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instigator  作者: アベラルト
3/5

贖罪

それからは警察の話も何も覚えていない、そしてみんなに浦垣が死んだことを伝えた、みんなそれほどショックは受けてはいなかったように見えたがみんなは静まり返り仕事がただの作業のようになった、あれ以来蕎麦屋に行っておらず会話も4週間ほどなかった


自殺理由がなんなのか警察は究明していたが遺書も見つからずメディアも取り上げられなかった、いや取り上げられるほどのことではなかったのか結局真意にはたどり着かなかった、あいつは居てもいなくても消えてしまいそうな奴だったから私も私たちも社会も別にどうでも良かったのだ


会社も警察に何も知らないと言うしかなく、私も取り調べを受けたが何が原因なのかわからないと言った、部下も勿論わからないとみんな浦垣がなんで自殺したのかわからなかったのだ


本当に浦垣がなんで自殺したのか何もわからなかった、仕事に対して怒られたなのか?それとも怒鳴り散らしたからなのか?それとも別な理由?だが自殺した理由が仕事云々ならそれは社会ではやっていけない、嫌なら辞めればいいしそんな奴は世間知らずで他人に迷惑ばかりかける底辺の奴だ


浦垣の葬式は早く行われた、会社の代表として葬式に参加はしたのだがどうやら母親しかおらず友人もいなかったらしい、なんでこんな寂しい葬式に参加しなくてはならないのか少しあいつのことを思い出してまたムカムカしてしまったが、浦垣の母親が


浦垣母「本当に息子がご迷惑をかけまして申し訳ございません」


少し申し訳ない気持ちになり


最上「本当にお悔やみ申し上げます」


と言って逃げるように私はその場から消えた



ほとぼりがさめて4週間後、またみんなの笑顔と会話が戻りはじめ仕事も順調、みんなも夏の新商品のためのポップを考えはじめていたとき


鈴木「浦垣がいなくなってからなんか、みんな上手くいってますね」


相沢「そうですねぇ、この課の雰囲気もなんか少しづつ良くなっている気がしますぅ」


堂本「なんで自殺したんでしょうね?昼休みスマホずっとみてたから出会い系で失敗したとか?」


木嶋「でもー、自殺とかマジであり得ないでしょ、あいつ最後までこの職場の雰囲気悪くして消えやがったし本当に最低、ないわー」


鈴木「もし仕事のことならあいつマジでクソヤロウだな、自分のミスを見直さないからずっとミスるんだよ、辞めてくれねーかな、とずっと思っていたのに、なに?自殺?あり得ないわ、職場の空気これ以上悪くして死にやがった」


堂本「遺書もないし勝手にいなくなって少しせいせいしますね、本当に」


最上「もしこの職場のことでならこの先の人生ずっとやっていけないだろうな、もっと厳しいことだってこの先あるののに、さぁこのpopの形どうするかな」


そして月日がたち浦垣のことを私達はだんだんと忘れていった、いなくなったほうがいい奴だったのでドンドン業務ははかどるし、みんなと飲み会に行くときもみんなと一緒に行けたのでとても楽しいそんな毎日が続いた


しかし、私は、私たちは、とんでもないことをしてしまったことに気がついていなかったのだ、あの青年の声を聞くまで

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ある冬の雪の日


終業のチャイムが鳴る今日は雪が降っているから早めに帰った方がいいな、明日は重要な会議もあるし


最上「じゃ、みんなお疲れ様、明日は新商品会議だから渡した資料持ってくるように、あと雪だから気をつけて早く帰るように」


鈴木「はーい」


相沢「雪かぁ、やだなぁ」


堂本「俺も帰ろっと」


こんな寒い日は家に早く帰りたいと思い雪の中せかせかと歩いていく、近道の人気のない裏路地でスマホをみていた外国人が突然


外国人「Excuse me, could you please guide me so far?」


ある外国人がスマホの場所をみせて道案内をしてくれといってきた、どうやら早くそこに行きたいらしくどうしてもということだった、私も少しは英語をしゃべれるからまぁいいか、少し駅の真反対だが今日はそんなに急いでいる用事もないし


最上「Ok.Come with me」



道案内をして近道になる裏路地に入ると、18歳位の普通にいそうな黒髪の男の子がいた、厚着をしていて、その子の顔、黒い宝石のような瞳を見ると何をみているのかはわからない、真っ直ぐと何かを見つめている、何かなんだろう不思議な印象をもつ子だった


すると――――


ピューンチチチ


――――と通話アプリ『コネクト』の着信音がなり、外国人がスマホを取り出す


外国人「I'm sorry. I decided to go to the station suddenly. thank you good bye!」


どうやら駅に向かわなければならないらしく、雪の中駅に向かって走っていった


最上「あ、いっちゃったよ、急にあって道案内してくれって言ってたのに」


するとその男の子が私に対して話かけてきた


最上「寒い雪の中ですね、こんな日に外国の方に道案内されてたのですか?」


私はその声を聞いてぐらりと頭の中が変な感じになった、なんだ、えっと、なんだ、えっと、なんだ、悲しい、なんだ、声、耳、頭の中悲しい、からだの中かなちい、、あばえ?ちゅば?うら?浦垣?お袋?親父?え、え、え、え、え、え、え、取り敢えちゅ、会話を会話を


最上「えっ、あっ、あっ、あっ、ああ、そうだよ、えーと、えーと、あーと、君は?」


なんだろう、ものすごい悲しくなる、何も考えられなくなる、なんだ、なんだ、なんなんだこの感じ悲しい、悲しすぎる、浦垣?浦垣?浦垣?


ロミ「ああ、僕はロミといいます、少し話しませんか?」


目の世界がふわーんとなって悲しい気持ちになる、浦垣、浦垣すまない、浦垣、浦垣、すまない、なんでなんでなんだなんで当たり前のことに気がつかなかったのか?


最上「うん、何かな、私は今、なぜだろう少し悲しい気分になりかけているんだ」


彼の声を聞きたくなると


ロミ「あなたの名前は」


私の名前を聞いてくれた‼️悲しい聞いてくれたそうか聞いてくれた‼️悲しい聞いてくれた‼️悲しいそうだ‼️って浦垣?悲しいすまないそうかハハハ


最上「私は最上慎二というものだ、名刺がほしいかい?」


ロミ「いいえ、だってもう渡す必要がないでしょう」


必要ない、そうか、いや彼の言葉を聞いてもう私はそうすることをすることに決めていたんだ、そうだ


最上「そうだな、そうだな、そうだったな、ハハハハハハハ、そうだよ、なんで気づかなかったんだろう」


ロミ「気づいたら、そうですね、なにかこう思い出のある場所の個室で、静かにやればいいでしょう」


そうか‼️そうだ浦垣に謝りに行かないと‼️すまないすまない悲しい悲しすぎるもう悲しくて何も考えられない何も何も何も


最上「ハハハハハハ、ありがとう、君にあえて良かったよ、ハハハハハハ」


ロミ「それではまたカバンを持って静かに歩いてくださいね」


私はカバンをもって浦垣に謝りにいく



私は雪の中歩く、歩く雪の中、どこだろう出きるならトイレ?いや蕎麦屋のトイレの個室なら広くてドアノブがある、そこで静かに死のう、死のう、死のう、お袋今まで悪さしてごめんなさい、勉強しなくてごめんなさい、おやじごめんなさいごめんなさい、窓ガラス割ったの僕ですごめんなさいごめんなさい、悪さばかりしてごめんなさいごめんなさい悲しい悲しい、


家族、友人、知り合い、上司、部下すべての人間に頭の中で謝り続ける、そのとき人に当たらないように、静かに歩をすすめる、そして頭のなかで浦垣のことを


浦垣ごめん、蕎麦アレルギーのこと知らなくてごめんなさい、健康診断の診断表をみておけば、しっかりと聞いておけばよかった、蕎麦がダメなら他の料理にすれば良かったじゃないか、仕事もしっかりと教えておけばよかった、あいつは何も悪くない、まだ仕事慣れしてなかっただけだったんだ、ごめんなさい、ごめんなさい、コピーだってそんなに怒らなくてもよかったじゃないか、あの上から来たミスだって本当に浦垣のだったのか確認してないじゃないか、ごめんなさい、本当にごめんなさい、みんなと合わせられないんじゃない、私たちがもう少しゆっくりとやれば良かったんだ、急かしているような環境を私が作ってしまったんだ、ああ、なんて酷いことをそうだ、なんで家族の時はしっかりと相手に合わせてたのに、どうして職場の時はあいつに合わせないようにしてたんだ、まるで社会の歯車のように、人間が仕事をするんだ、仕事を、だから人間に合わせないといけないじゃないか、たった一人だからこそだ、私は人殺しだ、すまない本当にすまないすまない、死んで会いに行くからどうか許してほしい、許して、早く死にたい死にたい



蕎麦屋に入るとするといつもの店員さんは


蕎麦屋店員「あ、いつものお一人様ねー‼️いらっしャーイ」


と元気に挨拶してくれた


最上「すいません、ちょっとトイレ貸してもらえませんか?」


そのとき私は蔓延の笑みで訪ねる


蕎麦屋店員「いいですよー」


なんて優しい人なのだろうと店の奥の方にあるトイレに入り鍵をかける、カバンをドアノブにかけてカバンを上にして取っ手に首を括り、ゆっくりと力を抜いて行く、ああ、なんて楽になれるのだろうと、私は何かにゆっくりと眠らせらてくれる何かに引っ張られながら眠りにつく

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

蕎麦屋19:00


客「おばちゃーん‼️トイレに鍵かかりっぱなしー」


蕎麦屋店員「ああ?なんだってー‼️」


客「だーかーらーノックしても返事がないから、ずーっと閉じたまんまなのー、誰かが間違えたんじゃないのー?」


蕎麦屋店員「ちょっと、ちょっと、充城くん、ちょっとノックしてお客さんいるかどうか確認して、百円で開けてくれない?」


充城「あ、はーい」


なんだろうお客さんが間違えて閉じたままにしちゃったのかな?


充城「すいません、いま確認しますので少々お待ちを」


客「ったく、誰かのいたずらかな、本当にもう‼️」


充城「すいませーん、どなたか、いませんかー‼️」


ドッドッ


あれ、変な音だな?


充城「すいませーん、いませんかー‼️開けますよー‼️」


ドッドッ


充城「じゃ、今開けますので」


客「ったく、誰かのイタズラかね、本当にもう」


旧式のドアを百円玉で開ける、するとチャンッと音ともにギギッとドアが開く


(あれ?ドアこんなに開きにくかったったっけ?)


僕はドアノブの引っ張ると何故か重い


(なんだろう、重いな、よいしょっと)


仕方ないので思いっきり開ける、凄い重い、まるで大きい水風船が反対側のドアノブに引っ掛かっているように



ズズズズーーーーーとともに開くとそこには



なんと人がドアノブにカバンを引っ掻けてその取っ手でく、く、く、く、く、首を


充城「うわぁ‼️‼️‼️」


客「ひ、ひ、ひ、ひ、ひ、ヒェェェェェーーー、ああはあぁぁぁ、」ジョジョジョーーー


と僕とお客さんがドサッと後ろに倒れる‼️


お客さんも僕もびっくりして何が起こったのかわからなかったが、だんだんと異様な音と雰囲気が店内に伝わることが体の下から上にある心臓に集まるように感じてきた、蕎麦をふいている音、蕎麦を掴む箸が落ちる音、スマホを落とした音、急に人間の暖かみを感じられ胸がムカムカする、動悸が激しくなりやっとやっと理解する‼️


――――人が首を吊って死んでいる‼️――――


なんだよ!!なんなんだよ!!これ!!


すると後ろにいたおばさんたちが気づいたらしく、人間とは思えない悲鳴をあげる




キャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア‼️‼️‼️‼️‼️‼️‼️‼️‼️‼️




――――――――――――――――――――――――――――――――――――




カナ『ねぇ、ロミ、あの人は、どこでどうやって会いに行くのかな?』


上目遣いでカナ僕を見つめる


ロミ『きっとそうだな、出来る限り好きな所で、思い出の場所で、会いに行くんじゃないかな』


カナ『それなら、悲しくないね』


少しカナは僕の瞳をみてはにかむ、またリピートする亡き王女のためのパヴァーヌはとてもとても彼らにとっても心地のよいものだろうと、カナの手を握りながらそう思った

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