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チートを作れるのは俺だけ~無能力だけど世界最強 作者:三木なずな

第四章

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43.怪盗ルナ

 帰宅した俺は、留守してたコハクとルナにフィーユの事を話した。
 俺と四人の奴隷、全員が集結したリビング。コハクとルナは真剣に俺の話に耳を傾けてくれた。

「その子がご主人様のほしい子なんだね」
「ああ、見た時こう、ピピンときた」
「イノリンの時と一緒だ」

 といって目を輝かせるルナ。

「だったら攫わなきゃだね」
「でも……フィーユ・スーパーソニック、だよね」

 コハクがフィーユのフルネームを口にして眉をひそめた。
 それにルナが首をかしげる。

「その人ってまずい人?」
「それなりに地位にいる人だよ。そうね……三つ星ギルドのマスターと同等か上、ってところかしら」
「そっか、さらっちゃうとまずい人なんだ」
「ねえハードさん、そろそろいにしえの作法がなんの事なのか教えて?」

 それまで黙って説明するのを待っていたサヤカが口を開く。
 戻ってくる道中も説明してる間も、彼女に「マテ」をしていたのだ。

 サヤカは説明を求めてる。一方で、サヤカのせかし(、、、)を聞いたコハクがキラン、と目を輝かせた。

「そっか、その手があったんだ」
「わかるの?」
「うん! あたし達が頑張ればいいんだね」
「いや、ルナだけでいい。予告も実行も」
「そっか、確かにそれでいけるね」
「だろ、だから――」
「――もう!」

 サヤカがダン! と床を踏んで大声を上げた。
 コハクが理解してくれたからついつい話を進めて、説明をすっ飛ばしてしまった。

「私にもわかるように説明してくださいよ」
「わるいわるい。えっと……コハク、まずはカードを作ってくれるか? それを使って説明した方が早い」
「そうだね」

 頷いたコハク、いったんリビングを出て行って、すぐに戻ってきた。
 手のひらの半分くらいの紙のカードを持ってきて、その上にペンを走らせる。
 これを使って説明すると言われたサヤカは注目して書き上がるのをまった。

「出来た!」
「どれどれ……今宵、月が真上に達したときにその身と心を頂きに参上します……うん、バッチリだ」

 文面を確認してから、それをサヤカに見せる。

「これがいにしえの作法。こんな風に予告状を出して、その予告状通りにさらえば誰にも文句はつけられない。法的にもたしか……」

 コハクに視線を水を向ける。この中で一番そこに詳しいのはコハクのはずだ。

「オッケーだよ。つかまるとすっごく罪重くなるけど。でもご主人様だし問題ないね」
「だな」

 コハクに確認して太鼓判をもらった後、サヤカを見た。
 彼女はカードを食い入るようにじっと見つめていて。

「……怪盗?」

 とつぶやいた。

「これで納得してくれたか?」
「うーん……まあ、納得って言えば納得かなあ」

 なんか歯切れが悪いけど、とりあえず納得してくれたのだからそれでいい。

「この世界らしいっていうか、本当にそれでいいのっていうか……」

 あっ、いつも通りぶつぶつなんかつぶやいてる。
 これが出たって事は大丈夫、なんだかんだで納得するパターンだな。

 サヤカはクリアしたから、今度はルナをむいた。

「頼むぞルナ」
「うん! 任せて」

 ルナは小さくガッツポーズした。
 彼女なら、彼女の『ちーと』なら出来る。

 確信して、ルナと手をつなぐ。
 『ちーと』が発動する、ルナと手をつないでいる間だけ、時間を止めて二人だけ動く事ができる。

「行こう」
「うん」

 頷くルナをつれて、カードを持って家を出た。
 人々が動かない、空気さえも静止して耳鳴りがするほどの静かな世界の中、ルナと一緒にギルドラブ&ヘイトにやってきた。
 フィーユはテーブルの上に資料を広げて、それを見て難しい顔をしている。

「一発目で見つかってラッキーだ」
「このカードをどうすればいいの?」

 ルナも作法をよく知らない方か。

「こうするんだ」

 俺はカードを手裏剣のように、フィーユのテーブルの上に投げた。
 カードはテーブルに当たって、跳ね返った。

「うっ、刺さらなかった」
「刺さらないといけないの?」
「ああ」

 ルナと手をつないだまま、カードを拾って更に投げる。
 しかし刺さらない。それを拾って投げて――でも刺さらない。

「むむむ」
「ねえねえ、ちゃんと投げて刺さらないといけないの? 刺さるように見せかけるだけじゃダメ?」
「見せかける?」

 首をかしげる俺。ルナは頷き、フィーユのテーブルに行って、愛用してるナイフでテーブルに溝を作った。
 そこにカードを差し込む。
 ぱっとみ、投げて刺したのと変わらない見た目になった。

「どうかな」
「……うん、これで大丈夫だ。ありがとうルナ」
「えへへ……」

 嬉しそうに目を細めるルナ。
 そんな彼女といったんギルドを出て、建物の外でつないでる手を離した。

『今宵、月が真上に達したときにその身と心を頂きに参上します――奴隷さらい!?誰か! ……誰かいるか!?』

 壁の向こうでフィーユの驚く声が聞こえた。カードを見て慌てているのが手に取るように分かる。

 俺はルナと視線を交わして、互いに親指を立てて、その場からそっと離れた。
 そして、夜。

 大勢のガードがまわりを固める中。
 俺はルナと時間を止めて、難なくフィーユをさらったのだった。
■10月10日書籍版発売します
よろしくお願いいたします。
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