ニートが異世界に行ったらハーレム なんてできるわけないだろ。戦闘?するわけないだろ。労働?するわけないだろ。
諸君はニートが異世界に行ったら、ハーレム作って俺TUEEEEEするとおもっているのではないか?残念だがそんな事はない。俺、ニート歴五年の東山和人(28)が今経験しているんだから間違っているはずがない。
きっかけはありきたりだった。五年ニートしてそろそろ働こうと決心したものの人の目に晒されるのを恐れてそのままダラダラと引きこもっていたら心臓麻痺で死亡。魔力無限チートもらって転移というわけだ。
だが、最初から問題に突き当たった。どこに転移するか指定していなかったんだ。なんと、砂漠のど真ん中だった。偶然商人に拾われて命は取り止めたが今度は仕事がない。
さらにチートに根本的な問題があったことに気がつかされてしまったのだ。「魔力」無限チート、魔法の才能は貰ってないので使えるはずもなし。チートの意味を成してなかった。頑張ったら魔力操作は出来るようになったが、恐らく自爆くらいしかできないだろう。
最初は神を恨んだ。絶望と怒りに苛まれたんだ。思考の果てに辿り着いたのは諦観だった。もとより神など超常的な存在だから人間の細かい事情なんて考慮してくれるわけがなかった。
辛い現実はまだある。もともとニートだった俺は2時間以上立っていられないほど体力がないし、コミュ障だ。それに俺が辿り着いた国は白人が民族の大部分を占めていたので黄色人種である俺はまともに扱われなかった。体力の少なさとコミュ障のせいで奴隷にすらなれなかったんだ。
結果、俺は異世界転移1週間半後、餓死した。