太夫・トラ三・日記
俺たちは無視して行こうとしたとき、マナティが「リョウコが来た」
向こうから、二人の女性がこちらに歩いて来たがエルフではない。
容姿は若作りの水商売風の女性で、着ている物は日本の着物だけど丈が短く
大事な所がギリギリ見えない危ない格好をしている。
女性は「アタイは海草の『ワカメ太夫リョウコ』遊女でありんすよ、
主が山田のオロチを退治した子でありんすか?
山田様を退治されて怒っている者がいるでありんすよ」
俺は「大蛇を退治して、怒る奴がいるわけないだろう?」
女性は島を指差し「あの島に住むトラ三が怒っているでありんす」
俺は「あの大蛇はワカメ村の人達が間違えて、山田の大蛇と言ったんだ。
本当は大和の大蛇だ。俺が大蛇の中から出て来た剣を見て確認している」
俺は耕運剣を出して「刀族蜘蛛切土左衛門が鍛えた剣、耕運剣又の名を波動剣だ。
これを見れば、あの大蛇が、大和の大蛇だと分かっただろ?」
太夫は驚き「その若さで耕運剣を手に入れたの?大した者でありんす」
「さ~、その耕運剣でよく狙ってアタイのアレを耕してごらん!」
そして大見得を切って大股を開いた。中身がもろに見えたのである。
隣にいた男の子が「太夫、前張りを付け忘れています。もろ出しですよ」
「太夫はいつも前張りを付け忘れるから『開族』なんて言われるのですよ」
太夫は慌てて「あら芋子、海苔を取ってくるでありんす」
急いで股を閉じて恥ずかしそうに内股でモジモジした。
俺達は芋子が海苔を取って来るまで、間が持たなくて困ったのであった。
俺は「太夫、ワカメまでで中身は見てませんから、気にしないでください」
太夫は「アタイは耕運剣と聞いて、ほらね耕して欲しかったでありんすよ」
「焦ってしまったでありんす。太夫として未熟でありんした」と顔を赤らめた。
俺は「耕運剣は水田を作るための剣だぞ、何を勘違いした」
太夫は「このことはもうよろしんすよ、
芋子が前張りノリを取って来るまで休戦でありんす」
俺は「太夫は島に住んでいるのか?」「そうでありんす」
と島を指差し「遊郭島に住んでおりんす。昔はワカメ大将と呼ばれた島でありんす」
『島だけに閑古鳥が鳴くだけで、客がないでありんすよ」
俺は「島から何に乗って来たのか?」
「遊女でありんすから泳いで来たでありんす。そのときに前張りが剥がれたでありんす」
<前張りを取りに行ってる間の、会話経験なんて無い、困った>
俺は「トラさんは柴又のトラさんか?」
「違うでありんすよ。スマトラ島の大トラが三人で、獣人トラ三でありんす」
俺は思いもしない答えに、次の話題に困ったが「桜さんって名の方はいるのか?」
太夫は「あらよくご存知で、マダム桜タイガーは、スマトラ島の隣
桜島にいて、今三つ子の男の子を産んで、三つ男の母と呼ばれているでありんす」
次の話題に困った<間がもたない誰か何とかして欲しい、芋子は急げよ>
俺は「トラ三の誰か、奥さんを貰ったトラはいるか?」
「誰もいないでありんすよ、今はトラ矢で弓の矢を作っているでありんす。
良く当たる矢を作っているでありんすから、敵に良くあたる矢『敵矢家業』が、
俺たちに合っているといつも言っておりんすよ」
俺は「芋子は男だろ?」
「あら耕運剣に、千里眼までお持ちなので、勝てそうにないでありんす」
「斧の芋子は、男の子でありんす」「やはりそうですか」
芋子は海苔を集めてやっと帰ってきて、前張りを張り始めた。
太夫の前張りに海苔を使ったことから、張るときに使う物をノリと呼ぶのである。
ノリのいい人や化粧のノリが良いとは、
太夫の前張りが綺麗に張れたことで、喜んだり綺麗になったことから出来た言葉である。
更に太夫が前張りに使った海苔が乾燥して、食べて美味しいことが分かったのである。
太夫が前張りに使った海苔は、ワカメ太夫の味付け海苔と有名になったのである。
太夫が「準備が出来たでありんす。張り具合は最高でありんす。再戦でありんす
芋子、男殺しのあれを出して使うでありんす」芋子が出したのは絶叫芋であった。
「皆、練習した絶叫芋対策を使うぞ」
太夫たちは笑いながら距離を詰めてきた。俺は「今だ」「はっ」
俺は、ムーンウォークを改良したどこでも滑り易くするための秘儀
『ムーンウォーク・スリラー』を絶叫芋対策に編み出したのだ。
これは後ろを向いて相手から逃げると
テレポートで前に出て来られるとマズイから
相手を見ながら後退することを、俺が考え出したのだ。
開発のヒントは小さな海蛇『マイクロ蛇クソン』を見て得たのだ。
俺たちはムーンウォーク・スリラーを使い3メートルの間合いを取ったのであった。
太夫は「何?今の動きは人では無いでありんす。気持ち悪いでありんす」
そして距離を取って俺たちは眼帯を装着した。
この眼帯は相手の目に対抗するため『眼対』を作って目線対策をしたのである。
太夫たちは絶叫芋の効き目に絶対的な信頼があったので
効き目の無いことに驚き次の手を持っていなかったのだ。
太夫は「アタイらの負けにありんす。遊女の負けは身請けしてもらうでありんす」
俺は「美味しい話だが、お断りします」
俺はトラ三に会ってみたいのでスマトラ島に行き「俺は神捜査官・神コップです」
と職業詐称し信じ易くして、大蛇は山田ではなく大和だと説明したのだ。
トラ三は山田さんに用事があったらしく、それを聞いた太夫が暴走したのである。
トラ三は「そりゃ~太夫の奴が悪い事したな、青年。やけのやんぱち日焼けの芋子
あたしゃ食いつきたいが、おの子はダメよっと来たもんだ。なぁ青年」
俺の知る名調子で笑うのである。<いい台詞を聞いたなぁ来て良かったよ>
桜さんが「も~お兄ちゃんたら、初対面の人になんてこと言うのよぉ~」
「御免なさいね。お兄ちゃんたら悪気はないの」と汗を拭きながら俺に謝罪した。
<懐かしいな、いいよな>
「それからなぁ青年、俺の身内の恥を紹介するよ。こちらが俺のおば様だ」
「何だよぉトラちゃんおばさまなんて、仏様にでもするつもりかい、やだよぉも~」
「それでよ青年、俺が旅の途中で会った。神のクソいやクソだと臭くてたまらないよな、
そのクソいや神の草って奴でよ、何でも15年もここに住み着いてな、
おい青年聞いているか?」「はい聞いています」
「ある危ない青年を待っているんだとよ。神捜査官・神コップじゃ分からないか?」
「はい」「でな、その青年が間違って下半神か上半神が暴れるとよぉ、
この世界がクソになるんだとよ」「どうだ、クソみたいな話だよな。青年」「そうですね」
「トラ三、俺たちはこの辺で引き上げます。ありがとうございました」
「お!またいつでも遊びにこいよ。青年」「はい」
スケさんは「拙者は後で帰るで御座る」俺は「カクさん、今日は引き上げよう」
俺たち二人は手を振りながら飛行した。
「お~、青年は空を飛べるんだなぁ。参ったなこりゃ」
「見上げたもんだよ屋根屋のふんどし、と来たもんだ」
俺とカクさんはメカケに帰り、今日は休みにすることにしたのだ。
俺は最近メカケ内に用意された茶室似た書斎・田舎安で、
漫遊記といえば格好がいいのだが日記を書いている。
本当はアスカへの謝罪文を書かされている、が正しいのである。
夕食後ここで日記を書いていると、スケさんカクさんがやって来て
「若、日記に見栄を張って、波動砲を持ってるとか書いて御座るな?」
俺は「知らないぞ」スケさんは「若、日記の写しがあるで御座るよ」
俺は焦った「どうしてそれを?」「とあるルートで御座るよ」
カクさんは「チジミ千人の夫セイは11頭だったはずですが?」
「間違えただけだよ」「官蛇利八はいたが、蛇ニースはいなかったで御座るよ」
俺は「蛇ニースは人気があるから喜ばせようと思ったわけだ」
「後は見雪は雪うさぎになって御座るし、若だけにお兄さまと呼んだような?」
「それは俺の生命線だぞ、アスカに知れたら殺されるぞ」
俺は「いいか、古事記によると天の岩戸は小さく書かれていているんだ
天手力男命が本当に動かしたのは島より大きい岩だぞ、
小さい岩戸なら俺でも転移できるぞ、伝記は何でも小さく書かれるからな、
俺の物は波動砲でも小さいくらいだよ」
「あとはワカメ千人の物は、猿の物くらいになったが、
俺が再生したとか書けないからな、猿を登場させたんだ」
「だからチジミ千人の夫セイの数も増やしたわけだな。後は真実だぞ」
カクさんは「今日の日記でマイクロ蛇クソンが出てきますが、なんで御座るか?」
俺は「真実だけでは、面白くないし、俺の物がマイクロ蛇ク・ソンと
千年先に書かれると困るから、先手を打ったんだよ」
スケさんは「若、トラ三は普通にしゃべって御座ったが、若には詐欺師の
素質があるで御座るよ。神捜査官・神コップってなんで御座るか?」
俺は「内容は同じだよ。後で読んで楽しくなるように脚色したんだ」
スケさんは「ところで若、ルリーさんは出来るで御座るか?」
俺は「トラさん、何!この子ぉ、将来絶対に有望よぉ、
ねぇ君、お姉さんが飴玉買ってあげるから、付いてこない?ねぇいいでしょ」
「ねぇ、桜さんもいいと思わない?」「まぁこんな感じだな」
スケさんは「若はルリーさんに誘われたことがあるで御座るな」
スケさんカクさんは呆れて「ある意味天才で御座るよ」深いため息をついたのだ。
「ハブはいなかったから、カクさんの角道どうなんで御座るか?」
カクさんは「あれはいるで御座る」
俺は「ところでスケさん遊郭島に行ってたね?」「いかないで御座るが」
「スケさんの歯に太夫の前張り海苔が付いているけど…」
カクさんは「あ!本当で御座る」「海苔はお握りの奴で御座るよ」
「今ここは海苔が切れているよね?カクさん」「そうで御座る」
俺は『モンペ、俺の機密情報がダダもれなんだが、お前じゃないだろうな?』
『私は今それどころではないのです。自分のことで手一杯です』
雪うさぎのことがアスカにバレたが、あとは反省文を書いたとだけ。
スマトラ島のトラ三に会った翌日モンペが
『スマトラ島にオロチが向かっています。
大和の大蛇を殺されたことを逆恨みして、スマトラ島に向かっているようです』
トラさんファンではない若い方には、申し訳ありませんでした。




