ゴーレム
翌日からゴヘイ領・西領・ワカメの各村・エルフ領とツダ塾の順に配布が終わった。
じいちゃんは「これからが問題じゃのぉ。明日からブタ肉を売り出すんじゃが
各領の住民が一斉に来られても困るしのぉ。
それにのぉ、金の使い方を理解できていればいいんじゃがのぉ」
トラさんは「じいさん、金の使い方なんてさ~、子供でもすぐに理解できるよ。
俺なんてよぉ、子供のときから店の金をくすねて怒られたもんよ。
一斉に来るのは、この前見せてもらったゴーレムの胸に『密です』と書いてよ
転移門の前に立たせりゃいいじゃないか。密でないときにはな、背中を見せて
転移門の横で待機させるのよ。なぁいい考えだろ?」
じいちゃんは<ハーレムが1体、モンペが4体を動かせるか>
「それはいい考えじゃのぉ。お前さんらを神にするのはまだじゃが
何か褒美をやらんとのぉ。じゃがのぉ、嫁は無理じゃ自分で探すんじゃ」
トラさんは「じいさん、俺の心を読みやがったな。
神頼みでも嫁は無理かい?褒美はゆっくり考えさせてもらうよ」
モンペがゴーレムを動かせるように改良しテストしたが
モンペは4体のゴーレムを完璧に動かせた。
だがハーレムは前進と停止以外出来ないことが分り、
じいちゃんはハーレムに「お前はしばらく行動制限をかけ島送りにする
慰留はしないぞ。まぁジャングルで遊んでおれ、マージャングルでじゃ」
ハーレムは厄病除けの札と同じ島へ送られ、モンペが5体を動かすことになった。
ゴーレムが背中を向けるのは無駄な動きが多くモンペの負担になるので
『密です』は赤旗に書くことになった。
モンペは『あなた、体が出来たわよ。やって欲しいことない?』
『モンペのゴーレムは見たくないぞ。その体はゲームと同じだ。
モンペはコントローラーを握って動かしてるだけだ』
モンペは『でも南西十剣ならあなたの望む体が顕現するかもね?』
俺は『それはダメだ。美女ロボットなんて知らないからイメージ出来ない。
ロボは知ってるけどモンペは「キーン、んちゃ」やダルマ型になりたいのか?』
『それにはなりたくないわね。だけどビルから飛び降りる隊のリーダーで
義体化した美女がいるわよ』『確かに、だが義体化した美女がお前の体に
この先ずっとなるかもしれないぞ。俺はあの美女を出して剣に戻す勇気がない』
『それはイヤ、子供が作れないと二号の資格はないものね?』『そうだぞ』
アスカは「このゴーレムにコントローラーを付けて
魔獣退治ゲームが出来そうだわ」
俺は<アスカは気付いたな。マズイ展開だ。剣を探すのが遅れる>
周りの神々は「面白い」「それはいいアイデアだ」と騒ぎ始めた。
じいちゃんは「それは面白そうじゃ。この領から出ないでも魔獣退治が出来るのぉ
基本機体を各神が改造して大会をやるんじゃ。チームでやるのがよさそうじゃ。
リモートも流行しておるようじゃしのぉ。
まずは専門家会議を開きルールを作らんとのぉ」
カクさんは「このあたりに大会会場になりそうな魔獣はいないで御座る」
ヘファイトスは「この街の地下に魔獣が出るダンジョンを作り、
そこを会場にしませんか?それで塔のような高い建物も作りましょう」
俺は「神が人を子供たちと呼んでファミリアを作ったりですか?
本を見たんでしょ?」「バレましたか。でもダンジョンコアなんて
君が作らないと自然に出来るはずないです。やりませんか?」
「今は暇がありませんから考えておきます」
スーさんは「ダンジョンの前に薬草を集めてゴブリン退治ですよねぇ、
その後はオークが定石みたいですよ」俺は「みなさん本から離れましょう」
じいちゃんは「色々あるようじゃがのぉ、商業施設が安定するまでは無理じゃ。
それまでに研究は出来るじゃろ。まぁ秋の収穫が終わってからじゃ」
翌日からブタ肉の販売が始まった。だがゴーレム見物の住民が押し寄せた。
転移門の前で屯して中に入ろうとしないのだ。
モンペが『中へどうぞ』というような仕草をして見せると
住民は「お~、動いたぞ」と騒ぎ拍手をし更に盛り上がった。
俺は『モンペ、住民が飽きるまで動かない方がよさそうだ』『そうね』
ただゴーレム見物が目的だった人は一度動いて長時間動かないと
興味を失い帰り、ブタ肉が欲しい人は中に入った。
だが子供たちは諦めず、人が大勢入ると『密です』の旗を振り動くことを発見した。
それが住民に伝わると人が中に入ると拍手をするようになり
それを恥ずかしがって帰る人、手を振りながら拍手を受け喜んで中に入る人など
娯楽の少ないこの世界の人は転移門に人が入るだけで「あと少しで動くぞ」と騒ぎ
ゴーレムが『密です』の旗を振り動くのを見て楽しんだ。
じいちゃんはそれを見て「衣食住、揃ったからのぉ。娯楽も必要じゃのぉ」
トラさんは「なぁじいさん、あのゴーレムを褒美にくれよ
褒美に温泉がいいと思ったけどよぉ。ゴーレムに荷車を引かせてな
子供たちを乗せて遊ばせるのよ。どうだい?じいさん」
「いいじゃろ、温泉は無理じゃがのぉ、大きな風呂を褒美で作ってやるかのぉ。
もちろんゴーレムもじゃ。ワシに任せるんじゃ」「恩に着るよ、じいさん」
のちに、じいちゃんが約束を守り大浴場とゴーレム馬車を夢の島に送った。
最初は湯遊園と呼ばれたが、
その後、魔法仕掛けの遊具が増え野外ステージが出来、
遊園地十島園と呼ばれるようになったのである。
三日ほどで商業施設が安定したので、じいちゃんは稲刈りを始めた。
俺が南西十剣をじいちゃんに貸したままにしていたのは
ワラが欲しかったからだ。
俺はアスカに「ワラを持ってマリアのところにいってもいいか?」
アスカは「でも広は物欲しそうな顔をしてはダメよ」
「物欲しそうな顔はしないから」
俺がマリアを見に行くと子供を取られるのではないかと
警戒されるのでアスカに行くことを禁止されていたのだ。
アスカは「医師を連れてくるから、ちょっと待ってね」<獣医なんていたんだ>
アスカが連れてきたのは仁王門だった。仁王門はニヤリと笑い「久しぶりね」
アスカは「今、リョウコは私と一緒に訓練してるのよ」
俺は「最近見かけないと思ったよ。灯台元暗しだな。だが何の訓練だ?」
仁王門は「メジャーになるための美しい所作」「無理じゃないのか?」
「そうなんだよぉ~。何とかしてよぉ」「それも無理だな」「ケチ」
俺は<ばあちゃんは何を考えてるんだ?>
実はアスカがばあちゃんに「広は仁王門に気があるみたいなの」と相談し
ばあちゃんは「心配しなくても大丈夫よアスカ
そうねぇ仁王門をアスカの側に置きましょう。
アスカは仁王門とお友達になりなさい。
仁王門は友人の夫に一人で近付けないし、
友ちゃんの困った顔が見られるわよ」「流石、静おばあ様」
俺たちはマリアの様子を見に行き、ワラをダンボールハウスの側に置いた。
『半蔵、仲間と食べてくれ』『神様、いつもありがとうございます』
仁王門は部屋を点検して回り「順調ね、どこにも問題ないよ」
俺は「マリアを診察しないのか?」
「それは神界から監視してるから大丈夫、私がやるのは機器の点検」
マリアにドクターテンを掛け<マリアに警戒されないように早く帰ろう>
「マリアは元気そうだし帰ろう」アスカは笑い「そうね」
東領に帰った俺はツダ塾にワラとふとん袋を持っていき
「前に約束した、ベッドに使うふとんだ」
ふとん袋にワラを入れ説明した。「時々、中のワラを入れ替えるんだぞ。
もっとワラが出来たら倉庫に入れておくからな」
ツダ塾のエルフたちはふとんを部屋に運び寝心地を確かめ喜んだ。
<なんだか毎日時間に追われて雑用係になった気分だ>
俺は<チチを製作関係の神たち会わせたいがアスカが怖い。
デルモンも一緒に会わせればいいんだ>
チチとデルモンを東領に連れて来ると二人は周りを見て固まった。
<商業施設はまだ地下だけを使用しているから、見たことがなかったんだ>
二人を製作関係の神たち会わせ
俺は「この世界で工業関係に興味を持つ二人です。色々と教えてやってください」
工業神は「丁度良かった。ゴーレム作りを手伝ってくれ」
二人共、転移門のゴーレムに興味があったらしく喜んだ。
工業神は「友広君、コントローラを使うと反応が遅くゴーレムが
立つことさえ難しいのだが、いい方法を知らないか?」
「ヘッドギアを使えばいいと思うけど
説明が難しいのでモンペに聞いてください」
俺はじいちゃんから剣を取り返し、隊のリーダーを顕現するため
モンペに見つからないようオーク森に来た。<出て来てもすぐに消す>
義体化した美女リーダーをイメージしたが出て来ない<肉体の部分が無理だな>
だが自動車・ダルマ型・んちゃも出て来ないが種まき機は出て来るのだ。
<なぜ?モンペに手伝ってもらわないと俺のイメージが未熟なんだ>
東領に帰り『モンペ、ジープを出してみたいからイメージをくれ』
『街中で走らせたら危ないわよ』『出すだけだから』
だがジープは出て来なかった。
<何かを製造・生育に関わらないと無理なのか?ポンプは…?>
試しに製氷機をイメージすると出てきた。<ロボ製造機は無いよな>
いつものように夜は宴会になり、神々の話はゴーレムのことばかりだった。
アスカは「ゴーレムは可愛くないから
ゲーム用のキャラメイクみたいに出来ないかしら?」
俺は「工業神様、人形をゴーレムのように動かすことは可能ですか?」
「人形の関節部分がしっかりあれば可能だと思う」
「素材は何でもいいのですか?」
「関節に魔法陣を書き込むから戦うなら鉄くらいの強度は欲しいな。
君がオリハルコンで作ってくれればベストだけどな」
俺は別荘に帰り『モンペ、ゲームのキャラメイクをイメージした
マシーンは出来ないかな?』『ゲームのキャラメイクは参考になるけど
やはり関節部分が問題ね、ソフトを作ってもらった方がいいよ』
俺は『モンペはソフトを作れないのか?』
『知識はあるけど私が自分で自分を改良出来ないようになってるから
自作のソフトは入らないのよ』
『そうだよな、お前が暴走したら世界が消滅するよな』『そうよ』
俺は<ソフトを誰かに頼むしかないな>
アスカとサンにキャラメイクのことを話し手伝ってもらうことにした。




