教唆
『初投稿です』
『この世界、この世には確実に憎しみというものがある、理性あるもの等しく内在しいつか誰かしら自分自身で何かに憎しんでいると気づく人もいれば一生気づかずに終える人もいる、果たしてどちらが幸せなのだろうか?
―――僕の答えはどちらも幸せなのだ――――
なぜ答えを出せるのか?僕はろくに本を読んだこともないし、人生についてあるときまでそんなに真剣に考えたこともない、また友人も少ないし腹を割って話せる人間も片手で数えられるくらいしかない
いやいないだろう現代の人間にそんな腹を割って話せる人間はいないだろうな、いないから色々と数を増やすのだろうw人間を、繋がれる人間を、繋がれる機械を作りつづけるのだろうな
そして増えた人間に対して色々と感情が生まれる、信頼、憎愛、偏見、嫉妬など、それを味わえたりすることはとても幸せなことだと言われている
だからこそ僕の答えは幸せなのだ、感じたり感じられなかったりと、生きていてそのような感情味わえただけで幸せなのだ
―――さて、ここからが重要だ―――
幸せじゃない人間はどうするのか?不幸になった自分はどうするのか?叫ぶ?笑う?立ち上がる?前に進む?
一生懸命人間にあわせる?相手のせいにはせずに?自分はミスをして怒られたり、理不尽な目にあっても人に対して負の感情をぶつけずに?
フフフ、少し何かに揺らいだだろう、じゃあ誰か、そうだなこの話を聞いている君に質問しよう
―――こいつ死ねばいいのにって思っている人間の顔をあげてごらん―――
いなかった人はこれから出てくるかもね、それか僕を否定しているヒトだ、僕は別にいいけどね
いた人、それが憎しみだよ、小さくても大きくてもそれこそが君の大切な感情のひとつなんだよ、覚えておくことだ、これからのためにそして―――
―――僕みたいな人間がいつか現れるかもしれないから――
』
*
今は冬、日本の冬、雪の季節、東京のオフィス街の上空には毛布のように柔らかそうで暖かそうな灰色の雲がみえ、そこからふわふわと雪が顔に少し落ちる、季節の情景は好きだ、特にその季節にしかないものは
地面には雪が降り積もり、人がその上を歩くと音が鳴る、それは『自分はここにいますよ』と、誰かに訴えかけている悲鳴のように寂しい音だ、たぶん今日もそういう音を鳴らすことができない人間がいるのだろうと僕は感慨にふける
(時刻は?)
徐に腕時計を見ると17:30、うん、そろそろだ、後部座席のドアのそばの歩道にいた僕は車のドアをゆっくりとあける
???『時間だよ、行こうかカナ』
ポケットの中に手を入れて音声機器を操作する、声のような音で人間味をもった音を出す、出した相手は普段は黒髪の長髪だが今はショートヘアのウィッグを被り、普通にいそうな女の子の服装をしていて、顔も少し特殊メイクを施し普段の顔ではない、勿論僕もそうしている
カナ『うん、いこうロミ、ウダさんももう動いていると思うから』
カナもポケットにある機械を操作して音を発する
僕は車の後部座席から出ようとするカナの手を取る、カナが出たそのときに地面に積もっていた雪を踏む音が耳に残る
その音はなんだろうな、これから僕たちがやることに対して誰かが(早く終わらせよう)と言っているように聞こえたからなのか
それともカナの天使のような足が雪の積もった地面について出してくれたから残ったのか
???「ロミ様は0021地点と0046地点、カナ様は0087地点を手筈通りにお願い致します、どちらも今日のスマートフォンに写真と場所を送らせてますのでどうかお気をつけて、ご無事にお戻りください」
運転席から顔を合わせないように丁寧にそして心の底から心配してくれてる声で、ジュールさんが今日の仕事の説明をしてくれた
ロミ『ありがとう、ジュールさん』
*
サクサクという音とともにカナと一緒に俯きながら歩いて行く、人の往来に紛れ東京のオフィス街のビルに隠れながら僕たちはビルの横を歩く、勿論車道側は僕でビル側はカナだ、これからすることをしようとしているときは必ず絶対に手を繋がない、繋いでいると僕たちは浮かれてしまいこれからしようとしていることを忘れてしまうからだ、信号を渡り真っ直ぐに300m位歩いた途中でカナと別れる、会話は少ない方がいいこれは回りの人間のためと僕たちのためだ、予定地点に到達しスマホのアプリを見ながら確認する
ロミ(地点0021、地点0021、地点0021、地点0021っと)
しばらく歩いて行くとどこか知らない裏路地についた、ビルの壁にはポスターがポスター入れ?に入れられている、パチンコ、飲み屋、等と僕達には無縁なものばかりだ、ポスター入れのようなものの縁にも地面と同じように少し雪が積もっている、真ん中よりも端に雪が積もりちょうどいい具合にその真ん中の文字がみえるそれを僕は眺める
文字を眺め続けて10分位かな、特殊メイクをしているスーツ姿のマイクさんが会社員をつれて、いや会社員さんに道を案内をしてもらっている、マイクさんは僕の姿を見るとすぐに目をそらす、会社員さんは僕を2秒ばかり僕の目を見つめていると――――――
ピューンチチチ
――――――と通話アプリ『コネクト』の着信音がなりマイクさんがスマホを取り出す、これまでは手筈通りだ
マイク「I'm sorry. I decided to go to the station suddenly. thank you good bye!」
???「あ、いっちゃったよ、急にあって道案内してくれって言ってたのに」
スマホと同じ、小太りの男性、コート姿にスーツ、ネクタイをしていかにも会社員のような人だ、目と鼻、黒子の位置と顔の確認する、そうかこの人かこの人が今日の人だ、僕は目を瞑る、これはいつも外の人と会話をする前にしている動作だ、目を瞑る、目を瞑ることに意味はない、そしてこの意味がないことと同じようにこの人にも何の意味もない、たぶんこの二つの意味のないことが僕にとって重要なのだろう、そして目を開く
――――さぁ彼の運命が決まる――――
回りには誰もいない、顔や仕草も見られない、声も聞かれない、条件?いや決まりが整った、彼は助かるのだろうか、彼は決まってしまうのか?僕は彼に話しかける
ロミ「寒い雪の中ですね、こんな日に外国の方に道案内されてたのですか?」
優しく丁寧に微笑みかけて彼に問いかける
???「えっ、あっ、あっ、あっ、ああ、そうだよ、えーと、えーと、あーと、君は?」
彼の口調のすべてが変わる何かに魅了されたように僕と話を始める
ロミ「ああ、僕はロミといいます、少し話しませんか?」
まるで自分のいた世界が白黒になったかのようにたどたどしくなり、目を見開いて何かを思い出すように話し出す
???「うん、何かな、私は今、なぜだろう少し悲しい気分になりかけているんだ」
ロミ「あなたの名前は」
???「私は最上慎二というものだ、名刺がほしいかい?」
ロミ「いいえ、だってもう渡す必要がないでしょう」
最上「そうだな、そうだな、そうだったな、ハハハハハハハ、そうだよ、なんで気づかなかったんだろう」
笑顔が出て、何かに気がついたようだ
ロミ「気づいたら、そうですね、なにかこう思い出のある場所の個室でドアノブの丈夫なところで、静かにやればいいでしょう」
最上「ハハハハハハ、ありがとう、君にあえて良かったよ、ハハハハハハ」
ロミ「それではまたカバンを持って静かに歩いてくださいね」
最上「………………………………………」
最上さんは僕の言う通りに歩きはじめる、後ろ姿をみて僕は笑顔になる
――――よかった――――と
そして僕は次の目的地0046地点に向かうもうスマホを見なくてもいい、行く場所を覚えた、人ごみの中彼と同じように歩くが本質は違う、彼と僕は完全に道的な意味でも本質的な意味でも違う道を歩いている
――――ビルの中に入り一階で執事さんが誰かを連れてくるのをまた待つ
今度はすぐにやって来て、新聞記者の格好をしたセバスさんがOLをつれてきた
セバス「すいません相沢さんあなたに取材したくて」
相沢「あいにくですがぁ、私、何も知らないんですよぉ、でもいいですよ、私が知っていることなら」
マイク「あ、すいませんちょっと私冷えてしまいまして少しトイレに行きますので待ってもらえますか?」
相沢「はぁい、早く済ませてくださいよ」
マイクさんがこのビルの二回にあるトイレに行く、髪、顔、胸、ピアス、このビルは監視カメラがないそして外にいる執事さんたちが、しっかりと確認してくれている、また目を瞑り開くそして彼女と対話する
ロミ「なにかあったんですか?」
相沢「え?誰ですか?」
彼女はポカンとした顔になる、(こういう人は少し危ないな、ちょっと気を付けないと)
ロミ「静かに僕の言うことを聞いてもらえますか?」
相沢「はぁい、なんか悲しいな、ああ、」
ロミ「何かあったんですか?」
相沢「ああ、浦垣くん、ごめんなさい、ごめんなさい、ああ」
うん大丈夫落ち着いてる
ロミ「ビルの屋上で待ってますよ?早く行かないと」
僕はエレベーターのボタンを押す、勿論僕は白い手袋をしている、そのとき彼女が
相沢「ありがとうございますぅ」
とお礼を言われたたぶんこの人はきっとそうしてくれるだろうと思いこの場を去る
*
終わったからすぐに帰らないとゆっくりと集合地点へ歩くカナも『終わったよ』というコネクタが送られてきた
(良かった、何事もなくて)
後ろに人集りができているて悲鳴をあげている人もいれば救急車と叫んでいる人もいる
僕には関係があるか?いや関係がないな確かに今までそうしなかった人間はいないことはないし、その人間はカナを含めて6人もいる、これは彼ら自身の問題なのだから
黒い車が後ろからやって来て僕の横に止まる、僕は車道側に回ろうとするとドアが空き
カナ『いいよ、こっちから入っても面倒でしょ』
後部座席に座っていたカナは席を移動してここに座ってもいいよと促してくれた
ロミ『ありがとう』
と、また僕は音声機器を操作する
ジュール「お疲れ様ですロミさま、ご無事でなりよりです」
ロミ『そんなに難しいことじゃなかったし、じゃあいこうか』
シートベルトをして雪の中の東京の町並みから逃げるように車を走らせる、前と後ろには僕たちの執事たちの車が僕たちを守るために走っている
ロミ『ウダさんも終わったの?』
ジュール「はい、滞りなく2人とも、確認は後程」
ロミ『すまないけど、何かかけてもらってもいい?少し何かに酔いたいんだ』
ジュール「畏まりました、して、どのような曲を?」
ロミ『亡き王女のためのパヴァーヌを』
カナ『ロミは本当にオーケストラが好きね』
ジュール「それでは、しばらくお待ちを」
少しして音楽が流れる最初の11音そして始まる悲しいようで楽しいような音の羅列、車の外の雰囲気はふわふわと雪が降っていて、カナが僕の右手を繋ぎり寄りかかってくれた、何とも言えない手の感触と温もりが外の雰囲気はまるで合っていないが、ただただその温もりは僕の奥底まで暖めてくれる、そしてこの音楽がこの温もりをこの小さな空間に広めてくれる
知らない人は題名と音楽を聞いて悲しいというだろうが、ラヴェル自身この題名は「亡くなった王女の葬送のため曲」ではなく、「昔、スペインの宮廷で小さな王の娘?だっけか、が踊ったパヴァーヌ」といわれている
果たして僕たちは今日は彼らの悲しみの踊りのために歌ったのか?それとも悲しみの葬送のために歌ったのか?どっちだろうか?いやどっちだったのだろうか?