エルフの住居と役に立つ木
俺は振り返り「あとはお前達の住居だな」エルフ達は俺に期待の眼差しを向けた。
俺は一呼吸おいて、モンペに指示された、世界樹から南に2キロほど離れた場所に
巨大な魔法陣を、地上から20メートルくらいのところに展開した。
その魔法陣からゲームのエフェクトを思わせる、無数のキラキラと輝く光が出てきた。
俺は、その魔法陣を地面まで徐々に下げていった。
魔法陣が地面に到達すると、高床式のログハウスが無数現れた。
太陽光がスポット・ライトのように、ログハウス全体を照らした。
キラキラと光って、幻想的な雰囲気をかもしだしていた。<何件あるんだ?>
モンペが『上から見ると、横幅の広い漢字の「目」が2個並んだように
ログハウスが配置してあり、ハウスはテラス付きでテラスとテラスの間を、
金ヅルを使用した吊橋を渡しています。ハウスの数は四百と二十、
一軒あたり10人は住める設計です。材料がたくさんあったことと、
この先エルフ領が安定した後の、人口増加を考慮し多めに作られたようです。
高床の高さは、下を通っても頭を打たないように2メートルです』
『モンペ、協力して下さった神々に、今度おいしい物でもお贈り致します。
ありがとう御座いました。と伝えてくれ』モンペは『神々も喜んでいまして、
仕事をありがとう、楽しかったよ。と友広君に伝えてくれと頼まれていました』
『旦那様からの、お礼のことばも伝えておきます』
神々のお言葉に、嬉しくて涙がでそうになった。
<この世界に来て良かった>
エルフたちは大喜びで我先に、ログハウスへ走りだしていた。
カクさん達は「拙者らも参るで御座る」飛行魔法を使いエルフ達の後につづいた。
<ここから3キロはあるのに、エルフ達は大丈夫かな~?>
俺も後につづこうとしたとき、ババーと同年代のハイエルフが後ろにいた。
「小僧ハヨ、ワシらを送らんか」待ち構えていた。
老練だ「ババーは先に行って、家の振り分けを頼む」転移魔法を出しババー達を送った。
<ババー達に気を取られて出遅れた>
俺は最後にログハウスに到着した。
<地上でのエルフ達の動きは遅いと思い込んでいた>
エルフたちが新居に感動し、ソワソワして何処に住んでいいのか迷ってた。
「ババーは何処に行ったんだ?」すると上のテラスからババーの声がした。
ババーは「ワシらはもう住む家を決めた。家の数は十分あるから
取り合えずどれでもいいから決めろ、早く荷物を持って来い。
住んでみて、気にくわぬなら変ればいい」
引越し作業を見ていても退屈なので、飛行魔法で真上に飛んだ。
高いところから住居全体を見たかったのだ。
他の共も同じようで、すぐにやってきた。<同じ思いかも>
「家の側に木が欲しいね、森の中に住んでこそエルフだ」
<何だか寂しい光景だ>
お金さんが「私はテラスや窓から果実を取って、食べてみたいです」
「いいな」「いいで御座る」「それは粋ってもんでさ」
<全員同じなんだ子供心を忘れてない>
眼下に引越しで急がしそうに走り回る、エルフ達を眺めながらそんなことを思った。
モンペに『世界樹がもっと大きくなって、このあたりも影になり困るのでは?』
『森の中で生活するエルフが、葉の影を気にするとは思えませんが』
『確かにそうだな』
朝からの出来事を思い出しながら、上からのんびりと眺めて癒された。
ババーがテラスで休憩している。
<家の中を、まだ見てなかった>
テラスに降りて「ババー家の中を見せてくれないか?」
「小僧がくれた家だ、好きなだけ見ていけ」
「それと小僧、神ってのは……言葉にできない奴じゃの、ありがとうよ」
俺はババーの感謝の言葉が嬉しく、そして少し照れくさくもあった。
「皆が幸福になるように与えられた力だしな、がんばるよ」
<自分の口から出てしまった言葉に、恥ずかしいが嘘はない>
ババーはうん・うんと、うなずき潤んだ目を手で拭いながら笑った。
ただ広いだけの家の中を見て回った。<子供の頃に憧れそして夢だった、
高い木の上の家に住むのもいいな、進化前の記憶かも>
俺は「ババー、今ここにいないエルフはいるのか?
隣の領に駐在してるエルフは、ビックしかいないのか?」
「あと百人ほどいるよ、隣の領に5人、それと今も物資を運搬中の者が
30人くらい、ワシは牢に入られていたので正確には分からん」
「後は、少し離れた平原で薬を作っている者たちじゃ」
「薬を作る施設の名は『元気になるタマちゃん製作一発所』
所の後に『う』を付けるのがエルフの正式じゃ」
俺は「『製薬所』でいいだろ!」「何!ワシと『性交しよう』じゃと
ほれ!いいぞ」ババーは汚いお尻を向けてきた。
「超いりません。話しのつづきをしろ」
製薬するのに火を使うため、製薬所は森から離れた場所にある。
製薬所には現在、女性エルフ60人と護衛男性エルフ5人が働いている。
製薬所の女性は、胸が大きく醜いエルフで、みずから望んで働いているらしい。
<美的感覚の違いだ>
製薬所の責任者は、ババーの弟子で名を「チチ」といい子供のころから、
火を使うことに興味があり、一年間ほど毎日「弟子にしてください」
と頼みに来るので根負けして弟子にした。
森での火の扱いには危険が伴うから、火魔法を弟子にしか教えていないためだ。
二千年前に、胸の大きな女性たちと、数名の男性が東へ向かった。
醜い容姿とさげすまれ、火を好んで使っていたのも、出て行った理由らしい。
火を扱えるのは、その中いる一人の女性がババーの弟子だからである。
森の生活で物を焼いて食べることは、批判の対象になっていたみたいだ。
<食生活の変化が、胸と顔を進化させるかも?>
<早く見てみたい製薬所、美人エルフの可能性が高い>
俺は「ババー製薬所の…、いやエルフの好きな、実の生る木の種を持ってないか?」
「小僧ワシらが種を、色々な場所に隠しているのを、何故知っとる」
「誰から聞いたんじゃ」
俺は「知ってる訳じゃない。家の周りに木がないから、
どうせなら食べられる、実のなる木がいいと思っただけだ」
「小僧、今度は木を育ててくれるのか?今日は無理じゃが、種は後で持って来させよう
ところで小僧、ここに大きな木を生きたまま、転移させることは出来ないか?」
「やったことないから、あとで試してみるよ」
ババーは「出来るようだったら、前ワシのいた小屋の側にある木と、ムーゴの木を頼む」
ババーの話しから小屋の側にある木は、シル木と呼ばれていてシル木糸を出す木で
シル木糸の製法は、木に小さなキズをつけて、樹液が出たら指先につけて引っ張る。
樹液は長く伸ばすことができ、細く伸びても切れない特性をもつ
細く伸びた樹液を引っ張って、5メートルから10メート先に置いてある、
巻き取り機で、巻き取り糸になる。
天候により巻き取る距離を、変えなければいけないので、
職人の技量が糸の出来を左右する。
木の幹から白、古い枝から茶、新しい枝から緑の糸が取れる。
その糸を反物にした物が、シルクと呼ばれる。
反物にする方法は、創世神様から魔法を伝授された。
ババーは教わるときに貰った手ぬぐいを、今でも宝物のように大切にしてた。
<木綿って四千年も風化しない?>
「ババー、シル木の用途は分かったが、ムーゴの木の用途は何だ」
ババーは地下足袋の裏を見せ「木の上から滑り落ちないための、滑り止めじゃ」
「それとコンムーゴの材料じゃ」と言い「ほれ」と実物を投げてよこし、顔を赤らめた。
「ワシが作るコンムーゴは超うすいで有名じゃ」
「やりたくても、食料・塩・安全・子供が出来ても困るときに使うんじゃ」
「ワシと試してみるか、自慢の超うすうすどうじゃ」俺は「超いりません」お断りした。
「残念じゃ、これのおかげでエルフ領も救われとる、プリは二百年ぶりの子供じゃ」
「プリは頭が少し弱いが、あとの世代のことを考えて弟子にした」
<ゴムの木があるんだ、色々と助かるはず>
長い話しをしていて夕方になったので「俺達は夜になる前に帰るわ、またなババー」
ババーは「泊まっていけ、寝る場所はいくらでもあるぞ」「超、遠慮します」
モンペが『テラスから飛行魔法で飛んで、空から全員で挨拶されてはどうですか?』
『そうだなエルフ達に挨拶しなから帰るとしょう』
全員で空から手を振り「またな~」挨拶をした。
エルフ達も手を振り口々に「ありがとう」と返してきた。
<モンペも中々粋な提案するなぁ、感動したよ>
挨拶を終え、俺たちはメカケに帰ってきた。
中には、じいちゃんとミタさんがいて、拍手をしながら出迎えてくれた。
「よぉ~やった上出来じゃ、上出来じゃ」全員と握手して周り、
最後のお金さんには抱きついた。<ばあちゃんにバレろ、バレることを祈ろう>




