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ヘルメス


『モンペ、またな』『はい』俺は東領に帰った。


 東領では、夕食という名の宴会がすでに始まっていた。

宴会は工房が並ぶ地区の道路とホームの公園で行なわれるが

神々が公園で、ドワーフ・エルフ・元ハジメ村の人々は道路である。

まだ馬車が無いので道路は安全で石畳に椅子とテーブル。<実にいい雰囲気だ>

料理は工房の中で作るかバーベキューコンロを使うかだ。


 アスカたちのテーブルにヘルメスもいた。<なぜ?>

ヘルメスは黒のエルフ衣装に黒のストッキング。

<黒の服に白い下着、わざと見せてる、悪魔だ>

アスカは「神粘土ちゃん、彼はさっき話した婚約者の友広、

広、この子は私の仲間、神粘土ちゃんよ」

ヘルメスは「初めまして、ヘルメスよ。席を替わるね」アスカに背を向け

子犬のような瞳をし小声で「今日のことはしゃべらないで、お願い」

アスカは「神粘土ちゃん、ヘルメスって名だったのね?」

「うん、神粘土は卒業して神粘着テープになったこともあるの~

今はヘルメス・神工芸よ」アスカは「相変わらず紙に関しては天才ね。

広、彼女はねぇ~、神界でヌーディスト神楽園の発案者で代表なのよ

彼女に私の裸像を紙粘土で作ってもらったことがあるの」

俺は<アスカのしゃべり方が少し幼稚化した

昔のアスカは精神年齢が低かったからな>「子供が代表なのか?」

「広、失礼よ。胸を見れば分かるでしょ。彼女はレディーよ」

「アスカが神粘土ちゃんなんて呼ぶから子供かと思ったよ。ヘルメス悪かったな」

ヘルメスは「いつも子供に間違われるから気にしてないの~」

俺は「ところでアスカの裸像はどこにあるんだ?」

「静おばあ様が保管しているわ。

広、ヘルメスちゃんは私の妹みたいな子だから仲良くしてね」「あぁ」


 アスカは「そうだわ、ヘルメスちゃん。広に神箱芸を見せてくれる?」「いいよ~」

ヘルメスが魔法を使ったのか?テーブルの上に小さな魔法陣が出て来た。

魔法陣から小学生が箱で作ったような小さなロボが出現し動き始めた。

アスカは「広、凄いでしょ」「驚いた。天才だな」

アスカは「広は動かない武器は出せるけど動く物は出せないから

後でヘルメスちゃんに教えてもらったら?」

俺は<ゴーレム作りに役立つ>「ヘルメス、教えてくれ」「先生と呼ぶの~」

「先生、お願いします」「いいよ~、教えて上げる~」

<俺がヘルメスを連れて来たことをスーさんに口止めしないと>

「スーさんに話があったんだ。ちょっと行ってくる」

 

 スーさんは「君が連れて来た可愛い女の子はリョウコの神友らしいです」

俺は「アスカの友達らしいのですが、

紙関係でリョウコと顔見知りでも不思議ではないですね」

「そういえば、七夕釣り大会のときに

アスカちゃんに友達を神界から招きたいからと相談されたことがありました。

紙を使わせたら天才というのは、あの子だったんですねぇ」

「俺がゴート狩りで彼女を見つけて、ここに連れて来たことはアスカには

秘密にしてください」「分かりました。友広君は守備範囲が広いですねぇ~」

「スーさん何か誤解してますよ」

スーさんは疑いの眼差しで

「彼女はリョウコたちと君の愛人ハウスに住むようですが…」

「俺は愛人ハウスの存在なんて初めて知りました」

「リョウコが前に君の愛人なったから家を貰うことになったので

どんな間取りがいいのかを聞かれましてねぇ、丁寧に教えて上げました。

隠さなくてもいいですよ。私は口が堅いですから秘密は守ります」ニヤリと笑った。

「スーさん誤解ですよ」「まぁ、私を信用してください」

俺は<スーさんは俺をからかって遊んでる>

「そろそろアスカのところに戻ります」

「後ろめたい気持ちでアスカちゃんが怖いですよねぇ」

「アスカに対して後ろめたいところはありません」


 俺がアスカの元へ戻る途中、ヘルメスがやってきた。

ヘルメスは「アスカに今日のことは絶対にしゃべらないで。

じゃべったら私がアソコに付けてた剣を大事そうに持ってることをバラすからね」

「お前は悪魔のような奴だな。なんで剣を股間に貼り付けた?危ないだろ」

「バフォメットは両性具有だから、どんな感じなのか興味があったの~

ボス山羊の本物もあったけどぉ、汚いから剣を付けてみたの~

サヤに入った剣でぇ~、怪我をするような子供じゃないの~」

俺は「可愛くしゃべってもダメだぞ。内容が悪魔だ。

お前がボス山羊を倒したのか?」

「相手が山羊だから紙おむつを食べさせて~、苦しんで弱ったところを剣でブスリ。

簡単に倒せるよぉ~、それで返り血を浴びて紙の服がダメになったの。

それでね、紙粘土で作ったバフォメットの頭と羽を貼り付けて休憩してたら

血の匂いで狼に囲まれて、あなたに助けられたの。運命の出会いね」

俺は<悪魔だ>「お前は子供、いやレディーがあんな所で何をやってたんだ?」

「山羊は儀式に必要なの~、常識よ」

俺は「バフォの格好をして悪魔の儀式じゃないのか?」

「女が泣くと弱い男を生贄に誘き寄せたの~」「俺が何の生贄だったんだ」

「私の生贄、夫よ運命ね。それからお前じゃないでしょ。先生と呼ぶのよ、いい?」

「お前、いや先生、その容姿を利用して他の男を捕まえてくれ。

アスカに怪しまれるから戻るぞ」


 俺たちが戻るとアスカは「随分、時間が掛かったわね」

「俺にゴーレムの先生が出来た話をスーさんにしたら、どんな女性かと聞かれて

子供に見えるヘルメスのことを説明するのが大変だったんだ。

ロリ趣味だと思われると辛いからな」「確かに説明が難しいわね」「だろ~」


 別荘に帰り俺は魔法を教えてもらうことした。

ヘルメスは小声で「昼間の剣を貸して」

俺は<今は悪魔でも必要だ>「ヘルメス、北東十神剣を使えるのか?」

「私は期待出来るレディーなのよ。任せなさい」

<こいつ北東十神剣で機体が出せるのを気付いてたのか?>

ヘルメスは北東十神剣を使い人体の骨だけのような機体を出現させた。

それを一度消してヘルメスは「ロボに必要な骨組みだけを出すね」

俺は<骨組みだけを出せるんだ。こいつのイメージ力は凄い>

ヘルメスは俺に各部の説明を始めた。

説明が終わると骨組みと筋肉が付いた機体を出して説明してくれ

「伸縮金属なんて君にしかできないから良く見て覚えるの

動くときのバランスの取り方は自分の体で考えてね」

<俺のことをアスカに聞いたのか?調べたのかどっちだ?>


 ヘルメスは「これでイメージ出来るようになった?」

俺は<動く機体をイメージ出来る>「イメージ出来る」

魔法陣が出現し骨組みと筋肉だけが付いた機体が出て来た。<魔法陣が出て来た>

ヘルメスは「覚えのいい生徒さんですね~、では次に動きをイメージしてね」

もう一度骨組みと筋肉だけが付いた機体を出し「前進」前進した。

ロボに停止・後退と色々な動きをさせてテストしたが命令に従って動いた。

俺は<魔法陣、動く物でも魔法で出来る>「先生、ありがとう動きました」

ヘルメスは「これでロボは出来ますが、二足歩行ロボはバランスを取るのが

難しいので大きなロボを作るときには尻尾を付けるといいです」

俺は<確かに、恐竜に尻尾がなかったら二足歩行は無理だ>

「先生、勉強になりました。先生は女神になりたくないですか?」

「それがね友広君、先生は紙を使って遊んでいましたから、

上に神が付いて下に神が付かなくなったのですよ」

俺は「先生が工芸の女神になりたいなら、アスカと一緒に訓練をするといい。

俺のばあちゃんなら女神にしてくれるはずです」

<ばあちゃんならこいつの悪魔な性格を矯正してくれる>

「それ本当?」「あぁサンを神にしたのは俺のばあちゃんだからな」


 ばあちゃんにヘルメスを会わせ女神にしてもらう計画をアスカに話した。

アスカは「広、それはいい考えね、ヘルメスちゃんと一緒に訓練出来るわ

明日、今から静おばあ様に会わせるわ」ヘルメスは「訓練?」

俺は「アスカもやってる訓練だから天才の先生なら大丈夫だ」

アスカは「ヘルメスちゃん行きましょ。

広、今夜はメカケにヘルメスちゃんと一緒にお泊りするわ」

俺は<計画成功、悪魔と一緒に寝なくて済む>「おぉ、がんばってな」


 俺とサンだけになってしまった。<考えてなかった>

俺はサンに昼間のことを話しアスカには秘密にするように頼んだ。

俺は「ヘルメスはゴートのボスを倒したらしいが、生物のことを

よく知ってるから弱ったところで急所を一突きしたんだよ。悪魔だよ」

サンは「バフォメットの頭と羽を見せて」「俺が持ったままだったな」

バフォメットの頭と羽を出して見たが出来栄えに驚いた。

サンは「これで重さがあったら本物だよね?」「だよな」


 サンは「七夕の日、ジャワ島は神々で混雑してたから

彼女は子供だと思われこの世界に降りられなかったらしいの。

翌日降りて来たらしいんだけどね、彼女は生きた魚に興味があったらしく

宴会場の厨房で魚をさばいて何日も楽しんでいたみたいなのよ。

そこでリョウコと再会して森が側にある東領に連れて来てもらったらしいの」

俺は「生きた動物が目的だよな?悪魔だ。今日は疲れたからもう寝よう」

「そうだね、おやすみ」


 翌朝、弓神が残りの猟師を指導するため、

ヘファイトスの工房に集まる予定だったがスケさんと先に会った。

スケさんは「ヘルメスは、あれからどうなったで御座るか?」

俺は「ヘルメスは悪魔のような性格だからな、ばあちゃんに預けたよ」

スケさんは「若、子供は何にでも興味を持つから可愛いで御座るよ」

「あれで大人だぞ。ヘルメスにスケさんの眷属を近づけない方がいいぞ。

ボス山羊を一刺しで仕留めたらしい」スケさんは「それは無理で御座る」

「じゃボス山羊の剣をどうして持ってた?」

「拾ったで御座るよ。あの子が一刺しで仕留められるはずがないで御座る」

バクチは「これは、あっしが言ってるんじゃありやせんよ。

最強神様は悪魔と呼ばれていやす。混ぜてはいけない気がしやすが…」

俺は<マズかったか?アスカも…>「そんなことはないだろ?」


 俺たちはヘルメスの話をしながらヘファイトスの工房に着いた。

ヘファイトスは「ハンターギルドのギルド長が決まりましたので紹介します。

こちらが友広君と関係の深い医大管理神の解剖神様です」中年の女神だった。

俺は「解剖神様が女神だとは思いませんでした。よろしくお願いいたします」

解剖神は「私は幼いころから生物がどうして動くのか?知りたくて研究してたら

解剖図マニアといわれてねぇ、解剖神になってしまった」

ヘファイトスは「解剖神様の研究室に置いてある

生態模型はどれも細部までよく出来ていますよ」

「あぁ~、あれは娘の神粘土が作った物ですよ。

親に似て困っています。早くいい旦那が見つかるといいのですがね」

俺は<ヘファイトスさんが昨日の裸の子だと気付いたら大変だ>

「そういえば昨日、森で助けた子が神工芸だと名乗った気がします」

解剖神は「それは私の娘です。ここにどうやって来たのかしら」

俺は「俺の婚約者のアスカがこの世界に招待したみたいです」「アスカ?」

ヘファイトスは「美の神が最強神様にアスカと名をもらい彼の婚約者なんです」

解剖神は「それで娘は今どこに?」

「俺の祖母、最強神のところにアスカと一緒にいます」

解剖神は満面の笑みで「それはよかった。よろしく頼みます」

解剖神は「よかった、よかった」といいながら工房から出て行った。


ヘファイトスは笑い「友広君の婚約者が増えたんですね?」

俺は「違いますよ。ロリの趣味はありません」

ヘファイトス「この本に載っている女の子、胸の大きさは違いますが

このゴスロリの亜神、昨日の子に似てると思いませんか?

子供用のゴス衣装を作りましょうか?」

「やめてください。ヘファイトスさん、

本の異世界がお気に入りなのは分かりますが離れてください。

それよりアイテムバッグを数個ください」

<ヘルメスに昨夜のお礼をしよう。ヘルメスのバッグだ>

「この棚からお好きな物どうぞ」


 工業神が来て「友広君、探しましたよ。モンペに聞きました。

早速シミュレーターを作ってもらえませんか?」

弓神は「狩りの指導は私たちでやりますから、そちらを手伝ってください」

ヘファイトスは「ゴーレム製作に役立つ人体構造に詳しい女の子を紹介しますよ」

工業神は「ヘファイトス頼む、紹介してくれ」

俺は「工業神様、ヘファイトスさんは俺をからかってるだけですから行きますよ」


 俺は工業神の工房で『モンペ、シミュレーター作りのサポートを頼む』

『あなたのイメージで作ればいいわ。作って改良を重ねるしかないわよ。

大会用だったら不可視モードは付けない方がいいわよ』『そうだなやってみる』

俺はゲームセンターにあるコクピット型をイメージして

<魔法>魔法陣が現れシミュレーターが出て来た。

起動スイッチを押すと画面に何だか分からない映像が出た。

<ゴーレムがないと何の映像だか分からない>

俺は「工業神様、ゴーレムの本体を完成させないと、

シミュレーターだけでは難しいです。先にゴーレムを作ります」

『モンペ、シミュレーターのテストのためにゲーム映像を出してくれないか?』

『対戦相手なしのシミュレーターゲームを出します』


 デルモンは「神様、これを使ってもいい?」

俺は「いいけどゴーレムを動かす練習用だから、面白くないぞ」

デルモンはコクピットに座り「神様、凄いです。面白いじゃないですか」

俺は<この世界の人には、この程度で面白いんだ>

工業神は「あと二台作ってくれないか?」

「シミュレーターだけをテストしていますから待ってください」

デルモンがシミュレーターで遊んでいるのを眺めてチェックした。

神々が「私もやりたい」と騒ぎだすので押さえるのに苦労した。


 俺は<シミュレーターは出来てる。後はセットで作ればリンクするはず>

<この世界は魔法だ。機械の知識は邪魔になる>セットでイメージした。

二つの魔法陣が出現しゴーレムとシミュレーターが出て来た。

工業神がコクピットに座り「俺にやらせてくれ」

工業神はゴーレムに色々な動きをさせて

「いいですよ。まだ俺の操縦が未熟なだけだ」

俺は「操縦に少し慣れたデルモンにやらせてくれませんか?」「そうだな」

交代したデルモンは「神様、バランスを取るのが難しいです」 

セットで作り直し操縦してみては問題点を探した。

俺は「工業神様、後は少しづつ問題点を潰していくしかありませんね?

戦闘テストで問題点が出て来るでしょうから焦らず作りましょう」

「そうだな、秋までに何とかすればいいだろ」

神々は改良で増えた機体を使い喜んで遊んでいた。


 俺は操縦していないデルモンに「ジュシーに西領の香辛料と麻袋は

他の領より先に商業施設で販売を始めるからと伝えてくれ」

「農業神様と豊穣の女神様が来てくれて、毎日収穫で西領は大忙しだお」

俺がここで好きなことをやって申し訳ないお」

俺は「気にするな。デルモンが農業用の魔道具を作れば感謝されるぞ。

デルモン、語尾にまた『お』を付けてるな。チチを狙ってるな?」

デルモンは慌てて「狙ってないお、です」「襲うなよ」「襲いませんよ」

チチ、デルモンと雑談していると夕食という名の宴会が始まりだした。






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