくりながら、一人、携帯を抱きしめていた...

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

アドバイスや、感想、評価などを頂けると、うれしいです!

では、また明日、20時に!

 

                   澪。

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