葛藤。
こんばんは!
最後まで読んでいただけると、うれしいです!
太陽は一人、真っ暗な部屋で月光に浴びながら、外を眺めていた。
「華...」
そうつぶやくと、太陽の頬に涙がつたっていく。
太陽は、自分が泣いている事にきづき、自分で驚いている。
「俺はどこで間違えたんだ...華...」
と言い、顔をうずめ、声をこらえながら泣き出した。
華も同じように泣いていた。
「こんなんなら、出会わなきゃよかったのに...太陽...会いたいよ...」
華は泣き疲れて、ころっと眠りに落ちた。
タイミングを見計らって、大地が華の部屋に入る。
眠りに落ちた華に布団をかける。
華の頬は、涙でぬれている。
大地は、そっと華の涙をぬぐい、頭をなでた。
「華...」
美奈は昼食を買い、太陽の家に向かっていた。
その時、車のクラクションの音が聞こえ、振りむいた。
高級車の後部座席から、大地が顔を出していた。
「えっと...華ちゃんの...」
「大地です。こんにちは。」
「こんにちは。」
「送っていきますよ。」
美奈は、車とはおもえないふわふわのシートに感動しながら、大地を見つめる。
端正な顔立ちと大人っぽいオーラに太陽とは、また違った魅力がある。
二人は連絡先を交換し、たわいのない話をする。
「で...何かお話が?」
美奈がしびれを切らして、大地に尋ねる。
「ええ。実は最近、華の様子がどうもおかしくて...太陽くんはどうですか?」
「華ちゃんもですか...実は太陽もなんです。あの時、公園で会ってから...」
二人はお互いに確信した。
華と太陽は別々の相手と一緒にいるにも関わらず、まだ思いあっているのだ。
「僕は、華を放すつもりはありません。でも、華のあんなにつらそうな顔見るの...初めてで...」
「......」
美奈も、太陽のつらそうにぼーっとしていた様子を思い出す。
二人に沈黙が流れる。
そうしている間に、太陽の家につき、美奈は車から降りる。
「ありがとうございました。」
「いえ、お話しできて良かったです。」
「あの!」
「はい。」
「もし、私達が彼らを解放したあげたら、彼らはもとに戻るんでしょうか。」
「それは...僕たち次第というところでしょうが...では、失礼します。」
大地は車で去っていき、美奈はしばらく動くことができなかった。
大地は車の中で、頭を抱えて悩んでいた。
大地も華のつらそうな顔をみると、胸がはちきれそうな気持ちに襲われる。
しかし、愛する華を手放したくはないし、なにしろ親同士が決めた婚約を、あと数年のところで破棄するわけにはいかない。
「解放すれば、元の彼らに戻るのでしょうか。」
美奈の言葉が、よみがえる。
「俺は...」
そのころ、美奈はある覚悟を決め、太陽の家のインターホンを鳴らした。
「今、開ける。」
太陽が開けてくれた。
また泣いていたのだろうか。
目が充血していて、クマが前より濃くなっている気がする。
美奈は、気づかないふりをして、明るくふるまう。
「お昼、買ってきたよ!一緒に食べよ」
「ありがと。」
二人で並んで美奈の買ってきた弁当を食べる。
太陽は、ぼーっとしてお箸が進んでいない。
「太陽。」
「美奈。」
二人が同時に口を開いた。
「なに?太陽。」
美奈が太陽に先に話すように促す。
「やっぱり、俺、華が好きだ。」
太陽の目に涙がたまっている。
美奈は、静かにうなずいた。
「ごめん、美奈。俺、お前に悪い事した。」
「いいよ。誘ったのは美奈。華ちゃんの事、好きだってわかってて、いじわるした...ごめん。」
「ほんとにごめん...」
「いいって。でも、どうするの?華ちゃんには大地くんがいるんだよ...」
「華に言えなかった気持ち...こんどこそ、伝えるよ。」
太陽の頬にたまったなみだが伝う。
「うん!美奈、太陽のこと、応援する!」
「ありがとう。美奈。」
「じゃあ...美奈、帰るね...」
「ああ、今までありがとう。楽しかった。」
「これからも美奈と太陽は友達だからね!」
「ああ。」
美奈は太陽の家を出て、一人で歩き出す。
小さい公園のブランコに座ると、大地にメッセージを送る。
「美奈です。解放しました。」
そして、アルバムを開き、
太陽の写真を一枚一枚、削除していく。
声をだして、泣きじゃくりながら、一人、携帯を抱きしめていた...
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
アドバイスや、感想、評価などを頂けると、うれしいです!
では、また明日、20時に!
澪。