お気に入り・神の候補
チチ、デルモンと雑談していると夕食という名の宴会が始まり出した。
サンが「アスカがいないから迎えに来たチョン」
俺は<昨日は心の準備が出来ていなかった。今日は決める>
「ヘルメスもいないということだな。それは良かった。
サンは布地作りで忙しいのか?」「今、神界の分を作ってるからね」
「それで紫の糸が必要だったんだ。当分忙しいかもな」
「絹よりオリハルコン布が人気らしいよ」
「温泉に入りたいからジャワ島で食事にするか?」「温泉、いいわね」
俺たちはジャワ島で温泉に入り食事をした。
サンは「ゴーレムを見たけど不恰好だよね?」
「最初に作ったゴーレムは箱型だったけどバランスが悪くて後ろに倒れると
起き上がれないんだ。後ろに倒れるのを防ぐ為に中腰にし
横に倒れるのを防ぐ為にガニ股なり、前に倒れることを防ぐ為に腕を長くしたら
最終的に2メートルのゴリラ型になったんだ。手を突きながら移動すると早いし
動物の形は凄いと思ったよ」
サンは「ゲームキャラのような機体を作れなかったの?」
「石造りの街にゲームキャラのような機体は合わないと思ったんだ。
この世界で神々が遊んだ機体を洞窟に放棄して
後世の人が発見したときのことを考えると違う気がしたんだ。
それに綺麗な機体を作りそれをモンペが動かす。
愛着が沸くと放棄するのが辛くなるだろ」
サンは「二号と友は性格だけで結婚するから絶対に愛着が沸くよ」
「サンの性格も好きだしアスカもだ。帰るか?」サンは恥ずかしそうに「うん」
俺たちが席を立つと宴会担当の主神がやって来て
「神工芸様は東領でお元気にしていらっしゃいますか?」
「昨日来ませんでしたか?悪魔のように元気ですよ」
「宴会場では拝見しておりませんが」
俺は「彼女は仕事の邪魔になりませんでしたか?」
「いえ、彼女のお陰で針を刺し魚を仮死状態にして
長期保存出来るようになりまして異次元倉庫に殺して入れた魚とは
鮮度が違い厨房スタッフは驚かされました。
彼女は何でも張り紙違いとかで残念そうにしていましたが。
また遊びに来るよう伝えてください」「彼女に伝えておきます」
「彼女は可愛いですから来てくれるとみんな喜びます」
「そうですか。俺たちはこれで失礼します」
サンは「ヘルメスちゃんは可愛いから評判いいね?」
俺は「あいつは子供の容姿を上手く利用する悪魔だからな」
俺たちが別荘に帰るとアスカとヘルメスがいた。
<サンといい雰囲気だったのに>
俺は「ヘルメス、ばあちゃんの訓練はどうなった?」
ヘルメスは嬉しそうに「工作の女神になったよ~」「工芸じゃなく工作なのか?」
「工芸の神はすでにいたから、おばあちゃんが工作の女神にしてくれたの」
アスカは「ヘルメスは静おばあ様に色々と作って見せたのよ。
すっかり気に入られて女神にしてくれたわ」
俺は「そうか、よかったな。アスカはヘルメスにちゃん付けしなくなったんだな?」
「静おばあ様にヘルメスにちゃん付けで呼ぶと、私が成長しないから止めるように
注意されたの」「流石ばあちゃんだ。ヘルメスの訓練はまだあるんだろ?」
「私には才能があるらしいから、明日から特別に罠の張り方を教えてくれるの」
アスカは「広に早く報告したくて帰って来たのよ」
俺は<工作、罠>「ヘルメスは裏工作の女神になってないよな?」
アスカは目を反らし「…そんなことないわ」ヘルメスは「秘密~」
俺は<混ぜてはいけなかった>
「ヘルメス、ジャワ島の宴会主神が遊びに来て欲しいらしいぞ」
ヘルメスにアイテムバッグを渡し「魔法のバッグ、昨日のお礼だ」
「きのうヘファイトスさんの工房で見た、中の時間が止まるバッグだ。
仮死状態の動物を入れてみるね。ありがとう」俺は「普通に使えよ」
アスカは「あ、忘れるとこだった」等身大の裸像を取り出し
「広が私の裸像を欲しそうにしてたから、ヘルメスが作ってくれたわ。
私がいなくて寂しいだろうから寝室に置いとくわ」
俺は「リアル過ぎて怖いだろ。動きそうだぞ」
アスカは「私が怖いの?良く出来てるわ」ヘルメスは「作品名、監視する女神~」
アスカは「報告に帰って来ただけだがらメカケに戻るわ。おやすみ」
アスカとヘルメスはメカケに戻った。
寝室でサンは「さっき友がいってた洞窟に放棄して後世の人が発見する話
私も違うと思う。綺麗だけどこんな像が出てきたら怖いよ」
俺はアイテムバッグに監視する女神を入れ
「バッグを貰ってよかった。倉庫に入れたら気付かれるからな
サン、今日はもう寝よう」「おやすみ、友」
サンがくっついてきた。<悪魔が来なければ…だがこれはこれでいい>
モンペは『あなた、私が監視していることも忘れないで』
<忘れてた>『二号がいつも側にいることを忘れたことはないよ。おやすみ』
朝起きるとヘルメスが隣で寝て俺を見ていた。
俺は<なぜここで寝てる?サンが起きたら大変なことになる>
ヘルメスは「やっと起きた。バッグのお返し、今まで履いてたパンツ
アスカのも持ってるでしょ」枕元にパンツを置いた。
「お前のパンツなんていらないぞ」
ヘルメスは「早く拾わないとサンが起きるよ。じゃまたね」
ヘルメスは下に何も着けないままメカケに戻った。
俺は『モンペ、俺が寝てるときにメカケのドアを開けるなよ』
『静様に命令されたら断れません。ハンターギルドが完成したので
創世神様が来て欲しいそうです』<ばあちゃんは何を考えてるのか?>
<ギルド長がヘルメスの親だからイヤな予感しかしない>
モンペは『パンツはどうするの?』『新しい印籠に入れて隠すよ』
ハンターギルドは一階に受付と広い食堂、武器や装備を売るスペース
二階はギルド関係の部屋と宿。<スーさんが本を参考に建てたから当然だ>
問題になったのが食堂で、東領が出来たときにバーベキューコンロを使い
自分で焼いて食べる楽しさを覚えた神々が、ジャワ島のように異次元倉庫に
入っている料理メニューから選ぶ方式の食堂では満足出来ないので
スーさんの提案で料理人とウエイトレスをおくことになった。
取り合えず従業員は女性エルフと売れ残り漁子になるらしい。
ヘファイトスの新しい工房も一階に出来ている。
ギルドの裏に工業神の新しい工房とゴーレムのテスト用に広い空き地、
後でゴーレムの闘技場になるらしい。
じいちゃんは「ハンターギルドと酒造所が必要じゃったしのぉ
二回目の米を急いで収穫したんじゃ。
住民が増えたら塀の外に田と畑を作ったら本と同じ街になるじゃろ
これで大豆・米・大麦・小麦、味噌と醤油の材料が揃ったの。
ワシがヒョウシ殿のところに持っていくかのぉ。
発酵の神と菌関係の神も降りてきたからの、紹介せんとのぉ」
俺は「じいちゃんはヒョウシさんがお気に入りだよな?」
「ワシだけじゃない他の神もじゃ。彼を神にしょうと思うての、
今、口説いておるんじゃがのぉ」
「俺も息子のシロシさんに説得を協力してもらうよ。
ヒョウシさんに会うんだったらアイテムバッグと水袋を届けて欲しいんだ」
「プレゼント作戦じゃの。酒も持っていくかのぉ」
じいちゃんは「それで本題じゃがの、ゴートの胃の中から小豆が出てきたんじゃ」
俺は「小さな魔獣も解剖すれば果物や野菜のある場所が特定できるな」
「それで解剖神をギルド長にしたんじゃ。娘は可愛いしの、
ワシとばあさんのお気に入りじゃ」<友広は昔から静のお気に入りに弱い>
俺は<悪魔な性格がなければ可愛いからな。話題を変えないと>
「俺は今から小豆を探しに行くよ」
じいちゃんは「小豆は弓神がエルフの指導ついでに探してくるそうじゃ。
友広があの娘をばあさんに会わせたそうじゃのぉ、気に入ったんじゃのぉ」
「気に入ったわけじゃないよ。彼女に魔法を教えてもらったからな、
ばあちゃんに会わせて女神に、と思っただけだよ。俺にロリ趣味はない」
「ばあさんのお気に入りじゃからのぉ。良い子じゃと思うぞ。
まぁいい、工業神が昨日最後に作った機体を10機ほど欲しいそうじゃ」
俺は「作って来るよ」ギルドの裏に出来た工房へ向かった。
俺は「工業神様、昨夜よく考えたんですが
今のゴリラ型では下り坂で転倒する可能性が高いです。
足を長くして膝から下と足を大きくします」
工業神は「下り坂なんて考えてなかったな。助っ人が来てから改良しよう」
<助っ人?>やはりヘルメスがやって来た。
デルモンは「可愛いお、天使だお」チチまでも「可愛いし美人」と言い出した。
俺はさっきの改良点をヘルメスに説明した。
ヘルメスは「足を長くするのは正解ね、足に指を付けて爪の長さが変えられて
カカトにも爪が出るといいよ。イメージ出来た?」
俺は小声で「お前が乳を押し付けてこなければ出来そうだ」
俺はゴリラ型を改良した機体を作った。
俺は「足ペダル先にスイッチを付けましたから、
足の指を動かし爪を出すテストからお願いします」
デルモンは「神様、使い方で蹴りが武器になりそうです」
工業神は新しい機体を動かし「いい感じだ。この機体に武器を持たせてみるか?」
俺は「スコップを作りますから、下りのテストをやりたいので
この空き地を掘って中央に山を作ってくれませんか?」
スコップを使ったテストを俺とヘルメスは眺めて次の改良点を探した。
更に改良した機体を10機作った。
ヘルメスは「昼から付き合ってくれない?山羊を狩って儀式をやり直したいの」
「昼から他の用があるからな、お前の儀式はバフォの格好をするんだろ?
エルフが今、山羊を狩っているからな、森で裸になるのも行くのも禁止
それとスカートが短か過ぎるぞ」「分かった」
ヘルメスは<おばあちゃんの予想通り、広に独占欲が出て来た>
昼食は今日開店のギルド食堂で済ませ、
俺は「ヘルメス、ばあちゃんのところに真っ直ぐ帰るんだぞ」「は~い」
俺はアイテムバッグにお金を入れてヘファイトスの工房で
水袋を貰い夢の島に転移した。
俺は養鶏場に行き、お金の入ったアイテムバッグをシロシさんに渡し
「この魔法バッグの中に普通の家くらいは入るらしいので使ってください。
バッグの中は時間が止まってるから、食べ物が傷みませんよ
もう一個はさくらさんにプレゼントです」
「え!家一軒分入って食べ物が傷まないって神器じゃないですか?
二個ももらえませんよぉ」
俺は「お父さんのヒョウシさんに神になっていただけるように
説得してもらえませんか?さくらさんも喜びますよ」
「親父は頑固なところがあるからなぁ」
「説得するだけです。俺のじいちゃんが神にしたいと言い出したから
ヒョウシさんの家が神器で埋まるかもしれません」
「分かりました。分かりましたよ、説得しますよぉ」「お願いします」
トラ矢でおばちゃんにアイテムバッグを渡し使い方を教えた。
水袋を見せ「おばちゃんは水精霊に頼み辛いといってたからこれを使って」
おばちゃんは「なんだか悪いねぇ。ところでさぁ、トラ三が神様になるなんて
そこらじゅうで自慢して回るからさぁ、あたしゃ、表を歩けなくて困ってんだよぉ。
あんたからトラ三に何とか言っておくれよ」
おいちゃんは「影トラの奴は一番偉い神様と少し知り合いになって
じいさんなんて呼んで調子づいてるんですよ。
いつ一番偉い神様が怒って来るかと思ったら、夜も寝れずに困ってるんです」
俺は「トラさんが将来、神になるというのは本当です。
じいさんとトラさんが呼んでいるのは、俺の祖父ですから心配しないでください」
おばちゃんは「えぇ~、あれは本当なのかい?」
「この世界の神にはなれると思います」
奥からトラさんが出て来てた。
「おばちゃん昼間から大きな声を出してうるさいよ。ご近所迷惑ですよ。
お、なんだ青年が来てたのかぁ。今日はなんだい?」
「おばちゃんにプレゼントを持って来たんだ」
「青年、あれだけ美女に囲まれて、今度はおばちゃんを口説いてんのか?
物好きだねぇ」「日ごろ世話になってるお礼だよ」
トラさんは「そうだ青年、青年からおいちゃんとおばちゃんに俺が神様に
なるって言ってやってくれよ。年寄りは疑り深くってしょうがないよ。まったく」
おばちゃんは「今聞いたよぉ。神様も物好きだねぇ」
おいちゃんは「ところで影トラは何の神様になるんだい?」
「そりゃ~あれだよ…何の神と聞かれてもなぁ。ほら、あれだよ…あれ?」
おばちゃんは溜息をつき「あたしゃ、当分、表を歩けそうにないねぇ~」
おいちゃんは「こんなことだろうと思ったよ」ガックリ肩を落とした。
トラさんは「青年、俺は何の神様なんだい?」
「普通、得意なことでその神になるから、トラさんの得意は何?」
「おいちゃん、おばちゃん、俺の得意って何だ?」
おばちゃんは「昼寝じゃないかい?」
「バカいってんじゃないよ。昼寝神なんて格好悪くてお断りだよ。
おいちゃん、ほら、何かあるだろ?」
「影トラの得意は失恋だな。これは誰にも負けやしないよ」
「違うだろ、おいちゃんもっと強そうな何かあるだろ?
よし、俺がモテないのはよぉ、口車なんて姓だからだよ。
決めた、俺は今日から長尾影トラに改名する。どうだ青年いいだろ?」
「いいと思うよ。トラ三は島民のことを思って献身的に働いているから
献神がいなかったら献神だろうけど、すでにいたら謙神になるかもしれないね」
トラさんは「青年はいいこというねぇ、献身的で謙神になるのか、この僕が。
おばちゃんの下の世話をがんばらないとなぁ」「トラさん俺は帰るよ」
「そうか青年、また遊びに来いよ。じいさんによろしくな」
東領に帰るといつもの夕食という名の宴会が始まっていた。




