異世界へ出発そしてエルフ
出発当日は転移のために神界に来た。
じいちゃんとばあちゃんが見送りに来ていた。
そして黒パンもやってきた。<イヤな予感しかしない>
なんと修道服を着ていた。
その修道服の本来十字架がある場所に羞恥心修行と書かれてあった。
側に寄ってきて「これ私と思って持って行ってくださいまし」
と印籠を恥ずかしそうに渡してきた。
美人をこれほどまで間近で見たことなかったのでドキドキし
頭の中が先に異世界へトリップしていたため素直に受け取った。
黒パンは嬉恥ずかしそうに「修行がありますので」と言って立ち去った。
<かわいい~いや騙されてはダメだ>
じいちゃんとばあちゃんが嬉しそうにしていた。ばあちゃんが何故と思った。
『モンペ今日の手順を教えてくれないか?』
『何でもは教えることは出来ないわ、教えられることだけ』
といつもの声優の声で出てきた。<本当に良い声だなぁ>
『まずは「玉」へ行って検疫をして風邪などの菌が無いか検査いたします』
『本来は火星探査機のように、無菌にするのがいいのですが』
『それは無理なのでいたしません。人族は菌と共存していますからね』
『まぁ半分神のご主人には問題があるはず無いです。ですが念のため』
『それから、こちらで用意した装備に着替えていただきます』
『ご主人様のことを考えて、動きやすいジャージ上下にいたしました』
『幻影魔法が掛けてありますので、他の人がみたら神主、
まぁ陰陽師の衣装ですね』
『衣装は色々意見が出ましたが、最後はファラオの衣装との決戦でした』
『参考までに他は、一枚布を巻きつけて肩で結ぶ・かぼちゃパンツの王子
マハラジャ・タキシード・そして多かったのが裃と袴の殿様スタイルです』
『私がご主人様は一応日本人ですから、ファラオは嫌がりますよ。
で納得させました』
<僕が陰陽師の衣装ならお連れの二人は巫女の衣装になる>
お供におっさん二人を予想していたから<モンペいい仕事したよ>と思った。
『それとジャージに付与されているのは、ステルス・重力操作』
『完全防御そしてリフレクトは反射倍率を20倍まで変更できます』
『リフレクトは物理と魔法の両方です。殺意はわからないので
殺意を感じ自動は無理でした。常に私が監視してサポートします』
『ご主人様が魔獣の大群の中を走るだけで、魔獣は全滅でしょうね』
『完全防御以外は解除出来ます。魔力量は考える必要は無いです』
『私が常にあ・な・たのお側にいますからね』
<モンペのあなたは無視しよう>
『装備を整えてモロッコで異世界に行きます』
僕はジャージに着替えた。<動きにくい皮鎧とかで無くて良かった>
『モンペ異世界に転移するのはモロッコではなくてトロッコの間違いでは?』
『主人様モロッコは性転換手術の出来る国の名ですよ。
創世主様のギャグですよ』
『金を抜き取るで菌です。そして日本から…』
『もう分かった。その話は終わりにしょう』
『エリア「玉」にサポートしてくれ』『あなた、いよいよ二人きりの密室ですね』
そして神管理番号M1海球に到着した。<やっと着いた>
着いたところは、かなり高い山脈の盆地で周り中雪だった。
そこで待ってたのは金色の毛・緑色の目をしたフェンリルと中型旅客機くらいの
大きさで全体が真っ白・青い目をした白竜だった。
『お待ち申しておりました「若様」』二頭同時に挨拶してきた。
僕も念話で『よろしく頼む』と返事した。
モンペに敬語はダメですよと言われていたためだ。
若様に違和感があったが、僕をどう呼ぶか事前に協議したらしく
モンペに「神様・殿様・マスター・王子」よりいいでしょと言われた。
『モンペ次の指示を』モンペは『分かりました。まずはご主人様は体力強化し
フェンリルの背に乗ってください。フェンリルは姿勢を低くしてください。
そしてフェンリルと共に白竜に乗ります。白竜は重力魔法を展開しでください』
『そして皆さん個々にステルス魔法を使用し、世界樹を何周か回って偵察をし
先に決めていた世界樹から南10キロ地点で着陸します。
白竜は音速を超えないように、目的地へのルートは私がサポートします』
思ったよりうまく乗れた<下まで何メートルあるんだろ?緊張する>
『皆さん乗りましたねスタートです』とモンペの指示がとんだ。
白竜は、まるでF35のように垂直に少し上昇し次に水平飛行に移った。
『モンペ、白竜は羽ばたかないのに、なぜ飛べるんだ?』
『飛行魔法ですよ。飛べる人族に羽なんてないですよね』
『そんなことよりフェンリルにしっかりつかまってください』
<飛行魔法かぁ覚えて無かった。絶対に覚えよう>
盆地から出ると雲はすでに下の方だった。<何メートルの山脈?>
高高度過ぎて恐怖感はあまり無かった。<良かった>
空の旅を楽しんでたら『目標上空に到着です』とモンペの念話。
『ご主人様降下しますからフェンリルの毛をしっかり掴んでください』
とモンペが指示してきた。
1時間くらい乗ってた気がするが雲の合間から
景色を見ていて時間感覚がなくなって短いのか永いのか分からなかった。
白竜は、ゆっくりと僕を気づかってほぼ垂直に降下した。
山のすそ野に沿って神社に飾ってある『マガ玉』の片方が大ききく
なったような大きな湖が見えてきた。
さらに降下すると角錐形をしたピラミットみたいな建造物が見えてきたとき
モンペが『アレが世界樹です。ピラミットのような物は足場です』
『世界樹は八百メートルに達していて足場の高さは六百五十メートルほどで』
『足場の裾は七百五十メートル以上と思われます』
そして世界樹を中心に周り半径3キロメートルほど木がほとんどの無いのであった。
モンペ、いわく足場の材料になった可能性が高い。
白竜はピラミット状の足場にぶつからない距離を取ってホバリングした。
驚くことに耳が長いのでエルフなんだろうが、男女共にタングトップにニッカポッカ
地下足袋・鉢巻姿で日本の鳶職に似た格好をして作業していたのだった。
ピラミット三分の二くらいの高さから上にログハウスのような建物があった。
エルフがさらに上へと足場を作っていた。
『モンペ、木を材料にあの重量に耐えるのか?』
『おそらくは重力魔法でしょうけどねぇ長時間かけ続けられるのは
世界樹を材料に…では無いでしょうか?』
『まぁ族長を救出して聞くのが一番でしょうね。白竜予定の場所に移動を』
それから数分も掛からず予定の場所に到着した。
降りた途端に緊張の糸が切れて、ドッと疲れがでた。
モンペが『フェンリルと白竜は人化魔法を』と指示を出した。
すると、おっさん二人が現れておなじみ江戸時代の旅衣装だった。
<美少女巫女はいづこへ~>
白竜が「拙者カクの神と申す。創世神様のレクチャーをたっぷり
受けましたで御座るがご迷惑をお掛けした際にはなにとぞ良しなに」
「スケと申すカクさん同様良しなに」<スケさん軽くていいなぁ、うん>
「友広ですスケさんカクさん、じいちゃんが何を教えたか
分からないけど気楽に普段どおりしゃべっていいよ」
二人とも混迷しているようで「普段とはどんな…」
白竜は「そういう訳には」僕は「カクさん硬すぎ力を抜いてね」
<白竜とフェンリルの普段どおりって…高圧的なやつかな、失敗したかも>
<気にしてもしょうがない。考えないことにしよう>
「それよりこの草原でお昼にしょうね」アイテムボックスから
テーブルと椅子を三脚出した。それとばあちゃんが作ってくれたサンドイッチを
テーブルの上に大皿ごと置いた。」<白竜とフェンリルがお共って聞いて
こんなに多く作ってくれて大変だったよね、ばあちゃんありがとう>
『モンペ、スケさんとカクさんアイテムボックスに驚かないけど
この世界でも使う人いるの?』
『本当にも~あなたは可愛いんだからラノベの読みすぎ、
アイテムボックスなんてあるわけないですよ』
『前にも話しましたよねぇ転生者とか転移者いませんよ』
『ここは現実でファンタジーじゃないですよ』
『スケさんとカクさんには大荷物持って移動は大変だから、
次元倉庫にエリアを貰っているのですよ。エリアの名は「いい友と共」ですよ』
飲み物が出て無かったのでマグカップとパック入りのコーヒー牛乳を出してみた。
二人は「このパンとやらの中に、何が入っているので御座るか?」
「こんなうまい物食ったのは、拙者初めてで御座る」
「何が入っているか説明しても、海球に無い可能性が高いからね。それと御座る禁止」
「そうですな、聞いても分かり申さんな。御座るは出てしまうかも」と笑った。
「このコーフィー牛乳とやらは甘くて旨い」
<何を出すか迷ったが甘い物で正解だったな>
「それは良かった二人で残り全部飲んでね」嬉しそうに飲んでいた。
<1Lのパックで正解だったな>
それから三人で雑談をして親睦を深めた。
<親睦を深めるのは飲んで食うどこでも同じだ>
<スケさんとカクさんの距離が縮んで御座る言葉がなくなればいいな>
じいちゃんのレクチャーは10年前からだそうだ。
<僕に見せた黄門様のビデオもすべて計画的だったんだ>これからの不安を感じた。
<美少女早く出て来て~癒されたい>
スケさんが「そ~だ、若様が拙者の武器を持ってきてくれる
ようになって御座ったが、頂いて宜しいでしょうか?」
『モンペ、スケさんの武器のこと知ってる?』
『当然知ってますが、ここからツンデレキャラになっていいですか?』
『おもしろそうだからいいよ』<ツンデレキャラ期待できる>
『いい宋スケあんたねぇバカみたいにイッツモイッツモ、みねうちじゃない、
いい良く聞きなさいよ、宋スケの刀に刃なんて要らないじゃないのよぉ~』
『わかってるのぉいい、刃の無い刀を作ってあげたわ。
刃なんてどうせ使わないんだからぁ~かわりに電撃と手加減を付けておいたわよ』
『バカみたいに振り回すじゃないのよ。気をつけなさいよ いい?』
スケさんは面食らっていた。
スケさんが『何だったので御座るか、今の宋スケって拙者のことで御座るか?』
『そうよぉ~宋スケにした方が友広が喜ぶのよ。スケさん刀のことわかった』
『それにしてもいい声で早口なのに歯切れが御座ったなぁ。
よほどの美人ですなぁ、会ってみたい』
『声を聞かせて商売にしてる人だから声を聞くだけにした方がいいよ』
『吟遊詩人の声で御座ったか~女ごとは珍しい』僕は少し困った。
食後の、のんびりした大草原、今は雪が溶け五月の午後だった。
『モンペは何でも物マネできるなぁ』
『何でもは出来ないわ、出来ることだけ』<よかったもどった>
カクさんの武器は手加減付きの指先の無いグローブだった。
『モンペ次の指示を』『友広、何でお願いしますって言えないのよぉ~モ~』
<ツンデレのままもどってない>
『友広はどうしてそうなのよぉ~好きの一言くらい、いいなさいよねぇ』
『モンペお前何でも知ってるな』
『何でもは知らないわ、知ってることだけ』
『え~とですね。スケさんは従魔を召還したのち人化を解除ね』
『今度はスケさんにご主人様とカクさんが乗って
世界樹の西10キロから12キロくらいのところに、族長が投獄されていそうなの』
『上からの画像では分かり難いの、あとは行って調査しかないわ、そんなとこ』
スケさんが召還魔法の詠唱を始めた。「影狼お金召還」
召還陣から、思った通りのキャラが出てきた。<シワが無くて若い>
忍者服に身を包み網タイツの美女が出てきた。<ご老人アイドルNo1わかる気がする>
影狼は影の中を移動できる狼だ。<きたラノベだ>
「若さん初めてお会いいたします。影狼お金ですよろしくね」<色っぽい>
大人の女性を感じさせるシナリを付けた所作だ。
女性免疫力の無い僕はドキドキしながらモンペに振った。
『モンペーお金さんに指示を』『何か心拍数が上がった気がしましたけど』
『まぁいいでしょうお金さんはスケさんの影に入って移動後
族長捜索し、あとは世界樹周辺の調査を』
『若さんの後ろから抱き付いてじゃないの~残念』
『若さん残念だけど今度チャンスがあったらね』とウインクしてきた。
モンペが『どいうことですか~』と不機嫌そうな感じの声だった。
『お~怖い怖い』と大人の対応をした。
スケさんのスピードは新幹線より早い感じがした。まぁ地面に近いし
<怖い!>世界樹の西10キロくらいの地点にすぐに付いた。
お金さんが『いましたよ西五百メートルくらい、
少し開けた場所に小屋のような物があります』
いつ登ったのが分からなかったが、このあたりで一番高い木の上から報告があった。
その後スケさんは人化をして周りを警戒しながら皆で西の方に向かった。
<前に見える小屋、動物園?>
高さ一・五メートルくらいの、鳥小屋と思われる建物に近づいて驚いた。
網目の大きい、鳥小屋の中には大きな止まり木があり
二頭身の小人が止まり木に止まっていた。
下半身がカエルみたいで頭は大きく長い耳そして全体シワだらけ
ス〇ーウォーズのヨー〇に似たハイエルフだった?
僕は「あんたがババーか?」と聞いた。「ワシがババーじゃ小僧何かようか」
<やはりハイエルフ嘘だろうぉ>
これぞ老人って感じで、しゃがれ声それに風格がありヨー〇そっくりだった。
カクさんが小僧といったときに掛かって行きそうなのを手で静止した。
「まぁ世界樹を助けるついでにババーもってとこかな」
「小僧~ならば早よ助けよ」傲慢な態度だ。
「ところでその網は、木に巻き付くツルじゃないのか?自分で逃げられないのか?」
「ツルじゃがな金ヅルと言ってな、魔素を多く含んだ水に数ヶ月漬けとくとな」
「岩より硬くさらには曲げることも出来る代物じゃ」
「青銅の剣なんかでは切れやせんぞ」<鉄は無いのかなぁ>
「鉄は無いのか?」「鉄そりゃなんじゃ」「青銅よりずっと硬い金属だよ」
「小僧お前どこから来た。それにその格好はなんじゃ」
「神の使いってとこかな」
ババーが目を見開き大きな声で
「小僧~お前創世神の使いか~」<ババー大声だすと死ぬよ>
「ああ、そうだよ創世神様の使いだよ。創世神様と会ったことあるのか?」
「当然じゃ奴はワシに世界樹の管理を託すと言い魔法を教えて、それから
ワシに『皆にも魔法を広めるんじゃぞ、魔素をどんどん使うんじゃ』
と言って消えていったんじゃ。忘れるわけなかろうが」
「創世神様を知ってるならわかるよね。世界樹はこの世界に絶対必要なんだ」
「そこでババーに教えて欲しいことがあるんだ」
「遠慮せんで何でも聞けや」
「あの足場の重量をどうやって支えてるの?」
「そんなことか世界樹に金ヅルを引っ掛けて上から吊り上げとるんじゃ」
「世界樹も悲鳴をあげとるわ。足場材料を上げるときには重力魔法じゃ」
<世界樹を巨大な柱として使ってるのか、イヤな予感しかしないなぁ>
「世界樹の枝と葉は何に使うんだ」
呆れ顔でババーが「塩のため、まぁ金のためと言うた方がいいかの」
このあとのババーとの会話から分かったことを、まとめると。
湖より北の山を登ったところにエルフ領の岩塩を取る場所があったが
強い魔獣が出始めて塩を取ることが出来なくなった。
となり領から買うことになり、お金が必要になった。
最初はエルフ領で取れた果物・木の実・繊維と物々交換だったが、
重いので、木札に魔方陣を書き偽造できなくして、
お金として使い始めた。因みにお金は塩をあらわすためエンと呼ぶ、
たとえば、これは何エンする。とか言い日本と同じだ。
この世界は塩が取れる場所に一族が住みつき領となっている。
国は無いそうだ。遠距離情報が届かないので、となり領の
ことしか分から無いが正解かも、あることに期待だ。
<盗賊に襲われた馬車の美人プリンセス待ってろよ~>叫びたい。
木札はとなり領が発行する。偽造防止の魔方陣を書く
ビックという名のハイエルフ四千歳がとなり領に駐在している。
木札は領主が作り当然焼き印もいれる。
最近エン高になり世界樹の葉を粉にして丸めて作った薬を
要求してきた。効能はケガ病気なんでも利く万能薬らしい。
足元をみられエンは一万倍にも上がっているが、いいなり状態らしい。
丸めて作った薬の呼び名はあるけど…。
さらに世界樹の枝は青銅製の武器より硬く軽いためだ。
となりの領は強い武器を集め万能薬を使い戦いの準備中らしい。
<となり領の領主が悪代官に決定だな>
まずはババー救出と思った時ババーのいる
鳥小屋の中にいきなり中腰で少女が現れた。
少女は「ババーはいこれ餌いや食事よ」と言い籠を網に掛けた。
こっちを見て鳥小屋のドアを中なら開けて出てきた。
<鍵がついて無い?>
僕の側まできて人懐つこく「若い男だあんた幾つ」と言ってきた。
高校生女子で例えると容姿は中の上で美少女かと言われれば疑問だ。