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プロローグ
多くの子供が両親の離婚を経験している現代社会
子供にとっての親とはなんなのか
そして、子供が成長するとはどういうことなのか
この物語は筆者の経験と願望が込められた作品
将来への希望や夢へと近づく高校入学式2日前の夜、僕の役割・自信・希望・愛情・信頼が崩れ去った。そう、僕の大切な、とても大切な心はガラスが割れるように甲高い音を立てながら崩れ去ったのだ。
「詩音・・・お前が母さんを助けてやるんだ。」
暗闇の中、雨音が止まない屋外に僕と大好きな父さん。そんな父さんから伝えられた言葉と笑顔に僕の人生は一度終わりを告げたのだ。
「・・・わかったよ、父さん。」
僕の返事を聞いた父さんは車に乗り込み、暗闇の中へと姿は消え去っていく。車窓から見えた最後の父さんの表情はなんとも無表情で冷たく、僕の記憶には印象深く残る時間だった。
「こうなったのも全部、僕のせいだ・・・。何もできなかった僕は最低だ・・・。」
僕は雨が降り注ぐ天を仰ぎながら、瞳から一粒の涙を流した。
「僕は何もできないんだ・・・。」
こうして、僕の新しい人生が始まった。心がない僕の新しい人生が。