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チートを作れるのは俺だけ~無能力だけど世界最強 作者:三木なずな

第二章

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18/52

18.賞金首ハード

 炭酸の街・エルーガに更に滞在した。

 毎日ギルドに出向いて、クエストを受け続けた。
 最初は高いランクのを受けて、サヤカとコハクとの三人で一緒に行動してた。

 次第に手分けするようになった。

 理由は大きく二つ。
 ギルドのけが人が更に出たからだ。

 ランキングの弊害ともいうべきか、一定以上の実力者――例えばランキング10位以内の冒険者はやる気が上がって、戦果を更に上げた。
 しかしそうじゃない普通の冒険者は一発逆転を狙いすぎて難しいクエストを受けて、それで負傷離脱するのが更に多くなった。

 よそからやってきた助っ人の冒険者もそういう傾向がある。
 通常運転してるギルドだと出来ない格上のクエストに挑戦できるのがここということもあって、無茶をする人が多い。

 それで助っ人は次から次へと来るのに、相変わらず人手不足のまま。
 だから『ちーと』持ちの二人を手分けさせて、高ランクのクエストを単独でやらせた。

 コハクもおれと同じFランクだけど、相手の魔力より十倍高いって『ちーと』があるから、高ランクでも問題無くこなせるから。

 二つ目は……流石におかしいと思いはじめた。

 この、ギルドのけが人が続出してる状況について。
 怪我で離脱する冒険者が次々と続出しても、ギルマスのロックさんは改善するそぶりはなくて、むしろどんどん冒険者達をあおって危険な事をさせてる。

 それはちょっと――おかしくないか?
 そう思ったおれは、単独で行動する事にした。

     ☆

 そしたらこのざまだよ。

 おれは薄暗い部屋の中の中にいた。
 Fランクのクエストを受けて、街中を歩いてると急に後ろから衝撃がきた。

 後頭部に思いっきり何かで殴られた。
 それで気絶して、気がついたらここにいた。

 襲われる心当たりは――一つしかない。
 おれはそれとなくロックさんの事を探っていた。

 ロックさんがヤバイ人間だと決めつけて、それを探るような動きをしていた。
 もしロックさんがシロだったら後で謝る、でもクロだったら向こうから何かしてくる。

 そう思って動いた。
 そしていま、おれはピンチになった。

 つまり、やっぱりロックさんが怪しいのだ。
 そう思って、さああらかじめ用意したもので脱出を――って思ったら。
 予想外の人間が現われた。

「リサ……」

 ドアを開けて入って来たのはリサだった。
 彼女はドアを閉めて、鍵をかけて、憎悪の目でおれを睨んでる。

 まさかリサがロックさんと……?
 一瞬そう思ったが、すぐに違うってわかった。

「あんた、どんなズルしてるのよ」
「ズル?」
「そうじゃなかったらあんたがランキング一位になれるはずないじゃん。あたしがこんなことになってるのに、あんただけ……落ちこぼれのハードがあんないい思いできるはずないじゃん」
「……」

 これはつまり……。
 あれか。このまえ2位の冒険者に狙われたのと同じ話か。

 まいたえさに食いつかれたんじゃなくて、エサを撒く手に食いつかれたってことか。
 予想外の事だ。

「いいなさいよ」
「別に何もしてない。おれは奴隷と――」
「そんなわけないじゃん!」

 リサはヒステリックに叫んだ。

「あの奴隷の事を調べた! リユ銀貨19枚で押しつけられた処分品じゃん」

 えええええ!?
 そ、そうだったのか?

 そんなの初耳だぞ。
 でも金額まで言い当ててる、調べたのは確かなんだ。

「あんな処分品でなにか変わるわけないじゃん! いいなさいよ、どんなズルをしたのよ」

 おれは答えなかった。
 ズルしてる、って決めつけられてるから、何をいっても意味ないって思った。

 おれは後ろ手で用意してる物を使った。

「アン♪」
「なに変な声をだしてるのよ!」

 リサが切れた。
 今のはおれの声じゃない、後ろ手でだした電書ハトが手紙を送ったときの声だ。

 リサも電書ハトを知ってるからばれるのかってドキドキしたけど、ばれなかったみたいだ。
 ちなみに手紙はサヤカに送った。それを見たら助けに来いって言ってある。

 ちなみにコハクじゃなくてサヤカなのは、魔力がゼロな相手はいても、力がゼロな相手はいない。
 コハクは相手次第で完全に無能力になるけど、サヤカはそれがない、ってのが理由だ。

 さて、あとはリサをやり過ごしてサヤカを待つだけ。

「さっさと白状しなさいよ! 何をどうやったのさ」
「普通にクエストをこなしただけだ」
「そんなわけないでしょ! 何回言わせるの! あんたみたいなのがそんな事出来る訳ないでしょ!」

「嘘はいってない」
「どうしてもすっとぼけるつもり?」

 リサのめがすわった。
 元々やばかったけどますますやばくなった。

 リサとあれこれいい訳(、、、)してみた。
 最初は「おれの奴隷になるとものすごく強くなる」って事実をいって更に切れられたから、それからは口から出任せになった。

 適当な事をいって、とにかく時間稼ぎをする。
 リサの表情がどんどんやばくなっていく。

 まだか? まだなのかサヤカ。

「ふふ、ふふふふふふ。もういい、何をきいても嘘しか言わないあんたの話はもうきかない」

 げっ。
 これはまずい、完全に切れたかもしれない。

「り、リサ。もうちょっと話をしよう」
「もういい。話をしても無駄だって気づいたの」

「じゃ、じゃあおれはもう帰るな――」
「返す訳がないでしょ」

 リサはヤバイ目をして、何故かでっかいハサミを取り出した。

「そ、それで何をするんだ?」
「あたしが味わった苦しみを味わってもらうの」
「お、お前の苦しみ? ――はっ」

 リサの苦しみ、そしてハサミ。
 おれはとっさに股間を押さえた。

 そういうことか! そういうことなのか!?

「やめてくれリサ! 落ち着け、落ち着いて話そう! なっ」
「ふふふふふふ」

 リサが迫ってくる。
 やばい――。

 と思った瞬間、ドアが乱暴に開かれた。
 外から突入してきた人がリサに一瞬で肉薄して、腹パンした。

「がはっ……」

 リサは一瞬落ちた。気を失って崩れ落ちた。
 危なかった、もうちょっと遅かったらやばかった。

 まあ助かったからいいとしよう。

「助かったサヤカ、よくまにあ――」

 ねぎらいの言葉は途中で止まった。
 なぜなら、現われたのはサヤカじゃなかったからだ。

 現われたのはサヤカと近い背格好の少女だった。
 ぱっちりした目と、愛らしい顔。
 そして頭のてっぺんにみょーんって伸びる二本のクセ毛が特徴的だ。

 ……だれ?

「あんたがハード・クワーティー?」
「そうだけど……お前は?」
「ルナ、ルナ・G・クレイドル」

 ルナ・G・クレイドル?
 はじめて聞く名前だ。

 まあいい、はじめてでも何でも、助かったのは事実だ。

「ありがとう助かった。キミのおかげで――えっ?」

 目の前のルナがいきなり消えた。
 背後、背中ぴったりに気配を感じた。
 首筋に冷たい物が当たった。

「な、なんのつもりだ? おれを助けたんじゃないのか?」
「うん、助けたよ。でもそれは獲物を横取りされそうになったから」
「え、もの?」
「説明は殺してからにするね」

 ルナはあっけらかんと言い放った。
 いや殺されたら聞けないだろ!

 まずいまずいまずい。
 やばいよまずいよどうするんだよ。

 必死に考える、なんとかする方法を。
 と、そこに。

「お待たせしました!」

 サヤカがやっと到着した。

「ハードさん! それが敵さんですね! あっ、リサさんもやられてます……なんでリサさん?」

 首をかしげるサヤカ。
 一部誤解はあるけど、この際それはいい。

「サヤカ! こいつを倒して――気絶させろ!」
「はい!」

 サヤカが踏み込んできた。

「あまいよ、このナイフは風よりも早い」

 首筋に当てられた冷たい感触が強くなった、肌にくいこんできた――のは一瞬だけ。
 キーン。

 甲高い音をのこして、ルナのナイフがはじかれた。
 さやかがすぐ目の前にいた。

「え?」
「ハードさんを――許さない」

 目の前のサヤカは珍しく怒ってる表情をした。
 背後のルナが飛び退いて距離をとった。
 落ちてるナイフを拾った。

 ――が。
 サヤカは更に追った。
 一瞬で目の前に迫って、攻撃を繰り出した。

 キーン。
 また音がした。

 サヤカとルナがぶつかって、ルナが退いた。

「馬鹿な。ルナよりも早い人間がいるなんて」
「大人しくしなさい!」

 狭い部屋のなか、サヤカとルナが超人バトルを繰り広げた。

 ルナはものすごく早かった。
 目で追うのがやっとなスピード。

 多分今まで見て来たどの人間よりも速い。
 速い、けど。

 サヤカはそれよりも更に速かった。

 相手の十倍速くなる『ちーと』。
 それは、どんな相手でも例外はない。

 ルナより十倍速くなったサヤカは、死ぬほどびっくりするルナをあっという間に制圧した。

     ☆

「賞金稼ぎ?」

 縛り上げたルナはあっさり白状した。

「そだよ。ルナは賞金稼ぎ。懸賞金がかかってる相手を倒して、それで賞金をもらうの」
「それってつまり、おれが賞金首……ってことなのか」
「そう」

「えええええ!? ハードさんが賞金首ですか? ハードさん、なんか悪いことをしたんですか?」
「いやしてないよ」
「も、もしハードさんが悪いことをしてる悪人だったら……でもわたしハードさんの奴隷だし……一緒に悪いことをするしかないのかな……」

 さやかがいつも通りぶつぶつ言い出した。
 そんな彼女はほっといて、縛られてるルナに聞く。

「なんでおれが賞金首になってるんだ?」
「ギルドのランキングってあるじゃん?」
「ああ」

「あれの上位の冒険者は今全員賞金首なの。ランキングが上な人ほど高い懸賞金がかかってるの」
「あっ……悪いことをしたからじゃないんだ……」

「で、あんたはずっとランキング一位。やっぱりちょっとだけ上に行った人とずっと上にいる人じゃかかる懸賞金が違うんだ」
「そりゃそうだ」

「ちなみにあんたは今3000枚」
「……へ?」

 3000枚って、なにが?

「懸賞金の額だよ、銀貨3000枚」

 ……。

「「えええええ!?」」

 サヤカと一緒になって驚いた。

「ちなみにあんたの奴隷はそれぞれ100枚ずつ。ご主人様が3000ならそれくらいは普通につくね」

 ルナの説明は頭に入ってこなかった。
 3000枚って、3000枚って。

「増築を一回したマイホームよりも高いじゃないか!」

 思わずつっこんだ。
 それを聞いたサヤカがハッとした。

「家よりも……ハードさん……すごい」

 って、尊敬しきった目でおれを見て。
 ものすごく、複雑な気持ちになった。
■10月10日書籍版発売します
よろしくお願いいたします。
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