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「あいつっ!! 椿を泣かしやがったなっ!!」

「おっ、落ち着いてください!! 今行ったら、三日月さんもパニックになっちゃいますからっ!!」

「っち」


 観覧車から降りてきた水無月くんたちの様子を見ていた私たちですが、倫導さんは三日月さんが泣いていたのを分かった瞬間に走り出そうとしたので、頑張って引き止めました。

 遠目ですけど、三日月さんもそうですが水無月くんも何処となく悲しそうな表情を浮かべていたんです。だから、遠くから見守ることにしました。

 一人になった水無月くんはゆっくりとした歩みで駅の方に歩いてます。ただ、その後ろ姿、雰囲気は影が強くて、そこに彼がいないようにも見えました。

 雑踏の中に入れば見失うような影の彼を私と倫導さんは追いかけて、最後に見た水無月くんの影は今でも覚えてます。


「影がない?」


 錯覚だとは思いますが、その時の彼の影は街灯に照らされていた中でも見えなかったんです。


「見失っちまったな・・・」

「は、はい・・・月曜日に元気でいてくれると・・・う、嬉しいですけど。」

「卯月くんは彼が好きなのかっ。」

「ひぇっ・・・そ、そんなこと・・・ないです。」

「自分の気持ちには素直になった方がいいぞ、卯月くん。素直でいれば誰だって振り向いてくれるようになるんだからなっ。自信を持てっ、自信を。」


 私の背中を叩く倫導さんは陽気に笑いながら口にしてましたけど、その瞳は何かが滾っているような空気を感じさせました。


「あいつ、今度呼び出すか・・・」


 最後にそう口にした倫導さんは、


「それじゃぁ、また学校でなっ。」


 と手を振りながら、帰って行きました。


「は、はい・・・」


 内心、話をしていると結構疲れたりするので、極力会いたくはないですけど、いい人なので会ったら挨拶はしようと、私は思いました。


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