挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
チートを作れるのは俺だけ~無能力だけど世界最強 作者:三木なずな

第四章

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

40/52

40.出会い

 家を出て、一つ星ギルド、ラブ&ヘイトに向かう。
 急ぎの仕事があるって事で、俺はサイレンさんに呼び出されたのだ。

 同行した奴隷はさやかとイノリ。
 イノリはまだ自分で歩けなくて、台車に乗って俺が押している。
 それで街中を歩くと結構視線を集めるが。

「……」

 イノリはまったく気にしてないようだ。
 もともとほとんどの事に無頓着なイノリだ、見られた位で動揺する様な性格じゃない。

「なんか……子連れ狼みたい」

 サヤカがぶつぶつ言った、声がいつもよりちょっと大きかったからはっきり聞こえた。

「子連れ狼って、サヤカの故郷は狼が台車を押すのか?」
「え? ううんそうじゃなくて、そういう名前の……剣豪? みたいなのがいるんです」
「よく分からないネーミングセンスだな」
「この世界の人に言われたくないですよぉ……」

 またなんかつぶやいたが、今度は声が小さすぎて聞き取れなかった。
 声が小さかったのもあるけど、俺がまわりをきょろきょろ見回しているのも原因の一つだった。

「いい人います?」
「うーん、なんかピンとこないな」
「そうですか。そういう時ってどんな感じなんですか」

 サヤカはイノリをちらっと見て、言った。
 奴隷達のお願いを叶える形で、俺は新しい奴隷を作る事にした。
 今は失われた古き良き伝統、最古の奴隷をリスペクトする意味で無理矢理さらうのも考えているので、ギルドに向かう道すがら、物色していると言うわけだ。

 それをサヤカが聞いてきた。
 イノリを見たのは、俺がイノリの身の上話を聞いた瞬間奴隷にするというのを目撃してるから、その時の事を聞きたいんだろう。

「そうだな……ピンとくるんだ。ああ、この子がほしいな、って」
「それだけですか?」
「それだけだ」
「……その、わ、私の時もですか?」
「ああ、サヤカの時も」

 俺は即答した。
 サヤカの時もそうだった。彼女を見た瞬間この子にするしかないという運命を感じた。

「そうですか……えへへ……」

 サヤカが嬉しそうににやける中、台車を押してギルドに向かう。
 結局、そうしたい相手が見つからないままギルドについてしまった。

 扉を開けて中に入る、いつものギルド、たくさんの冒険者。

「ハードだ」
「ハード・クワーティ……」
「Fランクのご主人様……」

 俺たちは注目を集める中、サイレンさんが待っているカウンターに向かって行く。

「悪いねいきなり呼び出したりして」
「いえ」
「そっちの子は?」

 サイレンさんは台車に乗ってるイノリを見た。

「俺の奴隷の一人、イノリって言うんだ」
「へえ、台車に乗ってるのはなんかのプレイ?」
「いろいろあって今は歩けないんだ」
「歩きたくない……でござる」

 イノリは綺麗な声でぼそっといった。

「あはは、ニート奴隷ちゃんだ」
「あなたの足が舐めたい――」
「あんたはあらゆるプレイ禁止♪」

 カウンターの向こうから手を伸ばしてくる旦那(?)にすっ飛んでいって折檻するサイレンさん。
 途端、ギルドに歓声やらはやしたてるやらの声が沸き起こる。
 旦那さんへの折檻って名物化してるんだな。

 にしてもあの旦那さん……いや考えるのやめとこ。

 最初はコハクが化けてたはずだから今のは? とか余計な事は考えないでいよう。
 折檻を終えて戻ってきたサイレンさんに聞く。

「それで、電書ハトを使って俺を呼び出したのは?」
「人助けをしてほしいの」
「人助け?」
「そう。もう気づいてると思うけど各地のギルドをまとめる上の組織があるのね」
「そりゃそうですよね」

 サイレンさんの言うとおり、今までの事で何となくそんな感じはしていた。

「で、その組織の監察官がプリブに来てうちを視察したんだけど、帰り道にモンスターに襲われちゃって、さらわれたんだ」
「それ大変なことですよね」
「大変だよ。プリブの近くだし。一応うちの管轄内だから、ちゃんと助けないと色々まずいんだ。無事に監察官を助け出す。これは難易度Sランクの依頼だよ」

 珍しく真顔のサイレンさん。
 結構大事だな、と俺は思ったのだった。

 プリブの街を出て、監察官が襲われた場所にまず向かった。

「どういうモンスターなのか分かってるんですか?」
「えっと……冥土ってモンスターだな」
「メイド……って絶対普通の冥土じゃありませんよね」

 またぶつぶつ言うサヤカ。

「どういうモンスターなんですか?」
「文字通り冥土、あの世の土でできたモンスターなんだ」
「あっ、そっちの冥土なんですね」
「大抵は人型だけど、たまーにごりらっぽくなるんだ」
「なんかそう言うのしってるかもしれません」
「そうか」

 俺は台車を押しながら、イノリを連れてサヤカと一緒に教わった場所に向かった。
 冥土なら、サイレンさんがサヤカを連れてきてと言ったのもわかる。
 あれはパワーだけの脳筋モンスター、サヤカだったら100%勝てる相手だ。

 しばらく歩いて、指定された場所に着いた。

「おっ、冥土があったぞ」
「どれですか……ええぇ……」

 サヤカは冥土を見た瞬間嫌そうな顔をした。

「どうしたサヤカ」
「あれ……メイドさんじゃないですか」
「冥土だな」
「冥土でメイドですね。メイド服を着たゴーレムじゃないですか」
「言われてみるとそうだな」

 モンスター、冥土はフリフリのエプロンドレスを着ていた。

「もう、変なモンスターばっかり!」
「そうか?」
「エンシェントモンスターとかの方がよかったです」

 それの何がいいのか分からないが……まあそれはともかく。

「おっ、あそこに見えるのって監察官の馬車じゃないのか?」
「冥土に囲まれてるあれですか」
「ああ」

 視線の先で何体もの冥土が一箇所を取り囲んでいた。
 冥土に遮られててよく見えないが、確かに馬車っぽいものがある。

「よし助けよう。サヤカ頼む」
「うん!」

 そう言ってサヤカが飛び出した直後。

「私、も」

 それまでぼうっとしていたイノリが口を開いた。
 そして、歌い出す。
 綺麗な声で歌い出す。

 歌は冥土に向けられた。
 サヤカが到達する前に歌を聴いた冥土に状態異常がかかった。

「すごい、冥土なのに出血とかしてるぞ」

 土のモンスターなのに出血したり毒になったりする冥土を見て、イノリの歌がまた強くなったんじゃないか、っておもった。
 一番奥のヤツに至っては石化した。

 土で出来たモンスター(ゴーレム)なのに石化した。
 すごいなイノリ。

 イノリの歌で状態異常にかかった冥土にサヤカが飛びかかって、一体ずつきっちり倒していった。

 『ちーと』を持つ俺の奴隷達の大活躍で、冥土は綺麗さっぱり一掃された。

「ハードさん! いました! 中に人がいます!」

 冥土を倒したその足で馬車の中を見たサヤカが俺を呼んだ。
 イノリの台車を押して、馬車に近づいていく。

「よかった、頭にたんこぶできてますけど大丈夫みたいです」
「そうか――っ」

 追いついて、サヤカの後ろから馬車の中をのぞき込んだ俺は息を飲んだ。
 中にいる監察官らしき人間に、息が詰まる止まるくらいの衝撃を覚えた。

「どうしたんですかハードさん」
「この人だ……」
「え?」
「この人を奴隷にしたい」
「……おお!」

 サヤカがポンと手を叩き。
 イノリも、ちょっとだけ興味が湧いたかのように馬車の中をのぞき込んだのだった。
■10月10日書籍版発売します
よろしくお願いいたします。
7ysy7eb3mlnm36qb0th9jyha9ke_php_nf_xc_9d
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ