世界樹・蒲焼・塩
俺は「世界樹を再生して来る」と言い残し転移魔法で世界樹まで移動した。
<世界樹の幹がボロボロだ>幹の至る所に、金ヅルの締めあとがついていた。
<よくがんばったな>手を世界樹に触れ、いたわるかのように『再生』と念じた。
再生魔法を使って再生させているが、魔素と神素を消費している感覚があった。
『モンペ魔素量は大丈夫かなぁ?』『あなたには私がついてますよ』
動画の早送り再生を見ているかのように、大きな枝がニョキニョキと生えはじめた。
それから葉が一斉に生え出した。俺は世界樹の幹を撫でた。
<世界樹よ、これで大丈夫か?また後で来るよ>
スケさんカクさんお金さん、そしてバクチが転移してきて
バクチが「神ってのは何でもありですなぁ~、驚きを過ぎて呆れやした」
エルフ達が個々にテレーポトを使い、こっちにやって来た。
ババーとババーの同年代が、最後に両足飛びでピョン・ピョン跳ねてきた。
<こっけいだ四千年代は、6人しかいないのか>
俺は少し騒ぎが収まるのを待って<時間稼ぎをしないとな>ババーを呼んだ。
「なんだい神様」「小僧でいいぞ、ところで上にある湖の魚は食えるのか?」
ババーはキスのことで上機嫌だった。
「あ~昔はよく食べたもんじゃ、今は湖の主みたいな大きな、
ウナギがたくさんいる」「近づくこともままならんわ」
俺は「大ウナギを退治して、魚を取れるようにしてやる、昼は皆で魚を食うぞ」
ババーは「小僧ならできそうじゃ、魚を食べたことのない連中も多いから喜ぶわ」
「じゃ少し距離はあるが、ゆっくり皆で歩いて行くか、ババー皆に知らせてくれ」
湖までここから1キロくらいだ、ゆるやかな坂道を上がった。
皆で歩きながらスケさんカクさんと話しをした。
「おかげでババーを見ただけで、笑ってしまうのが治りそうで助かった」
スケさんは「アンのことが心配になったが、少し時間がたてば笑い話になる」
「他人の不幸は蜜の味とか言いますから」笑いながらバクチが言った。
大きなの湖の、どのあたりか簡単に説明すると、
空からみたマガ玉形の小さい方の端だ。湖の淵にたどりついた。
ここから傾斜10度くらい、5メートルくらいさがると湖の水面だ。
エルフたちは湖の淵で、俺の行動をじっと見つめていた。
俺は飛行魔法を使い、錫杖を長くして、水面から50センチほどの高さで
ホバリングぎみにゆっくりと移動しながら、大ウナギが餌と間違うように、
ふらふらと水面近くを飛び、ついでに魔素を回収した。
水中で黒く長い大きな生物がやってきた。俺の先5メートルくらいで、
マイクロバスほどの大きい頭が、水面から出てきた巨大ウナギだ。
バクチがウナギの眉間に鉄の串を投げて刺した、それに向かって俺は雷撃を打った。
ウナギが倒れて水しぶきが、かかる前に回収した。
『ありがとう、ソープ雷撃耐性大丈夫だった?』
ソープは『はい若様大丈夫です。痛くも痒くもありません』
ソープにはステルスと耐性つけて、ウナギの尾をくわえて待機していたのである。
実は昨日、ソープとカクさんが湖の生態と広さ・深さなどを調査し、
さらに、湖の魚が食べられるかを、神界へ送って調べてもらっていたのである。
後で分かったのだが調理好きの神々が、じいちゃんの指導の下で蒲焼を完成させた。
その過程でウナギの眉間に串を刺してシメると、美味しいことが分かったのである。
<ソープに何匹ウナギを送らせたのだろうか?>
まさに味を占めた神々が、蒲焼製造神道具を作り出したのである。
<ウナギを送らせる気、満々だな>
「食文化革命だ!」と騒ぎ大宴会がおこなわれた。
<あの微妙な味の、照り焼き鯛バーガーを食べていたのだから、分かる気がするな>
さて話を戻そう、電撃の影響で魚が腹を上にプカプカ浮かんでた。
俺は大声で「これは全部食べきれない~勿体無いな!」と言い。
ドクターテン・私たち心配しませんからを、広範囲に発動させた。
魚が全部生きかえり、勢いよく水中にもどっていった。そして俺はエルフの元に返った。
エルフたちは両手を合わせ、俺を無言で拝み固まっていた。<やりにくい>
俺は「みなさんこれくらいで驚いたら困ります。ちょっと世界樹へ行って来ます」
世界樹の幹の側に転移した、俺はモンペの指導どおり
錫杖を二回鳴らし、10センチほどの高さでホバリングし、幹に錫杖をあてた。
世界樹が大きく成長するイメージを、頭の中に描きながら錫杖の先から
魔素と神素を注ぎ込んだ。
モンペに「花が咲くまで注ぎ込んでください」と言われていたので注ぎつづけた。
世界樹の幹が大きくなり始め、
当然だが俺は後ろにチッリーン・チッリーンという音とともに押される。
もくれんに似た、白く大きな花が咲き乱れた。<あ!咲いた綺麗だ>
世界樹を成長させて、離れたところで全体を見たかったので、皆のところへ戻った。
雲のあい間から世界樹を、まるでスポット・ライトを当てるかのように
太陽光線が一筋、世界樹全体を照らしていた。
<じいちゃんが、演出すると思ってたよ。世界樹の花と葉がキラキラ光って美しい>
皆も世界樹の美しさに、感嘆の声を上げていた「おぉ~この世の物とは思えないわ」
などと口々に、小刻みに震えながら感動しザワついていた。
俺は「世界樹に、みのった実は美味しいらしい、花が咲いたんだから実になるはず。
俺は食ったことないから先に食うなよ。勝手に取るのは禁止だ皆で食べよう」
「もし勝手に食べた奴がいたら、ババーとキスかババーの食べ残しを食う刑だ」
ババーが「小僧それでは若い男供が、こぞって食べるぞ」皆が大笑いした。
「実はすぐには無理だから代わりに、今からウナギ料理を食わしてやる」
エルフたちがいない場所を選び指差した。
「そのあたりに出すからな。大ウナギだから、たくさんあるので慌てず取れよ」
「それからウナギを美味しくする液体が垂れるから、服を汚さないように、
悪いが手づかみで食べてくれ」
エルフたちは「手づかみ以外の食べ方ってどうやるのか?」などと小声で言ってた。
<フォークとか箸はないのか?>
俺は、モンペに依頼して作ってもらった『物質転移』神魔法陣を発動した。
簡単に説明すると、アイテムボックスの中にある物を召還する魔法だ。
これの開発依頼をしたときモンペは『そんなのあるはずです』
そしてモンペは探してみたが。
『あなたの所持する多くのラノベには、ありませんでした意外です』
『アイテムボックスの中にある物を、魔法陣の中に出す必要なかったのですね』
『特許を取りましょう。私が申請しておきます』などと言ってた。
芭蕉の葉に似た大きな葉の上に、小さく切られた蒲焼がたくさん置かれた。
蒲焼の置かれた葉の数は30くらい、この葉はバナナではないらしい。
スケさんカクさんが、トイレのため森へ入ったときに、見つけて採集してきた。
蒲焼は昨夜、神界で作り置きしていた物で、先ほど取ったウナギではない。
大ウナギと聞いて引いてた者も、いい匂いに釣られて食べ始めた。
当然みんな美味しい・旨いと騒ぎ始めた。
俺と共の四人も食べた。<うまい、としかいいようがない>
食べ終わったエルフたちは、手と指を舐めまわしていた。
俺は、美味しいものを食べて喜ぶ姿を見て、少し胸が熱くなった。
のどが渇いたエルフたちは、水魔法で手の平に水を出し飲んでいた。
俺は、共の四人にペット・ボトルに入った水と、おしぼりを出して配った。
<蒲焼はのどが乾く、冷えた水か美味しい>
ババーが「何じゃそりゃ」と大声でやってきた。
<失敗した何も考えずペット・ボトルを出してしまった>
俺は「神にしか使えない魔法だ」と誤魔化した。そして「ババー手を洗いたくないか?」
「うむ、手を洗うには二人一組じゃないとな、小僧ワシが組んでやってもいいぞ」
「遠慮するよ。ちょっと俺について来い」と言い、モンペの指示する場所に向かった。
皆も移動を始めた。<ババーが妙に嬉しそうだ>
モンペが『二人きりになると、思っているようですよ。女心がわかってませんね』
<老婆に女心なんてあるはずない、気持ち悪い>早足で目標地点に向かった。
マガ玉形湖の西側・湖の中央よりに移動して、湖南側の坂を下りた。
<わかり難い今度地図でも書こう>
モンペが『そこです』物質転移魔法陣をモンペの指示ポイントに出した。
坂の斜面を水平にするための、石で作られた土台の上にログハウスが出現した。
更には、石土台の一番下から水が流れ出して、
石で囲まれ棚田に似た、ため池に水が溜まり始めた。
ババーが『上の湖はずいぶん前から、塩湖で飲めんぞ』
俺は『飲んでみればわかる』移動して水を飲んでみせた。
すぐに皆が飲み始め『飲める水だ~』と大喜びし水を掛け合ったりし始めた。
ため池に服のまま入る者もでてきた。
簡単に説明すると、湖の淵の地中に、物つくりの神々が作った水・塩・鉄など
を分離する魔道具と、湖の水中と外側の坂をつなぐパイプを転移させたのである。
土手に穴を掘ったわけではない、地中に転移させたのだ。
俺はアンを呼び、建物の中に入ったがババーもついてきた。
中には大石をくりぬいて作られた、浴槽に似た容器に
白く粗いクリームのような物が、溜まりはじめていた。
俺は「アンその白い物を舐めてみろ」アンは中々舐めようとしない。
<罰だと思ったんだ>
かわりにババーが舐めて「こりゃ塩じゃ、塩じゃ」アンもようやく舐めて
二人で喜び合っていた。アンに、この塩を乾燥させるとサラサラになること、
さらに塩の出る量を調節する、レバーの使い方など教えこの建物の管理をまかせた。
もう一つの容器に溜まっている物については、
中に物が溜まってから、後日教えることにした。
ただ青銅の武器・青銅製品が作れる者を、つれてきてくれと言うと
アンの甥っ子で名をアイアンが、詳しいからつれてくるそうだ。
<アンパンマンにアイアンマンか少し笑える>
『モンペ、エルフたちの住居の準備はできた?』『旦那様あと少しです』
『出来たらすぐに知らせて』『はい』<どうしよう、水遊びでも眺めるしかない>
<エルフたちの水遊びでも眺めよう>見ると男女共にニッカボッカを脱いでいる。
男女共下は、ふんどしだった危ない光景だ。
絹のような生地だから張り付いて中身が見える。
見ているとプリが側にきて「あれはねぇ友君の奇跡にお漏らし、しちゃたから」
プリが「ところで金色の毛の人は彼女?」
俺は「そうだ」と答えてしまった。幼児とこれ以上、関わりたくなかったためだ。
<何か悪い予感がするけど、考えまい>
水遊びが終わったころで、広域にクリーンの魔法を掛け
「服を乾かしたから、みんな着ろ」そしてまた湖の淵に坂を上がっていった。
カクさんに『ソープを今、召還したように見せかけて、時間稼ぎをしようと思う』
『それはいい考えで御座る』うなずいた。
モンペが『お待たせしました準備ができました』『わかった』
湖の淵にたどりついた、エルフが来るのをカクさんが待って召還陣を展開し
「水竜ソープ召還」巨大な水竜ソープが現れた。
エルフたちが驚いて坂を滑り、転んだりしてた。
ソープが「若様お久しぶりです」「ソープ元気にしてたか」「はい」
「ソープに頼みがあるんだ」「なんでしょう」
「この湖にいる水性魔獣で、人に害をあたえるような奴を、退治してくれないか?」
ソープは「そんな簡単な御用ですか、すぐに終わらせましょう」
「それとな、この湖でエルフが魚取りをしていたら、守ってやって欲しい」
ソープは「どうせ暇でしたから、ここに住みましょう」
「ありがとう、頼むね」と言うと「では若様、少し退治して参ります」
と言い湖の奥へと泳いでいった。
それを聞いていたエルフがイカダを作ろうと喜んでいた。
俺は振り返り「あとはお前達の住居だな」エルフ達は俺に期待の眼差しを向けた。




