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チートを作れるのは俺だけ~無能力だけど世界最強 作者:三木なずな

第二章

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17.ランキング1位と有名税

 Bランククエスト、動かザルの撤去。

 動かザルってのは文字通り「ザル」の形をした魔物。
 目をつけたところに現われて、その場に居座って動かなくなる。

 動かない上に繁殖をして新しい動かザルを産み出す。
 進んで人間に害を及ぼす魔物じゃない、攻撃力とかほとんどない。
 けど居座られて増殖するから、早めに撤去しないと大変な事になる。

「んしょ、んしょ」
「これは……ちょっと大変かも」

 おれとサヤカ、そしてコハクの三人で動かザルの撤去をしていた。
 ちっちゃいザルのくせに、成人男性くらい重いなこいつら。

 それに、硬い。

「一気に壊せたら楽なのにね」
「ごめんなさい……」
「サヤカのせいじゃない。弱いくせにやたらと硬い、そういう魔物もあるってことだ」

 実は最初、サヤカとコハクの二人に壊させようとした。
 それは出来なかった。
 二人とも「相手の十倍」つよくなるって『ちーと』を持ってるんだけど、動かザルの十倍強くなっても、向こうの防御力をぶち抜けない。

 防御力だけ突出してるから、サヤカともコハクとも相性が悪い。
 仕方がないから、おれ達三人でせっせと撤去した。

 ちなみにザルだから、川とかに捨てればそれでおしまい。
 溺れるくせにそれでも動かないからだ。

 おれ達三人は増殖した動かザルを撤去した。
 Bランククエストだけど、今までで一番苦労した。

     ☆

 ギルド、『勝つためのルール』。
 報告のために戻ってきたおれ達三人。

 ギルドの中には冒険者が多くいた。
 掲示板を見たり、カウンターでロックさんと話したり。
 結構な活気があった。

 おれ達はカウンターに近づく。

「すいません、助けてもらって」
「けっ。気にするな。それもこっちの仕事だ」
「本当すいません……」
「ブレスレット交換してやる、ホラ出せ」

 先客がロックさんに申し訳なさそうな顔で光ってるブレスレットを差し出した。
 それをみて、サヤカが小声でおれに言った。

「また助けられた人ですね」
「そうみたいだな」
「怪我が軽そうでよかったです」

 ……リサとアイホーンの事を思い出したか。
 あれ以来、サヤカはちょっと調子がよくない。

 助けに行ったのに助けられなかった、って思ってる。
 命こそ助かったが二人は大けがした。アイホーンに至っては腕を失った。

 それを気に病んでるサヤカ。
 彼女のせいじゃないんだがな。

 前の冒険者が立ち去って、おれはロックさんに話しかけた。

「戻りました。動かザル、全部川にぶち込んできました」
「……そうかよ。ほれ、報酬だ」

 ロックさんはつまらなさそうにいって、銀貨袋を渡した。
 受け渡しの瞬間、ロックさんはおれの腕をみる。

 ブレスレットをみられた。
 銀貨袋をサヤカに預けて、ロックさんに言った。

「大丈夫です、怪我なんてしてません。交換もいらないです」
「けっ。別にそんなの心配してねえよ」

「ハードさん、これ、ちょっと多いです」
「うん? 多い?」

 銀貨袋の中身を確認したサヤカがいった。
 どういう事なの? とロックさんをみる。

「けっ。ボーナスだよ、というかランキングだ」
「ランキング報酬?」
「あれ」

 ロックさんが離れた場所を指さした。
 そこに見慣れない、クエストのものとは違う掲示板があった。

 近くに行って眺めた。

『勝つためのルール 所属冒険者ランキング』

 ってあった。
 順位と、冒険者ランクと、名前があった。
 そこにおれが一位になっている。

 ああ、これの報酬か。
 微妙になっとくした。ここに助っ人に来てから、おれが一番働いてるかもしれないっていう思いはあった。

 SからBまでのクエストを中心にこなしてる。
 掲示板の他のクエストも見えるから、その減り具合で、おれが一番やれてるかもっていう思いはあった。

 実際にこうして形になって、推測が正しかったと証明された。
 一位か……。

 おれはそれをじっと見た。
 同じようにじっと見ていた冒険者が横から話しかけてきた。

 あきらかに不自然な髪型(多分ヅラ)をして、その上に帽子をかぶってる男の冒険者だ。

「このギルドっていいよな」
「え? どういうこと?」
「一番上見ろ。一位、Fランク、ハード・クワーティー。ってあるだろ」

 どうやら男はおれの事を知らないみたいだ。

「他のギルドだとランクごとの依頼しか受けられないけど、ここだと格上挑戦が出来る。あんな風に低ランクでも頑張れば一位になれる――つまり高収入を手に入れる事ができる」

 男の語り口はヒートアップしていった。

「頑張らなきゃな、おれも! お前も頑張れよ」

 男は最後にそう言って、おれを励ましながらクエストの掲示板にいって、次の仕事を選び出した。

 よく見ればまわりにいる他の冒険者もそうだった。
 みんなFランクのおれの事を話題にしてて、あこがれだったり、悔しがったりして、おれの噂をしている。

 おれ達もがんばろう、ランクが低いけど一発逆転狙うぜ。
 冒険者達のテンションがランキングによって高まっていた。

 ロックさん、これをねらってやったのかな。

     ☆

「ハードさんが一位なんてすごいです」

 ギルドをでて、次のクエストに向かう途中。
 サヤカが興奮気味でランキングの事をいってきた。
 コハクが彼女に聞いた。

「サヤカの名前がなかったけどそれはいいの?」
「え? だってわたしはハードさんの命令で動いただけだし。それに」

「それに?」
「わたしは、ど、奴隷だから」

 サヤカは赤面しつつ、おれをちらちら見た。

「そう、サヤカはおれの奴隷。奴隷がやったあらゆる事はご主人様がやったも同然。奴隷の功績も責任も全部ご主人様のものだ」
「前にも似たような事をきいたけど、本当に責任も?」

 おれは頷く。
 当然だ。それこそがご主人様ってもんだろ。

「コハクはそれ知らないのか?」
「しってるよ。でも責任だけ逃れようとする人多いから」
「そいつらはご主人様失格、ってだけの話だ」

 おれは違う、ご主人様失格になんかならない。
 ちゃんとご主人様道を貫いてみせる。

 ご主人様らしくする。
 そう考えるとちょっとテンションが上がる。
 歩くペースがあがって、奴隷の二人を引き連れて歩く形になった。

「ハードさん、危ない!」
「え?」

 何があぶない――って聞き返した途端、目の前に刃が迫った。
 一瞬、世界がスローモーションになった、走馬燈っぽいのが見えた。

 次の瞬間、世界が戻った。

 刃が離れて行く、それが剣を持ってる人間だってちょっと遅れて気づく。
 ちょっと遅れて、サヤカとコハクがおれの前に立つ。

「大丈夫? ご主人様」
「大丈夫だ」

「ごめんなさいハードさん、すぐに捕まえます!」
「ああ」

 サヤカが飛び出していった。
 相手は飛んで来たサヤカに反撃した。

 持ってる剣をビュンビュン振り回した。
 かなりの使い手みたいだ。
 強くて速くてうまい。
 そんな印象をうけた。

 そんな相手よりもサヤカは十倍強くて十倍速かった。
 一瞬で肉薄して、剣を持つ腕を捕まえた。

 それで男は動けなくなった。
 テクニックじゃない圧倒的なパワーと素早さで、サヤカはおれを襲った男を制圧した。

     ☆

「2位の冒険者?」

 コハクから話をきいて、眉をしかめた。
 離れたところでサヤカが拘束してる男をちらっとみた。

「うん、そう。あのランキングで2位になってる、Bランクの冒険者、フレッシュ・ミートっていうの」
「そのフレッシュがなんておれを?」
「Bランクでものすごく頑張って格上のクエストこなしたのに2位なんておかしい、Fランクのご主人様が一位なんておかしい。絶対ずるしてる」

「ずる」
「その化けの皮を剥がしてやる、って息巻いてた」
「そうか」

 おれは男をみた。
 男はまたおれを睨んでる。そんなに憎いのか。

「有名税だね」
「嬉しそうだな」
「そりゃね」

 コハクは更に嬉しそうに言う。

「ご主人様と同じ。奴隷もすごいご主人様だと嬉しい。こんなすごい人の奴隷で誇らしい、ってのがあるから」
「なるほど」

 有名税か。
 ならもっともっと有名にならなきゃな。
■10月10日書籍版発売します
よろしくお願いいたします。
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