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神話


当然のように今夜はこの浮島で宴会が始まった。


 モンペは島の大きさと土砂の量を報告してきた。

空の浮島は小判形のせんべいを五分の一程食べたような形で

長い方が千三百メートル、短い方が九百メートルの広さで、

高さが20から30メートル、島の四分の一くらいの広さに土砂が乗っている。

<大きいな。土砂の一番高いところで20メートルくらい?

御神木とほぼ同じ高さだ。土砂をどうするかが問題だ>


 スーさんは「この島の名は何にするのですか?」

「モンペと一緒に作ったから天門台か天門島にしようかと思います」

「天の門、いい響きですねぇ。後世この世界の神話に登場する空中に浮かぶ

島の名に相応しいです。

神が夫婦で作ったなんてロマンチックですねぇ」

「夫婦で作った天門台の方が響きがいいので天門台にします」「いいですねぇ」

俺は「サンを迎えに一旦戻ります」

「夫婦で天門台、星のサンちゃんと一緒に、ロマンチックですねぇ」


 俺は東領にサンを迎えに一旦戻ったが

東領から見える空中の島は俺が作ったと神々は気付いたのか?

神々の連れて行け視線に気付かない振りをした。

リョウコは「あんたがサンを迎えに帰って来ると思ったよぉ」サンと一緒にいた。

「スカイ族のあたいもさぁ、連れてけよぉ。好色占拠法違反で訴えるよ」

「何もないぞ」「それでもいいからさぁ、あたいは法が認めるあんたの愛人だよ」

<リョウコは美人だし春は保護欲を掻き立てる。開き直ろう。アスカに土下座だ>

「よし、みんなで行こう」サンとリョウコ・春を連れて天門台に戻った。


 宴会にヘファイトスと工業神も参加していた。

工業神は「友広君、あの土砂を除く仕事を俺に任せてくれないか?」

「エントが土砂の中に埋まっているので大変ですよ」

「それはホームに事情を聞いてるから大丈夫だ。救出方法は考えてある」

ヘファイトスは「友広君、神々はこの世界の神話に登場したくてたまらないんだ。

この空に浮かぶ島は必ず伝説になる。神々の標的になってるわけさ」

<神話ブームか、神々は何にでも楽しむことを忘れない>


 土砂の除き方は下から削っていき人面樹が立っていれば

高さ6メートルくらいらしいので、土砂の高さを5メートルになるまで除いて

人面樹の先端が出てくれば救出して、出てこなければ

エントは倒れてエンドになってるらしい。その後一気に土砂を除く。

土砂の転移先はゴヘイ領を埋め立てたときに掘った場所になった。


 工業神は土砂を除き、島に建築関係の神と一緒に地下室を作り

空に浮かぶ島の誕生を壁画に残す計画を話し

「エントを助ける俺の姿を壁画に残したいんだ。やらせてくれ」

「いいですよ。ありがたい話です。

俺とモンペが一緒にこの島を作ったことが後世まで残れば嬉しいです。

それと土砂の中に剣があったら俺にください」

「勿論だ。この島の権利は君にあるからな」

「後は工業神様が目立つストーリーを創作してください」

工業神は喜び「そうか、土砂のことは任せろ。

それからスーさんに聞いたんだがマーカーのことも俺に任せろ」

「ありがたいです。後はお任せします」「お、任された」

ヘファイトスは笑いながら「そして、この島にゴーレムが配備されて

侵入者を撃退するようになるのかぁ。

友広君は君の好きな世界を作り出していないかい?」「作っていません」

マーカーは工業神の神友が制御の専門家で自動化出来るらしい。


 サンは「神話に登場するのもいいね」

俺は「サンはコンサートで唄っている乙姫で神話に登場するんじゃないかな」

リョウコは「あたいは、どんな形で登場するんだよぉ?」

「リョウコも歌を唄えよ」「何を言い出すんだよぉ、恥ずかしいじゃないか」

俺は「そうだ!コンサート会場を上から吊り下ろせばいいんだ。

畑の上でもコンサートができる」<観客が問題だな。この天門台を使うか>

リョウコは「あたいは、あんたを支える女神で登場するよ」

サンは「友は空に浮かぶコンサート会場を作りそうだね?」

俺は<ドーム球場を空に浮かべたら空飛ぶ円盤型が理想的だ。

ドームの大きさはいらない。小さくてもいい>

サンは「友が好色占拠法違反で捕まって、私がこの島から糸を降ろして

救い出す話が壁画になると思うよ」

リョウコは「それであたいが糸の先をあんたに持っていくんだ。絵になるねぇ」

俺たちの話を聞いて神たちが神話に残る方法を考えているのか?

その後無口になった。


 スーさんは「天門台のお陰で今日はギルドに泊まる神がいないようで

助かりましたよ。

神たちは今頃、天門台にどうやって上がろうか?思案中ですよ」

俺は「風呂に入りたいから東領に一度帰ろうかと思ってましたが

面倒なことにならないようにメカケで入ります」

「私も久々にメカケに帰りますかねぇ。今日はリョウコと春も一緒のようですが、

リョウコと春は君の愛人だったんですねぇ。君は立派な冒険者です」

俺は「好色占拠法のせいというかお陰です。

じいちゃんは、前の乙姫問題で好色占拠法違反になったのですか?」

スーさんは「兄さんが乙姫問題で痛い目にあったのは想像できますよねぇ?

それで兄さんが愛人を合法化する法律を作ったんです。

それが君の役に立つとは何かの縁を感じますねぇ。

愛人だと非難されないように正当女性制度もあります。

性と女性なんていう輩もいますが、好色占拠法と正当女性はセットです」

「じいちゃんは、そんなことまでして愛人が欲しかったんですね?」

「いえ、自分の浮気をギャグで誤魔化すためですよ」「そうなんだ」


 俺は「リョウコと春もメカケで風呂に入って今夜は俺の部屋で寝ろよ。

俺はここに戻るから部屋は空いてる。サンは一緒にいて二人のことを

お願いしていいか?」「分かった。任せて」

「私も竜宮城を貰ってたらリョウコと同じ立場だったし二人を応援するよ」

<それでフレンドリーだったのか>「サン、ありがとうな」

リョウコは照れてイヤがったが「俺の愛人なんだろ?好色占拠法違反で訴えるぞ」

説得して俺たちはメカケに帰った。<ツンデレ、リョウコのデレは可愛い>

メカケではミタさんの質問攻めにあったが何とか凌いだ。

俺だけは天門台に戻り新しい建物で神々と雑魚寝した。


 朝、工業神から土砂除去のために呼ばれた神を紹介された。

大柄で武骨な熟練技師タイプの工業神とは対照的で小柄でエンジニアタイプの神だ。

工業神は「俺の神友、ジンマシン、魔石の専門家だ」

俺は「友広です。今丁度、魔石の使い方を知りたかったんです。

よろしくお願いします」

ジンマシンは「ジンは魔法陣の陣でマは魔法の魔に神で陣魔神です。

こいつはいつも僕の紹介を雑にするから、聞いた神が気持ち悪そうに見るんです。

魔神ですから役に立ちますよ」工業神は「彼が今評判の魔神だぞ」

「え!オリハルコンを作った魔神って彼なのか?」「そうだバカが恥ずかしい奴」

「これは失礼しました。魔石で分からないことがあったら何でも聞いてください。

それでお願いがあるんですが、後で釣り竿を一竿いただけませんか?」

「釣り竿で魔石のことを教えていただけるのでしたら安い物です」「よかった」


 軽い朝食後、工業神が徹夜で作ったショベルカーに似た大型機械20機に

陣魔神が魔石をセットし土砂除去が始まった。

工業神は「俺は今から寝るから、何か起きたら起こしてくれ」

建物に向かっていった。


 陣魔神は「先程セットした魔石には簡単な命令が書いてあるんです。

魔石には魔道機械に魔素を供給することと周りの魔素を吸収する

命令が書かれています。これが基本です。

今回は土砂を掘って一箇所に集める命令と

バケットより大きな物が出た場合に停止する命令です。

小さな魔石でしたからこれが限界ですが、

魔石が大きい物ほど多くの命令を書けます。

命令といいましたが魔法陣です。まぁプログラムみたいな物ですよ。

あ、時々精霊で魔素を供給して欲しいのですが、

工業神に精霊がいると聞いて小さな魔石しか用意しませんでした。お願いします」

「分かりました。ところで魔石に命令を書く方法を教えていただけませんか?」


 陣魔神は「地球には石の上にも三年ということわざがありますよね、

神界では魔石の中にも三念といいます。実は僕が作ったことわざですけどね、

魔石の中に念を使い、小さな魔石にも命令が三つは書けるという意味ですよ」

俺は「分かり易くていいことわざですね」

「念はイメージです。ゴーレム作りと変わりません

地上に作り出すのか小さな魔石の中に作り出すかの違いですね」

<念で書ける、もしモンペにも書けるとしたら凄いことが出来る>


 陣魔神は「君は大蛇の魔石を持ってるようですがサイズはどれくらいですか?」

「俺の背丈より大きい物でした」大蛇の魔石を出して見せた。

陣魔神は興奮し「流石、伝説になる大蛇だ!これなら何でも出来てしまいますよ」

いつの間にか側にいたヘファイトスは

「これがダンジョンコアになる魔石ですね?」魔石を触って喜んだ。

陣魔神は「ヘファイトス、規模によるけどな、

もっと小さくても出来ると思うぞ。これはダンジョン如きに勿体無い」

俺は大ダコから出た80センチくらいの魔石を出し「これはどうですか?」

「これで十分だ」ヘファイトスは「これは何から?」「大ダコです」

陣魔神は「魔素量が多いこの世界は面白い。俺も大ダコを釣ってみるか」

俺は「大きくて釣れないと思いますが」大ダコの大きさを説明するのに苦労した。


 ヘファイトスが「友広君、異世界からの召還はいつやるのかな?」

「そんなことしませんよ」「やはりダンションが先だよね?」

「ダンションは必要ないですから作りませんよ。本から離れてください」

「必要になれば作るのかな?楽しみ」陣魔神は「土砂を捨てないと」

俺は<陣魔神さんに感謝だ。本の話から逃げられた>土砂を転移させた。

陣魔神は神界の監視システムを利用した自動運行命令をワイバーンの魔石に

書いてくれた。


 俺はその魔石をセットして海から魔素を吸収出来るように

オリハルコンの糸が出て来る長い筒の付いた機械をイメージし作り出した。

転移で設置し新しい機械を始動させた。<これでこの世界中移動出来る>

前の機械を止めて島と繋いだ糸を外しテストしたが良好だった。

『モンペ、これで天門台はモンペの管理下に入ったぞ』

『任せて。夫がくれた最初のプレゼントが空中の島なんて

嬉しいけど微妙な気持ちになるわね』

『体が出来たら欲しい物をプレゼントするよ』


 昼食時間になりやっとサンたちがメカケから出て来た。

<良かった。リョウコたちが遅いから心配した>

メカケでトラブルはなかったが、じいちゃんが大喜びして引き止められので

ここに来るのが遅れたらしい。

<これから俺がアスカに土下座をするのを楽しみにしてるな?>


 午後からの作業でショベルカーが初めて止まった。

<早い段階でエントが出てくるのは、土砂に流されて倒れた時だ。マズイ>

急いで止まったショベルカーの所を確認したがまだ分からない。

陣魔神はエントらしき木の上に乗る土砂を除くようにショベルカーを移動させ

土砂の除去を慎重につづけた。

しばらくしてエントの顔が出て来たがエンドだった。

俺は「陣魔神様、まだ助かるかもしれないので俺はホームに伝えてきます」

「もう無理だろ」「いえ、ホームは何か助ける方法を知っていますよ」


 ホームの前に転移し他に会話が聞こえないように結界を張った。

「ホーム、仲間は倒れてエンドだったよ。北西十神剣はどこにある?

剣があれば助けられるんじゃないのか?」

「あんた、剣のことがよく分かったわね。エントに知り合いでもいたの?」

「いや、俺は剣を集めている。だからいつも剣が何から出るかを考えているんだ。

北は敗北のようにボクと読める、木もボクだ。それに西で木に死、

木生で北西十神剣は木の生死に関わる剣だと予想していたんだ」

「あんた、普通の神じゃないと思ってたけど流石ねぇ。

剣は口の中にあるわ。でもエンドになって時間がたってれば

剣の名は変わってるはずよ。

あんたがその剣を取ればエンドはエントの森にまた生まれ変わって出て来るのよ。

だから心配しなくてもいいわよ。剣はあんたが持ってなさい」

「生まれ変わるのか?よかった」「これでも精霊よ。手を噛まれないようにね」

「噛むのか?」「冗談よぉ~、ありがとう」「おう」


 天門台に戻ったときにはエンド全体が出ていた。

俺は素手でエンドの口の中の土砂を除いて剣を取り出した。

するとエンドが細かい光の粒のようになって消えた。

リョウコは「神話のシーンだよぉ、綺麗」うっとりしていたが、しばらくして

「何であたいにその役をさせてくれないのさ。好色占拠法違反で訴えるよ」

俺は「お前には好色占拠法という伝家の宝刀があるだろう」

「剣の話じゃないよ。エントを昇天させる役のことさ」

美術の神は「神話になる本当にいい光景だったな~」

工業神は「美術の神、俺のも創作して美しく頼むぞ」「それは無理だぞ」

<各領の代表を集めたときに、美術の神がなぜ降りて来たのか不思議だったけど、

神話のために降りて来たわけだ。神話ブームの火付け役だったんだ>

剣は東西十神剣だった。

<やはり、十神剣なのに八剣しかないのは可笑しいと思っていた。

あと北南十神剣を合わせて十神剣なんだ。北南十神剣?そういうことか>


 俺は残った土砂を全部転移させた。

<後でゴヘイ領に行って中をゆっくり調べよう>

工業神は「さて俺の神話を作るために地下にいくつか部屋を作るか。

陣魔神、ショベルカーの魔石を変えて穴を掘ってくれよ」穴掘作業を始めた。

俺は天門台の下部に凹凸があるので飛行魔法で下から強化して回った。

作業をしながら東西十神剣の使い方を考えた。

<統制だよな、西をシャーと読めば投射・謄写・透写>

『モンペ、謄写と透写はどう違うんだ?』

『謄写はコピーで透写は色々あるけど

反対側から光を当ててすき写しにすることね』『分かった、ありがとうな』


 天門台の上に戻り陣魔神に約束の釣り竿を渡すと

陣魔神は嬉しそうに「遠慮なく貰いますよ。魔石ソナーを自作したんだ。

友広君、明日天門台を海に移動させない?大ダコか大イカを釣ろうよ」

その言葉を聞き逃すスーさんではなかった。





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