神界ビーチ表彰式
表彰会場ビーチに着いた。
「お~着いた着いた。ここが『神ヶ浜』じゃ」
そこで驚いたは、雲の上から降りてくるウォーター・スライダーであった。
海の景色が、ほとんど見えないほどの規模で、
例えると針金が縺れて手のつけようが無い状態といった感じだった。
大きな看板には、『上空一万メートル~神海おのれの名を申せ』と書かれてあった。
<上空一万メートルの驚きより後半の深海が苦しさを感じた。監督ごめんなさい>
あっけにとられて見ていた僕に水戸様が説明し始めた。
「あれはポセイドンが作ったんじゃが、
最初はお前さんの世界と同じような規模だったんじゃ」
「なにせ、ここは変化の乏しい所じゃから、大人気になってのぉ~」
「特に、女神が喜んでのもっと長く成らないとかいわれてのぅ」
「あ~ポセイドンが、女好きの話を先にしとかんとのぉ~」
「この海は、最初からワシが作ってあった物じゃがのぅ」
「ポセイドンは、子供の頃からここが好きでのぉ~」
「それで海神まで昇進したわけじゃが」
「ポセイドンは、自作のボートを毎日浮かべて
『俺はハーレム王に成るだ!』と叫んでおったわい」
「女好きだから、女神の願いはすぐに聞くわのぉ」
「その結果、女神の水着が脱げたりしてのぉ」
「今度は、男神たちの要望は当然長くじゃ。結果があれじゃ」
「いまじゃ誰もあれで遊ばんよ。降りて来るのに、三時間以上掛かるからのぉ~」
「まぁ罰ゲームの時、使うぐらいじゃの」
「『無用の長物』あれが語源じゃ。お前さんもその言葉、聞いたことあるじゃろ?」
「はい、あれが語源だとは知りませんでした」
「あれを壊そうとも思ったんだが、色々な人の意見を聞くとああなるよ。
のいい見本じゃ」
「政治も同じじゃ『皆様の意見を必ず……』なんて言ってる奴は、詐欺じゃ!」
「舌先三寸の見本じゃ」
「知能を持つ生物がおる世界で、全生物納得できて平等平和な、
世界なんて出来ない!」
「創世神のワシが断言する!まぁ努力はするがの」
断言したとろで黄金に輝く後光が差した。
<じいちゃん時々良い事いい出すんだよな~おやじキャグさえなければ…>
「水戸様、僕の人生で今の話が一番感動致しました。ありがとうございました」
僕は背筋を伸ばしお辞儀した。
<おやじギャク・ストッパー利くといいな~>
水戸様は、大粒の涙を流し嗚咽をもらした。
「うむんん、お前さんはやはり良い神になりそうだなジュル。」
「神なったら、すぐにメジャー入りしそうじゃのぉ~」
<じいちゃん~メジャーって?>
<あとは『王様の水着無料』の看板が気にしないよう>
「表彰式の時間になりました。泳いでいる神はすくに上がってください」
「この会場にいる全神は、ステージ前まで来てください」
「小さい神は出来るだけ前へ、各神持参の透明椅子に座ってください」
といきなり会場アナスンスがあった。
<神社の椅子が、折りたたみ式なのはそういうことか>
ステージに着いた時、「オ~ナ~!水戸様の、おな~り~」と声がした。
拍手と共にファンファーレが鳴り響く中を、水戸様が胸を張って進んだ。
<じいちゃんは、神様の階級を、おやじキャグのネタにするために作ったな?>
<やりたい放題だな、さっきの感動かえせよ>
僕は、恥ずかしさから顔を下に向け、
ペコペコとお辞儀をしながら、水戸様の後を追うようにステージ上を歩いた。
ステージ中央に、神社でよく見る椅子が用意されていた。
水戸様は、その椅子の前まで進んで会場の隅々を見渡し姿勢を伸ばした。
そして大きく右手を左右に振った。その瞬間大歓声が上がった。
歓声を上げている神々が、ビキニ・ブーメランパンツでなければ、
感動しただろうに非常に残念である。
一番前に、スクミズを着てオカッパ頭の幼女がいたが、
名前のところに『わ〇し』と書いてあったが見なかったことにしよう。
あとで聞いた話しだが、この幼女の定期水着撮影会が開催されていて
No1、ご当地アイドルの地位を不動のものとしているらしい。
再度ファンファーレが鳴り。
「それでは只今より『第一回研修神捕獲大会』の表彰式を行ないます」
<え!僕、研修神なの?二回目あるの?>突っ込みたくなったが止めておこう。
そして、「神歌、斉唱」とアナウンスされた。
聞き覚えのあるイントロが流れ出した。
予想どうりである「人〇楽ありゃ♪〇もあるさ~♪」大合唱である。
<おぉ~ちょっと感動した鳥肌立った>
歌神様・姫歌神・オペラ神・ヨーデル神・ラップ神などがいらっしゃるから当然だ。
「それでは、優勝神を発表させていただきます」
太鼓の淵を細かく叩き緊張感を煽る音が鳴り出した。
「優勝神を、発表致します。『第一回研修神捕獲大会』優勝は『美の神』~」
大音量で優勝神の名をそして拍手の波だった。
再度ファンファーレが長めに鳴りだした。
「それでは、つづいいて表彰式に移らさせていただきます」
「『美の神』は、玉砂利表彰台の上へお願い致します」
そして、よく耳にする表彰音楽が流れはじめた。
「優勝神、『美の神』前へ出ませい!」
<美の神って犯罪者の?まあ犯罪臭はするけどね。
それに海辺だから白い玉砂利あるよね。お白州だよね>突っ込み所満載だった。
『美の神』様が、入場して来たけど全裸だ。
両手を高々と上げて嬉しそうにやって来た。
神々の皆様は、見慣れているのかシラケぎみである。
僕は、初めて女性の全裸を見たけど美人だが、何故か残念でしかたない。
僕の<初めてを返せ>と言いたくなったほどに、残念だった。
美の神様は、お白州、訂正 白い玉砂利の上を歩きだした。
美の神様は、顔が赤く高揚しているようだ。
<この神様、絶対エムだよね素足だし>
水戸様の前まで来て止まった。
「お前、バスローブくらいは羽織って来いよ。友広君もいるんだから」
「何を、おしゃっているんですか?」
「王様の水着を着ておりますわよ」満面の笑みだった。
「友広君に『裸の王様』の絵本を見せてもらえ!」
水戸様は顔をしかめた。
「騙そうとして用意した服を、自分で着るバカがどこに居るんか」
「それにじゃ、王様の水着配布所はお前が作ったのを、皆が知っておるんじゃぞ」
「皆を裸にして、前から計画してた『ヌーディスト神楽園』を作ろうと思ったんだろ?」
「お前さんは容姿がいいんだから、中身を磨くんじゃ。悪いことは言わん」
『美の神』様は舌打ちをしてた。<性格最悪だな~>
「私は美の神ですよ、有名な絵画だって有名な像だって
皆、裸体ではありませんこと」
「美イコール裸体ですよ!」と微笑んで両手を越に当て胸を張ってである。
「マリ〇ン・モンローのバスローブ姿は色気があって美しかったぞ」
「色気のない美は、名工の作った置物と同じじゃ。反省せい!」
<モンローって古く無い、神々よりずっと新しいのか>
「そんなことより優勝商品は私が決めて、よろしいのですわよね」
「うむ約束じゃからのぉ」
「それでは、餡を使った食品・餡餅・饅頭・羊羹・甘納豆
そして赤福などの奉納・お供えの三ヶ月分をお願いします」
「まてまて、お前さん女神たちに嫌われるぞ、ボッチになるぞ」
「もうすでに、ボッチだから別に構いませんことですわよ」
「なぬ!すごい開き直りじゃのぉ~関心したぞ」
「お褒め、いただきありがとうございます」軽くお辞儀をした。
「別に、褒めては、おらんのじゃが」水戸様は呆れ顔だ。
「三ヶ月分を頂きまして女神たちに配り、ボッチを卒業さてていただこうかと思いまして」
「おぉ~そのような考えが」水戸様ことばが止まった。
ドンドンと太鼓の音が鳴り出した。
<洋楽器あるのに、さっきのがドラムじゃ無い違和感、太鼓を使う予定あったんだ>
「たわけ者めが、ワシがそのような、小ざかしい手に引っかかると思うてか!」」
「お前の、考えなどとうにお見透しだぞ」
「先ほどまで、ボッチを微塵も気にしてはおらんかったではないか!」
「神妙に白状せい!ここはお白州なるぞ~」
<臭いお芝居を見てるの疲れるよ。やはりお白州だった>ついていけない。
「でも今回は、本当でございますわよ。ボッチは寂しゅうございますもの」
「じゃがのぉお前の同じような手は、今度で三回目だぞ」
「まだ、二回目と思っておりましたわ」
美の神様はガックリと膝を突いてうなだれた。
<芝居小屋の、お芝居見たこと無いけどこんな感じかな~>
<もしかして、黒パンはこの世界の女優かもな~>
<だけどすぐ脱ぐって一流女優?あ!そっち系だ!>
<そっち系、アルのか神様~常識からだと無いけど>
頬杖を付き考えごとをする少年の姿があった。
そして少年は答えが出たかのように微笑んだ。
<あったら貰おう。じいちゃんにバレない入手ルートどうするかだな>
「それでは裁きを申し渡す!」一呼吸おいて意を決したように。
「賞品は餡使用商品一ヶ月分を受け渡す~!これにて一件落着!」
水戸様は美の神様の耳元まで近づき小声で
「おいおい、今回だけだぜぇ~お天当様見てるからよ」
いつのまに脱いだか分からなかった、シャツを左腕に通した。
<もう考えたくない疲れた帰りたい。金さん>
水戸様はお白州を背に戻ってきて小声で
「いい三回芝居だったろ。うふっ」
<やっぱり、お芝居だったんだ~黒パンのそっち系アルかも>
<それに、三文と三回無理があるよ。じいちゃん>
「色々考えんで楽しむんじゃ」
「はい」そっち系に心弾ませ軽やかに答える、少年の姿があった。