挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
チートを作れるのは俺だけ~無能力だけど世界最強 作者:三木なずな

第三章

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

37/52

37.奴隷たち

 サローティアーズ王国、王都マーキュリー。
 玉座の間で、一人で国王に謁見した。

 男を倒した後、なにごともなく数週間がたった。
 総選挙は問題無く行われて、新しい大統領が決まった(下馬評通りSランクアイドルのナナという女だった)。
 大統領になった彼女にあって、親書を届けてきた。

 それらを含めた事件の顛末を国王に報告した。
 報告を静かに最後まで聞いた国王は、落ち着いた声でおれをねぎらった。

「ごくろうだった。それで例の男はどうなった」
「それが……」

 おれは眉をしかめた。

「倒した後そのままプルルージュ側に引き渡したんけど、次の日に死んだって言われました」
「死んだ? どういうことなのだ?」
「牢屋にぶち込んだんだけど、次の日看守が確認したら死んでた。真っ白な灰になってて、確認する過程で死体そのものが崩壊したらしいんだ」
「なんと……女は? そなたの幼なじみ、アイドルになったというあの女はどうしている」
「リサは……記憶を無くしてます」
「記憶を?」
「こっちは回復した後話を聞こうとしたんですが、記憶が完全になくなってた。男の事も、アイドルになってライブをしてたことも全部。魔法にかけてみたけど、本気で何も覚えてないらしい」
「むぅ……となると証拠はなにも無しか」
「一応」

 おれはポケットからブレスレットを取り出した。
 輝きを失った例のブレスレットだ。壊れなかった物を一つ拾って、取っておいたのだ。

「あの男が使ってた物です。多分ロックと同じ物だと思います」
「……こっち預かろう、調べてみたら何かわかるかもしれん」

 国王がそういい、手をかざした。
 兵士が一人やってきて、おれの手から受け取った。

 受け取った兵士が下がって行き、おれは国王と見つめ合った。
 国王は穏やかな、しかし真剣な口調で言った。

「もしもの場合はまた動いてもらうかもしれぬ」
「わかってます」

 おれははっきり頷いて、即答した。
 言われるまでもない、むしろそうしなきゃダメだとおれも思う。

 ロックと同じブレスレット、正体不明で危険な物が違う人間の所から出てきた。
 更にどっちも、未だはっきりしない何かを企んでる。

 なにがかある、おれ達がまだ知らない何かが。
 ここまで関わってしまった以上、このブレスレットがこの先まだ出てくるのなら、なにか関係した事があるのなら。
 それに協力をしなきゃだめだろう。
 今の所、それに一番深く関わってるのはおれなんだから。

「さて」

 一転、国王は明るい声で言った。

「報酬を渡さねばならんな。親書を無事届けてくれたのだ。なにかほしい物はあるか?」
「お金を下さい。ローンを払わなきゃならないので」

 またも即答したおれ。
 コハクから前もって、報酬の事をいわれるって聞いてたから、何を要求するのか決めてきてるのだ。

「ローンというのは家のローンの事か? 前に払ってやったはずでは?」

 ああ、そういえばいってなかったっけ。
 おれは国王に説明した。ローンを払い終えたあと、増築してまたローンを抱えたことを。

「なるほど、ならそれも払っておこう」
「本当ですか?」
「なあに、そなたの働きに比べれば安いものだ」
「ありがとうございます!」

 おれはテンションが上がった。
 これで増築した分のローンも完済。
 あの家、四人の奴隷と暮らせる5LDKの家は完全におれの物になったと言うことになる。
 テンションもあがろうってものだ。

 その後国王ととりとめのないやりとりをして、玉座の間をでた。

 こうして、今回の事件はとりあえずの区切りがついた。
 プルルージュ共和国への出張で得た物は。
 深まる謎と、新しい戦いの予感。

 そして完済した自宅と、新しい奴隷。

 差し引きでプラス、そんな旅だった。

     ☆

 街中、ハードが謁見中に待機する四人の奴隷達。
 彼女達はカフェのオープンテラスにいた。

 待機中で、のんびりしてていいはずの奴隷達だが、サヤカとコハクはものすごく険しい表情をしていた。
 険しい表情で、王都の人々を見つめ――いやにらみつけている。

「サヤカちゃんコハクちゃん、二人とも何してんの?」
「練習」
「『ちーと』発動の相手探しの練習」
「ついでにみただけで相手の力をすぐにわかる用になる練習」
「練習って……それ修行っぽいんだけど。なんでそんなことしてんの?」

 ルナが聞くと、サヤカとコハクは通行人をにらみつけるのをやめて、視線を交換した。
 さっきまでの鬼気迫る程の真剣さから一転、意気消沈した様子である。

「今回のわたし達、あまりハードさんの役に立てなかった」
「相手に研究され尽くして、ご主人様の役に立てなかったどころか足を引っ張ってしまった」
「次は役に立てるようにがんばるの」
「役に立つ……」

 つぶやくルナ。
 そして、立ち直って、真剣な表情で決意を語るサヤカとコハク。

「ハードさんのために頑張る」
「ご主人様の力になれるように。ご主人様がでーんと構えていられるだけでよくなるくらい強くなる」
「うん、何かあったらわたし達が全部やってしまえるくらいつよくなりたい」

 強く、強く決意を語るサヤカとコハク。
 すると、それまで黙ってたイノリが歌い出した。

 何を話すでもなく、いきなり歌い出したのだ。
 美声が紡ぐ、天上の歌声。

 街ゆく人々が立ち止まって、聞きぼれる程の歌を。

 サヤカもコハクも、ルナもすぐに分かった。
 あまり口を開かないイノリ、これが彼女の決意だ。

 サヤカとコハクと同じように、ハードの力になりたいと、そのために自分を磨こうと。
 そういう決意だ。

「うん、ルナも頑張る」

 サヤカ、コハク、ルナ、イノリ。
 四人の奴隷は決意を固めて、自分が出来る事をもっと伸ばし、もっと昇華していくと決意した。

 ハードはご主人様というのをこだわっている、ならば自分達も奴隷である事をこだわろう。
 なにがあっても、ご主人様が悠然と構えているだけでいい。
 なにが起きても、奴隷の自分達が全てを排除できるように。

 そんな奴隷になろうと、四人は、心を一つにしたのだった。
これで第三章完。
次回から第四章となります。

面白かったらブクマ、評価もらえると嬉しいです。
■10月10日書籍版発売します
よろしくお願いいたします。
7ysy7eb3mlnm36qb0th9jyha9ke_php_nf_xc_9d
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ