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チートを作れるのは俺だけ~無能力だけど世界最強 作者:三木なずな

第五章

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50.ゆにコーン

 ゆにコーンに取り憑かれた女の子を救え。

 ランクAの依頼を受けた俺は、奴隷のサヤカとルナを連れて、その女の子の元に向かっている。
 憑かれた女の子は同じプリブの住人で、歳は8歳。
 そこそこ事業が大きい商人の一人娘で、親はものすごく困っているという。

「あの……ハードさん。ユニコーンって、モンスターですか? それともエンシェントモンスターですか?」

 依頼主の屋敷に向かう途中、サヤカがおっかなびっくりって感じで聞いてきた。

「モンスターだけど? それがどうしたんだ?」
「モンスターなんだ……それじゃあやっぱりああいう(、、、、)のになるよね……」

 いつも通りぶつぶつ何かをつぶやくサヤカ。
 俺の奴隷になって大分日が経って、最初の頃に比べると気が少し大きくなって物怖じしなくなってきたけど、新しい何かを耳にするたびにぶつぶつつぶやくのは変わらない。

「えっと、どういう外見なんですか?」
ゆにコーン(、、、、、)? そうだな……馬……だよな?」

 反対側を歩くルナに聞く。俺を挟んで奴隷の二人が左右を歩いている。

「うん! 馬ちゃんっぽい見た目だね。白い馬ちゃんで、たしか頭に角が生えてるんだよね」
「そうだったそうだった、そんな見た目だった」
「あれ? すごく普通……」
「普通って……何を想像してたんだ?」
「それは……クレーマーとか? そういう系の」
「???」

 サヤカが何を言いたいのか今ひとつ分からない。

「見た目は分かりましたけど、取り憑くってどういう事ですか? 霊的ななにかですか?」
「ゆにコーンは処女が好きなんだ」
「そうみたいですね」
「それは知ってるのか……。で、気に入った処女の子を見つけると取り憑くんだ。取り憑かれた子は男嫌いになって、嫁にも行かず一生独り身を貫いてしまうんだ」
「えええええ!? え、でも……本当のユニコーン(、、、、、)も……そう……かな?」

 悲鳴で始まった言葉が尻すぼみになって、しまいには首をかしげてしまうサヤカ。

 そうこうしているうちに依頼主の屋敷に辿り着いた。
 うちの三倍はひろい、綺麗な庭園がついてる立派な屋敷だ。

 門番のおじいさんがいるので、そのおじいさんに話しかけた。

「すみません、ギルドから来たものなんですが」
「お待ちしてました。中へどうぞ」

 おじいさんは俺たちを屋敷の中に案内した。

 屋敷は中も結構綺麗で、通された応接間なんてちょっとした貴族の屋敷のような豪華さだった。

 そこで少し待ってると身なりのいい、中年男が現われた。

「どうも、ハード・クワーティーです」
「キングソフトと申します……」

 男の身なりはよかったが、それ以上に憔悴していた。
 目の下にクマが出来ていて、髪も本来きちんとセットしているはずが、ところどころほつれが見える。
 心労がすごいのは一目で分かった。

「お嬢さんがゆにコーンに取り憑いてるとか」
「ええ。先週いきなり。いろんなものに頼んで駆除を試みたのですが、その度に失敗して……娘にどんどん嫌われて」
「お察しします。ゆにコーンに取り憑かれた娘さんって特に父親を嫌いますから」
「はい……もう私どうしたらいいか」
「ご安心ください、俺たちがそのゆにコーンを駆除します」
「お願いします! 駆除できたら何でもします、謝礼はいくらでも払いますから!」
「では、娘さんの部屋に案内してください」

 キングソフトは頷き、先導して俺たちを連れて応接間を出た。
 広い廊下を通って屋敷の最上階に上がって、ファンシーな作りの扉の前に来る。

 彼はノックして。

「シャオミィ、お父さんだよ」
「いや! お父さんなんて嫌い! 臭い! どっか行って!」

 間髪おかずに部屋の中から幼い女の子の声が聞こえてきた。
 それを聞いた父親はガーン、って顔をして、ますます落ち込んでしまった。

「愛娘にああ言われたらしばらく立ち直れないだろうな。サヤカ、ルナ。俺たちだけでやるぞ」
「うん」
「まかせて」

 俺はドアを開けて、二人と一緒に中に入った。
 可愛らしい部屋の中央に天蓋付きのお姫様ベッドがあって、その上にワンピースを着た可愛らしい女の子がいた。
 女の子の腕には案の定、ゆにコーンが抱っこされていた。

「あれがユニコーンですか」
「ああ」
「ぬいぐるみじゃないですか……」

 言葉を失うサヤカ、そうか詳細をあらかじめ聞いて来るくらいだから詳しい見た目は知らないんだ。
 こっちの説明も「馬っぽい」ってしか言ってなかったから、勘違いされたんだな。

「悪いサヤカ、見た目通りあんなんだ」
「はい。納得です……やっぱりモンスターなんですね」
「何をどう納得したのか知らないが。さて、やるか」
「どうしますか?」
「ユニコーンはものすごく強いけど、たちの悪いところが一個あってさ。戦って負けそうになると、宿主を殺してしまうんだ」
「えええええ!?」
「他の男のものになるくらいなら、って事らしい」
「処女厨の風上にもおけませんね」
「面白い言葉をつくったな」

 サヤカって結構言葉のセンスがあるのかな?

「だから速攻で、抵抗されることなく一撃で倒す必要がある」
「ですね。どうしたらいいですか?」
「サヤカ、ちょっとシャドーしてみて。チートはユニコーンに向けたまま」
「こうですか」

 サヤカはパンチを連続で繰り出した。
 相手の十倍強くて早くなるチート。
 ユニコーン相手のシャドーは目にも止まらぬパンチだった。

「それを続けててくれ」
「うん」
「ルナ。手を」
「うん! 行こうハードくん」

 手を差し出して、ルナと手をつないだ。

 瞬間、世界が止まる。

 ルナのチート、俺と手をつないでいる時だけ時間を止める事ができる。
 その間他の人や物に干渉したり好き放題出来るが、手をつないでないといけないので色々とやりにくいところもある。

 時間を止めて、俺とルナは女の子の元に向かった。
 そして彼女が抱っこしている、角が生えた白い馬のぬいぐるみのようなモンスター、ゆにコーンを取り上げて、サヤカのところに戻ってきた。

 彼女のシャドー、まったく見えなかったパンチも、文字通り止まって見える。
 そのパンチの軌道上にゆにコーンを置いた。

「これでよし」
「だね」

 ルナと頷き合って、手を離す。

 時は動き出す。

 シャドーの軌道上に置かれたゆにコーンは、時が動いた瞬間粉々に吹っ飛ばされた。

「え? そっかこうなるんだ。さすがハードさん、今のうまいね」

 一瞬驚いたが、すぐに理解したサヤカは俺を褒め称えた。

 こうして俺たちは難易度Aの難関ゆにコーンを無事討伐し、女の子はお父さんっ娘に戻って、大量の報酬をもらった。

 この時の俺たちはまだ知らなかった。
 ゆにコーンが大量発生していて。
 とある国の将来が真っ暗になっている事を。

 俺たちは、まだ知らなかった。
■10月10日書籍版発売します
よろしくお願いいたします。
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