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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

星は彼方に消えていった

作者: 明三郎14世

プロローグ

私は走った。口と服を真っ赤に汚して行くあてもなく、森の奥へ奥へと、ひたすら走った。すると森が開けた場所に着いた。そこには小さな小川が通っていた。その小川の向こう岸には、彼が猟銃の銃口を私に向けて待ち構えていた。

第一章 運命の歯車が動いた

あれからどれほどの月日が経っただろうか。

私はまた、そんなことを考えていた。ヒトの暦で言うならば十年ほど、時間で表すならば八万七千六百時間、秒単位で表すなら三億千五百三十六万秒ほど。

私は長く生きたほうだろう。なぜなら十年前の大津波で、私は陸に打ち上げられ干からびていただろうからな。その時だ、あの少年に救ってもらったのは……

数年前までは、あの少年もよく遊んでくれたが、ここ七年ほどは姿を見ていない。生きているかは分からないが、生きているなら今では青年だろうな……

私がここ最近思うこと、それは、彼にあの少年に会いたい、それだけだった。だけどそれは叶わない願い。なぜなら私は、人間でなければ空や陸に住む動物でもない。私はヒトデだ。

それでも想う、あの少年に会いたい。何をしても、何を失ってもいいから会いたい。そいてあって一言言いたい「ありがとう」と、そのたった一言でいいから言いたい。

そんな時だった脳内に太く重い声が響いてきた。

『先程から思っていることは誠か?』

唐突だった。その声に私は聞き覚えのない声だった。私が「誰?」と聞くとその声の主は、

『わしのことは、どうでも良い。貴様が先程思っていたことは、どんな代償を払っても良いから、ニンゲンになりたい。そう受け取っても良いのじゃな?』

と、声の主が聞いてきた。だから私は「はい」と答えた。すると声の主は、

『良かろう。ただし、ニンゲンになったら最後元には戻れん。わかったな?』

私はその問いにも「はい」と答えた。

『分かった。ではニンゲンになるための条件として、ニンゲンになった後本能のままに生き、ニンゲンとして充分生きたと思ったら、この島の一番大きな山、神殺しんせつ山まで来い。分かったな?』

その問いにも「はい」と答えると、声の主は笑い声とともに、声が聞こえなくなっていった。その直後だった、風が強まり海が荒れ、海や落雷が落ちる始末。そして雷は私に直撃し、私は意識を失った。

しばらくすると少しだけ意識が戻るとニンゲンの声がした。そのとき私は誰かに運ばれていた。そのとき見たものは、どこか懐かしいニンゲンの顔だった。だけど私はまた意識を失った。

第二章 奇跡の再会

私は、夢を見ていた。それは、とても懐かしく暖かい記憶……

私はあの日、1983年昭和58年5月28日、あの少年に救われた。浜辺に打ち上げられた私に「大丈夫かい?」と、優しく声をかけてくれた。そして、優しく海に返してくれた。すると少年は「元気でね」と、また優しく声をかけてくれた。私は嬉しかった。海でも陸でも厄介者と疎まれていた私に、生まれて初めて優しい言葉をかけてくれた。あの子に一言でいいから伝えたい「ありがとう」と、だけど、あの子の名はなんといっただろうか、あの時、一瞬だけ聞こえていた。確か…シンセツ…シンセツユ…

「ユウト!」

私は目を覚ました。だがそこは、見たことのない場所だった。木の板で周りを覆われ、高さは私の倍くらいで、縦と横は私の数倍の広さはある。

私はふと視線を落とすと、私は大きな布に寝かされていた。

そして私はニンゲンになっていた。「理屈」そんなものはわからない。だが一つの望みは叶った。あとは本題の、あの子にあの日の礼を言うだけ。そうすれば私の望みはすべて叶う。

と、これからのことについて考えていると、どこからか「呼びましたか?」というニンゲンの声が聞こえていた。声のした方向に顔を向けると、そこには黒い髪に青い瞳を持つ、一人のニンゲンの男が立っていた。

「今、僕のこと呼びましたよね?」

私は戸惑いながら「誰?」と、聞くとその男は、

「す、すみません。僕は、神殺勇人といいます。気軽に、勇人と呼んでください。この村、神殺村の長の息子です。よろしくお願いします。それで、あなたの名前は?」

彼が自己紹介を終えると、私は泣いていた。やっと会えた。十年ぶりに会えた。そう考えると、涙が溢れて止まらなかった。

「え、あ、あの?僕はなにか、気に障るようなことを、言ってしまいましたか?」

彼がそう問うと、私は首を横に振り彼に抱きついた。彼が更に戸惑うと、私は「やっと会えた」そう言うと私は、彼から離れた。その時の彼の顔は、真っ赤になっていた。そして私は、その顔が可笑しくてクスクスと、笑いながら、

「先程はすみません。嬉しくってつい、改めまして。私の名前は、神生罪人美さいとみといいます。それでここは?」

そう尋ねると彼は、真っ赤だった顔からもとの顔に戻り、

「あ、はい。ここは僕の家です。ところで先程やっと会えたと言っていましたが、失礼ですが僕はあなたに、どこかでお会いしたことがあったでしょうか?」

私はその言葉を聞いて分かっていたけどやっぱりショックを受けていた。

「私は、10年前あなたに助けられた、ヒトデです。信じられないかもしれない。でも、真実なんです!あなたに優しく海に返され、そのあとも優しく声を掛けられ、心の 底から感謝して、ずっとお礼を言いたがっていたヒトデなんです!ヒトデの姿を捨て、 ただ…ただ…貴方に、一目会いたがっていたヒトデなんです…」

悲しそうな顔、泣き出しそうな顔、そんな顔を、一切出さないよう頑張ってはいたけど、やっぱり無理だった。涙が途中から溢れてきて、ただ夢中で喋っていた。

すると彼は、私の頭の上にポンっと優しく手を起き、優しく私の頭を撫でてくれて一言いってくれた。「僕はあなたの話を信じます」と、私は正直驚いた。自分ですら、何故こんな物理的にはありえないことが、起きているのか解らないというのに、彼はそのあと続けていった。

「僕も、あなたが自分のことをもとはヒトデだって言った時は信じていませんでしたけど、あなたの目を見た時、その目は真剣な目でした。もとはどうであれ今のあなたは誰がどう見ても僕と同じくらいの人間です。僕は人の目を見れば嘘か本当かはわかります。だから僕は、あなたのことを信じます」

彼がそう言ってくれると、私は泣いていた。嬉しかった。どんなに時が経っても昔の彼と全然変わってないことに。昔みたいに優しい言葉をかけてくれたことに、嬉しかった。そして私は「ありがとう」と一言お礼を言った。すると彼は「うん」と、子供をあやすかのように頷き「それじゃあ、このことは僕と罪人美さんの秘密にしましょう」と、続けた。それに私は「はい」と頷いた。そのとき、「秘密ってなんですか?」というニンゲンの声が聞こえた。二人で声のした方向に振り向くとそこには、ニンゲンの女が立っていた。

第三章 目覚めし呪い

そこには茶色い髪に黒い瞳を持つ、一人のニンゲンの女が立っていた。勇人はその女の前に立ち「なんでもありません」と言い、女を自分の隣に座らせた。

「彼女は、僕の婚約者の人救神女じんきゅうしんにょさん。たまに、ここに来るので、仲良くしてください」

そう言われ、私は「はい…」と弱々しく答えた。なぜなら、彼の言った「婚約者」という単語を、気にしていたからだ。正直…ヒトデの時には覚悟していた…彼は、私のことなど忘れて、ニンゲンの女と家庭を持ち、楽しく生きているのではないかと…そして今、私の不安は当たらずとも遠からずといった感じである。私がそんなことを感じていると、彼は神女というニンゲンに、私のことを簡単に紹介した。

「こちらは、先程浜辺で倒れているところを助けた神生罪人美さん、なんでも彼女は名前以外は記憶がないらしいいので、しばらくの間は家で預かることにしました。神女さんも仲良くしてください」

彼がそう言うと女は、私の前に手を差し出し「だそうよ、よろしく」と言った。私はその手を握り「どうも」と答えた。彼はその様子を、満足そうに見ていた。

その日の夜、彼の父が村人全員を集会場に呼び、あの女にした紹介と同じ紹介をしてくれ、そのおかげで、村人の人たちからは「サミちゃん」なんて愛称までつけられた。だけど、嫌な気分にはならなかった。そのあと、この村の長であり彼の父が、この村の ことについて教えてくれた。この村はこの島にひとつしかない村だということ、島から 出るには、日に3本しかない船を使わないといけないこと、他にも話していたが生活に 必要なのはこれぐらいだった。そのあとも悠々自適な暮らしだった。村の人は、みんな 私に優しくしてくれた。最初の目的も忘れて彼の家で生活していた。幸せだった。これでいいこのままずっと過ごしていたい、そう思っていたある日、私の中にある呪いが動き始めた……

第四章 植え付けられし本能

ある日、私は神女に集会所呼びつけられた。そのあと彼女について来いと言われ、ついて行くとそこは、森の中でも木々が晴れて中央には、小さな小川が流れている。そこに着くと、前を向いていた彼女が私の方に向き直った。顔は笑顔そのものだったが、目は笑っていなかった。

「あなたがこの島この村のどこにいようと勝手だけど、あの人、勇人さんのそばには居ないでくれる。目障りよ。それに、どんなにあの人を振り向かそうとしても無理よ。あの人は私の婚約者。未来を約束されているの、だから、彼の目の前から消えてくれない?話はそれだけ、時間を取らせたわね、それじゃあごきげんよう」

彼女は私の意見なんか聞く気なんかさらさらなく勝手に喋って勝手にどこかに行こうとしていた。彼女の言うことなんか気にはしていない。でも「彼は未来を約束されている」彼女はそう言っていた。それはつまり、彼女との未来。「あの人を振り向かせようとしても無理」そんなつもりはない…前までは、では今は?振り向いて欲しいのかもしれない。でもそれはない。なぜなら彼は彼女の婚約者だから。そう考えると悲しくて、悔しくて、何故かとてもお腹が減る…

私は気がつくと森の入口に立っていた。私はさっき彼女、人救神女と分かれてからの記憶がない。それに、私が森の中に入ったのは太陽がまだ一番上に登った頃、つまりお昼頃だというのに今は、太陽が沈もうとしているつまり夕方だ。私は怖くなりその場から逃げ出し居座らせてもらってる彼の家に帰っていった。

次の日私は、外の異常な騒がしさで目が覚めた。私は起き上がると、窓を開け近くを通りかかった村人に何があったか聞いてみると、人救神女が昨日のお昼頃から帰ってないとのことだ。その話を聞くと私はその村人にお礼を言い窓を閉めまた布団に潜った。私は嫌なことを想像していた。昨日のお昼頃、つまり私と彼女が森に入った時間帯。それに私は、その時の記憶がない。つまり私は彼女に何かあっても何もしていないとは断言できないということだ。でもなぜ記憶がない。彼以外の村人には今までの記憶がないと嘘をついているが、私自身は昨日のこと以外は全て思い出せる。だから怖い。だけど しばらくしたら誰かが昨日のことを聞きにやってくるだろう。それまで気持ちを落ち着 けるために今は寝ておこう…こうして私はまた眠りについた。

僕は、村の何人かの男を引き連れて、森の入口までやってきた。理由は昨日サミさんと神女さんが、ここに来たという情報を聞きつけたからである。その情報を聞いた父は、 話を聞くくらい一人で平気だと言って、家に帰った。そして今森での探索を始めた僕たち、正直なところ、僕も入れてみんな嫌な予感がしていたが、その予感が当たるのに長くはかからなかった。

一時間も立たないかぐらいの時間が経過したとき誰かが何かを見つけたとい知らせが入りその見つけたという場所に行ってみると首から下がない頭、肘までしかない両腕そして膝までしかない両足、顔があったからすぐにわかった、この変死体は救人神女その人だった。普通の人なら吐き気や悲しみがこみ上げるかもしれないが僕は今まで感じたことのない怒りと憎しみを感じた。だがいまここで理性をなくしていけないと自分に言い聞かせ探索している人たちを集め三班に分けて神女さんの両親への報告、動物などに詳しい学者さんを連れてくる、そして念のため神女さんの胴体を探す班に分けることにした。そして僕はこの死体遺棄現場にいることにした。もしかしたら動物ではない、人間の仕業かもしれない、もしそうなら犯人が戻ってくるかもしれないから。それと学者さんから、直接話しを聞きたいからだ。

僕がしばらく待っていると学者さんが来た。早速遺体の傷口を見てもらうと、結果はやはり動物の仕業だとのことだ。それもある程度の知能を持った動物だとわかるらしい。理由を聞くと遺体がその証明らしい、胴体以外の体の部位が残っているのは単純に、その動物の口に合わなかったから。普通の動物は味の好みは、よっぽどじゃない限り気にしないらしい。そして神女さんを食べた動物の大きさは、正確には分からないが人と同じくらいの大きさらしい。だがそんな動物はこの島には生息はしていないとのことだ。僕はその話を聞いて、嫌な想像をしている。今考えればそうだ、あいつはもともと人間ではない。きっとその気になれば人間も食べられるだろう。すると学者さんが心配そうな顔で僕の顔を見て「どうかなさいましたか、何か心当たりでも?」と、聞かれたので僕は「はい…あります…」すると学者さんはすごい形相で、僕の肩を掴み「それはなんですか?」と聞かれたので、

「神生罪人美さんです…実は彼女、元は人間ではなくヒトデらしいのです」

と、それから、彼女に聞いた話をすべて話した。学者さんの周りにいたごく数名の人も唖然としていた。だけど学者さんは顔を真剣な顔に戻し、彼女がどこにいるか聞いてきた。家にいると答えたら、次は周りに誰かいるのかと聞かれたら、僕ははっと気がついた。父さんが危ない!

最終章 残酷な運命

私が寝ていると、誰かに起こされた。起き上がるとそこには、彼の父親が立っていた。私が「おじさん、どうかしましたか?」と聞くと、おじさんは床に座り込み、

「罪人美さんや、あんたはええ人や、人からなんっにも言われんでも働いてくれる。わしらみたいな老人にも優しく接してくれる。わしは正直、神女さんよりもあんたがあいつの嫁になったらと、何度か思ったことがある。…やけど…それはできん。あんただってわかっとるんやろ?あんたが人間やないこと」

私はドキっとした。なぜなら、そのことは私と勇人さんしか、知らないことだから。するとおじさんが、私の思っていることが分かっているかのように、

「あいつからは聞いちょらんよ。聞いちょらんが…なんとなくな…ただの勘じゃ。あんたが何者なんかは知らんが、我ら神殺家は、これからも繁栄せねばならん。スマンが、何者なんかわからん者を、嫁にもらうわけにゃあいかん、やから、あいつのことは諦めてくれんかのう?その代わりこの家にはいくらでもおってくれて構わんから」

するとおじさんは立ち上がり部屋から出ようとしている。そんな時お腹がなった。朝から何もだべていないからだろうか?いいや違うこのお腹の減り方はあの時彼女と別れた時に似ている。いいやそれと全く同じだ。目の前の生き物が食料にしか見えなくなる。ああやはり私は彼女を襲ったのか…でもなぜだろう…私は少し考え込むとすぐに答えがわかった。あの時、私が人間になった時聞こえてきた声が言っていた「本能」それがこれだ…そして私は心に大きなショックを受けるとこの本能が動き出すのか…まあいっかぁとりあえず今はお腹を満たそう…そうして私は彼の父をも食べた。その時私には彼の父の悲鳴は聞こえてなかった…

 僕は急いで家に帰り玄関を開けるとそこには神女さんと同じ食われ方をした父がいた。僕は我慢できずに泣き叫んだ。泣いて、泣いて、泣いた。そしてそのあとに残った感情が、恨みと憎しみだった。俺は心から誓った、絶対にあの女を殺すと。そしてそのあと村人全員に招集をかけ、一人では絶対行動しないように時期村長権限で命じ、ごく少数の班であの女の捜索を続けた。しばらくすると服と口が血まみれの女が、森へ入っていったという情報が入った。俺は、あの女が森へ行くならどこに行くか見当がついていたので、班員全員に俺の銃声がなるまでここにいろと命じ、俺は森へと入っていった。

 私が森を走り森が開けた場所につくと彼が猟銃をこちらに向けていた。

「勇人さん、私ね、あなたとの未来のために人を殺したよ、もう私たちのあいだを脅かすものはないよ、だからそんな物騒なものしまってよ、ね?」

私がそう頼んでも彼は猟銃をしまってくれなかった。それどころかさらに怖い目つきになり、

「僕たちのため?ふざけるな!僕が今、どんな気持ちか貴様に分かるか?いいや、わからない。僕は貴様と出会ってから、一度もお前に恋愛のような感情を持ったことはない。それより僕は、貴様を心の底から憎んでる。母を十年前の大津波で亡くした僕から、彼女を奪い、父をもうばった貴様をな、殺してやる絶対に!」

私はその言葉の意味が理解できなかった、いいや理解しようとしていなかった。だって彼は私に優しく言葉をかけてくれた人、好きでもないのになんで…そう聞くと彼はただの気まぐれだと、答えた。そう言われると私は声を震わせながら聞いた。

「あなたは十年前私を助けなければよかったと思ってますか?」

 すると彼は冷たい眼をしながら、

「ああ、思ってるよ」

と答えた…私はしゃがみ込んで泣いていた。いろんな感情が入り乱れて、頭の中がおかしくなりそうだった。しばらくすると私は立ち上がり、腕を横に大きく広げて言った。

「だったら、殺して…私あなたに迷惑かけたみたいだしそれにあなたも最初からそのつもりだったんでしょ?それに殺されるならあなたがいいな…」

 すると彼は唇から血が出るほど噛み締め、怒声を上げながら猟銃の引き金を引き私の胸を釣ら向いた。すると彼は私に近づいてきた。その時の顔はとても悲しそうな顔だった。そして私は最後の力を振り絞り、

「な、なんて顔を…してるの…あ、あなたはこの村の…英雄なんだから…しっかりしなさい…それと、最後に…私の、望みを叶えてくれて…あ、ありがとう…あ………てる…」

そして私は死んだ。悔い無く死んでいった。

エピローグ

 あれから何十年経っただろうか…七十年ほどか…あの事件のあと私は、島の英雄と讃えられ石碑なんかも建てられた…だけどその数年後、島から徐々に人がいなくなり、十年と経たないうちに神殺島は無人島とかした。

 そして私は今この島に来ている。年に一回来ている。父と母と彼女とあの人の墓参りにだ。よく行くのはあの森の小川をよく見に来ている。理由は、あの時のことは忘れてはいけないような気がするから。それはあの時あの人が、殺された本人に言った言葉「愛している」はっきりとは聞こえなかったけど、なんとなくわかった。その言葉の意図が気になるから、忘れないようにしているのかもしれない。

 私は、立っているのが辛くなり、近くにあった木にもたれかかるように座った。座るとなぜか急に眠くなり、そして私は眠った。いいや、私は死んだのだった。


                                      完

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