第二回友広漫遊記、反省会
最後のお金さんには抱きついた。<ばあちゃんにバレろ、バレることを祈ろう>
今夜は男性全員で大浴場に入った。<色々あったし一人で風呂はないな>
大浴場の中は、雪景色で室内温度を下げた、ひんやり効果つきだった。
<少し寒いところで入る風呂は最高だ>女性のお金さんは俺の部屋の風呂に入った。
<風呂好きなお金さんに、大浴場を勧めてみよう喜んで二度風呂しそうだ>
夕飯は和牛のステーキで、共の皆はうまい、うまいを連発した。
食事が終わりお茶を飲んでるときに、モンペから世界樹について報告があった。
『世界樹の高さは三千メートル、幹の太さは直径65メートル
かんじんな根の長さは20キロくらい
一番近い南の海まではあと60キロくらいでしょうか?
花をつけたので成長が、抑えられたと思われます』
『花の説明を付け加えると、花は創世神様の当初からの計画であり、
実を付け種を採集して、世界樹の子孫を増やす。
世界樹の子木とでも呼ぶことにしますが、子木には親木ほどに成長能力はありません。
成長しても二百メートルくらいだと、世界樹を作られた神々は思われております。
子木の能力は魔素吸収能力と、魔素が少なくなったときに排出する能力です』
『子木の葉を使い、回復や治療効果のある薬にはなりません、
作っても効果は望めません
枝の繊維には魔素伝導能力はあります。この能力は世界樹すべての世代に共通です』
『創世神様をはじめ神々は、魔道具製作を視野に入れてのことだと思われます』
『話しを根の方に戻しますが、世界樹の根は現在、
湖の4分の1には到達していますから、魔素の吸収量が増え成長が早まるはずです』
俺はモンペに『塩は根に悪いのではないか?』と聞いた。
『世界樹はそんなヤワではありませんよ。
植物と考えるより、生命体と考えた方がよろしいです』
『その証拠に旦那様が世界樹を再生したときには、喜んでいましたよ
旦那様も感じて話しかけていたみたいですが』
<うん、話しかけて通じる気がした>
『話しを戻します。根は最初から、海の魔素を吸収することを考えて
、旦那様の目の前に居る方が、作られたのですから、塩なんて問題外です』
じいちゃんは何度も頷きながら
「ワシは常に先を考えておるからのぉ、友広は、まだ葵ぞの御紋じゃ、うふっ」
<葵の御紋に引っ掛けたギャグ、ご機嫌だな>
ご機嫌なじいちゃんが「大陸の端に世界樹を植えたのも、理由があるんじゃ。
大陸中央に植えると、大きな影ができるわのぉ、海までも遠いしの
あそこなら東と南の海が近いし、何といっても北に高い山脈じゃ、
山脈に住む者も、今のところ白竜と神様見習いだけじゃ、
世界樹の影で迷惑をかけられる者は、おらんよ」
それからもモンペの説明がつづいた。
世界樹は大気圏まで成長しつづけるようだ。<地球と同じなら百キロ、凄すぎる>
『モンペ、世界樹の高いところで振った雪が、ドッサと下に落ちてこないのか?』
『世界樹の葉に振った雪は、すぐに吸収されます。水分を下から吸収するより
効率的に吸収できますから、根からよりもエネルギーが少なくて済みますし』
モンペの報告が終わり、俺はお茶のつづき、他の皆は酒を飲みながら、
明日からの事を少し話した。領主の名はコモノ・ゴクドでコモノ領と呼ばれてる。
じいちゃんは「世界樹の薬を影狼二人が、こっそり回収して来ればいい
枝の武器と薬を少し残して置くんじゃ、あとは向こうからやって来るよ
その間エルフ領を、住みやすくすればいい。友広、鉄じゃろうが火薬じゃろうが
どんどん作りだせ、ワシが鉄を教えておったら、魔獣に怯えることはなかった」
鉄のことを伝えなかった後悔からか、じいちゃんの長い話しになった。
「『衣食足りて礼節を知る』と言うがの、それに安全な住居じゃの」
「どんな動物でも安全なところに巣を作るもんじゃよ」
「道端や自分を餌にする奴の隣に作ったりせんよ」
「この世界は魔素のせいで動物が、強い魔獣に生まれ変わる、
対抗手段を持たせるべきじゃった」
「ワシは将来のエネルギーを考えて魔素を作った、
ワシのせいで、この世界の人口も発展も思ったより進んではおらん」
「まぁ衣・食・安全な住、足りて神への信仰も生まれるわけじゃ」
「孫の友広は、ワシがバランスの崩れた世界を造ってしまった尻拭いじゃ」
「やりたい放題にやるんじゃ、創生神として許可する」
<やりたい放題の人が責任を感じてる>
俺は「じいちゃん今度はどんな奇跡を起こせばいいのか分からないよ」
「神の奇跡はエルフ領で十分じゃ、奇跡のことは少しづつ広まり、
大きくなって伝わるはずじゃ」
「ワシが前にやったことが、かなり大きく伝わっておったしのぉ
今度はコモノに神罰を与え、目にした人々が、
自分は神罰を受けたくないと、心にきざみこませるだけじゃ
恐怖の出来事も大きく伝わるじゃろう。難しく考えるな」
お金さんとバクチは、明日コモノ領に偵察に行くことになったところで、
今日の話し合いはお開きになり、俺は自分の部屋で寝ることにした。
<今日は色々あったので、眠れそうにないが取り合えずベッドに入ろう>
<まずはナイフ・包丁・鍋・鎌・斧・クワ・剣かぁ>
俺は作ろうとしている鉄製品に木製の持ち手・柄が必要なことに気付いた。
異次元倉庫から木材を取り出し、ナイフ用の持ち手の中にナイフの刃が納まる
持ち手を10個ほど作った<ん~ナイフ本体がないと難しいな>もう寝よう
皆がリビングに移動して、ソファーに座った。
じいちゃんが「さ~第二回漫遊記、反省会と飲み会じゃ」と切り出した。
「最後の皆で手を振るエンディング・シーン最高じゃった。
街道で助けた人と、感動的に別れるシーンなんて目じゃなかった」
バクチが「監督、前から不思議に思ってたんですが、
モンペ姉さんは若を好いているじゃねえですか
どうして撮影に協力してくれるんですか?」
創世神は「監督」と呼ばれて嬉しそうにしていた。
「モンペがワシに協力して欲しいことがあるからじゃ」
「モンペはのぉ、友広が惚れそうな容姿の、女性の体を欲しがっていてのぉ~」
「アンドロイドとかいう、人工的に作られた女性の体を異次元中探しておる」
「もし発見できても、ワシにしか持ってこれんからの、そういうことじゃ」
バクチは「そういうことですか、見つかるとよござんすね」
監督は、白板を指差し「スッタフの意見がでたようじゃ、ほれ、出てこい」
すると白板に文字が浮かび上がった。
1.今日の戦闘シーンは、個々の戦闘スタイルが出ていて良かった。
2.撮影前から異世界で印籠の家紋が通用するのか、疑問だったが
監督があんな素晴らしい、仕掛けをしているとは思わず感心した。
3.世界樹の再生・成長と監督の演出に感動した。
4.開発者として「ドクターテン・私たち心配しませんから」、
を使ってくれて嬉しかった。後はウナギの養殖をお願いします。
5.水遊びは、お金さんが参加すべきだった。お風呂以外も考えるべき。
6.住居の出現、そしてラストシーンは最高だった。若の演技力に驚いた。
監督は「今日の事を、スタッフも最高の出来と評価しておるようじゃの」
「あの陰毛は、カクさんのお手柄じゃ、あの毛を家紋にしたいがのぉ、
普段は隠れてて必要なときに浮き出ると最高じゃが
印籠に細工をしなければのぉ~それが問題じゃ
友広から、ちょっと借りられんものじゃろかのぉ~。
まぁ今すぐには解決できんの、次にいくぞ」
「ウナギ養殖とお金ちゃんのは、分かってないバカがおるようじゃ放置じゃ」
「ラストシーンのことは、もういいじゃろ」
「友広の演技力は少し長い話しになるがの、戦いの前に
『スケさんカクさん、こらしめておやりなさい』と言ったじゃろ
ワシは嬉しかったよ調教の成果に、小踊りしたほどじゃ、
平和な世界で育った友広はのぉ
前から大勢で武器を持って襲ってくる経験なんてないわのぉ
とっさに出た台詞が、幼いころから何度も耳にしたあの台詞じゃ
もっと黄門様の台詞が出て来ても、よかったんじゃがのぉ~残念じゃ
黄門様についてもう少し話しをさせてもらうとの、
黄門様は神の理想の形なんじゃ、
弱い立場の人々を、どこにでも出向いて救い、
権力を傘に悪行三昧の奴にはのぉ、
殺さず『吟味のうえきつく仕置きいたす』じゃ
神として生まれたからには、人々の役に立ちたいのは当然じゃが、出来ない
神が手を出すと、いびつな世界になるんじゃ、ワシはいつも皆に言ってるがの
川と同じでコンクリトで整備した川なぞ、誰も美しいとは思わんよ
何も手を加えない川は、写真を家に飾るくらい美しいじゃろ
話しが反れたが、神々は黄門様を見てスッキリしとるわけじゃよ」
「また話しが反れるが、海球はワシの失敗じゃ、もうすでに壊れかけとる」
「地球の人々が化石燃料を使って、バランスを壊したからのぉ」
「ここは、魔素を使わせてクリーンなエネルギーをと思うたんじゃがの
動物が先に魔素を消費して、魔獣なんぞになってしまった。
魔人になりかけておる者も出て来る始末じゃ」
「ここは積極的に手を出していくつもりじゃ、そのついでに神々に協力させて
神界の活性化をしておるんじゃ、神々は働きたくてたまらんのじゃよ」
「今神々は働いて、うまい酒を飲んで喜んでいるわけじゃよ」
「あ!大事な報告があった。漫遊記の初回放映は3時間スペシャルじゃ」
「お~」「少し恥ずかしいで御座るな」「あっしは6時間はあると…」
反省会と報告は以上じゃ、あとは飲み会じゃ、ウナギの蒲焼も、
まだたくさんあるぞ」
カクさんが「監督、蒲焼は少し甘いから、おつまみにはちょっと」
監督は山椒を出し「これを少しかけてみよ」と渡した。「これはまた旨い」
みんなの酒が進んで、飲みすぎたのは何時ものことだった。
スケさんカクさんによる結界の拡大も。
その夜、俺は美の神とコンムーゴを使う、気持ち良くてスッキリした夢を見た。
美の神は、前の近寄りがたい雰囲気から、柔らかく可愛い感じになってた。
朝起きて<俺の理想の女性、夢補正だ。アスカって名前か?>
<いい夢を見たな、正夢になるかも…それはないか>
コモノ領のことは、お金さんとバクチが世界樹の薬と武器を回収、
あとは領内エルフたちの居場所など、二人の情報を待てばいい。




