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第一話
「ーーっ!!」
暗い部屋の中で沙柚は目を覚ました。
またか・・・と内心思う。いつからだろうか・・・。寝る度に見る夢で目を覚ますようになったのは。
もう1度眠る気にもなれず、沙柚は汗でびしょびしょになってしまった肌襦袢から普段きている袴に着替え、長い黒髪を後ろで1つに結ぶ。出発の準備をした沙柚は静かに目を閉じた。今でも鮮明に覚えているあの光景が瞼の裏に浮かんだ・・・。
***
沙柚は武士の家に生まれた。3人兄弟の末っ子で、上に2人の兄がいた。2人とも学も剣の腕もあり、自慢の兄であった。沙柚自身もそんな兄たちを尊敬し、勉学はもちろん、剣の稽古にも励んだ。周りからは「女なのに」と影で言われていたのだが、そんなことその頃の沙柚には関係のない事だった。
毎日が充実して素晴らしい日々、このままこの暮らしがずっと続きますように・・・。心の中でいつも神に祈っていた。
だが、まだ幼い少女の祈りを神は見捨てたのだ。




