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第8話『VS盗賊』

戦闘シーンです。

ちょっと長めです。


村を旅立つ朝、皆に挨拶して最後にベリッツ家の三人とお別れをして村を出た。

別れる直前にマリーに毎晩私が作ったアイテムで一日の話をすることを約束した。

現在はカノンノから一番近く、大きな街である《イグラシア王国》の王都《ミッドベルン》に向かって歩いていた。

雑魚はを無造作に蹴り、殴って先に進む。特に問題なく歩いて森を抜けた所で日が傾いてきたので、今日はそこで野宿することにした。

森で集めた木の枝に魔法で火をつけ、暖を取る。

二つの月と、夜空いっぱいに瞬く星たちの下、私は鞄から紙と道具、いくつかの食材を取り出す。

アリスさんから貰った食事のレシピを元に簡単な夕食を作る。

今日は昼に何も食べてないため、先ほどからずっとお腹が自己主張していた。人がいたら、なかなか恥ずかしいな。

グツグツと野菜と肉を煮込み、美味しそうなにおいが鼻をくすぐる。

焦げないようにかき混ぜていると、ブレスレットについた宝石が淡い光を放ち始めた。それは、マリーが私に電話してきているサインだった。

使い方は簡単で、こちらから掛けるときは、宝石を二回、出るときは一回叩き、相手の名前を言うだけだ。

私は片手でスープを混ぜつつ、宝石を一回叩いた。


「はいはい、こちらネフィリム。今朝ぶりだねマリー」


「こちらマルガです。今朝ぶりねフィー、今大丈夫かしら?」


「問題ないよ、ご飯作ってるだけだから」


「そう、よかったわ。じゃあ早速お話しましょ」


「うんじゃあ、私から話すよ?と言っても、今日はとくに何も面白いことはなかったんだけどね」


そう切り出し、私たちはいつものようにたわいのない話で盛り上がった。

途中からダントンさんとアリスさんが入り、離れていても暖かい気持ちになった。(スープと店で買ったパンは初めての自炊にしては中々おいしかったです)










次の日、朝早くに起きて道具を直し、干し肉を食べて再び歩き出した。

変わったことといえば、魔物がコボルトやウルフ、ゴブリンなどからさらに弱くなったくらいだろうか。(どっちにしても相手にならないが)

草原を歩き、時折データマップ(マップは、行ったことのある場所と、データを買うことで手に入るが、私のはゲーム時代のデータがそのまま残っていた)を出して歩く私は早くも一人旅の面倒さを身に染みて味わっていた。


「はあ、〇ーラとかどこでも〇アがあれば楽なのになぁ。なんでこのゲームはないんだろう・・・・・・」


そう、この元《イストラティス・オンライン》はその手の魔法やアイテムが存在しない。なのですべて徒歩か竜車、船や馬車等を使って移動するのだ。

仲間がいれば、話などして暇をつぶせばいいが、一人だとただ面倒なことこの上ない。


「早く着かないかな」


とぼやいたところで何も変わらないのでひたすら前に足を動かす。

すると微かに悲鳴と魔物の雄叫びが聞こえた。

声は丘の向こうから聞こえたので私はその方向に向かって走った。

丘の上から見ると三体のうち一体の馬が血を流して倒れた馬車、そこを守るようにして中心に円となって戦う屈強そうな鎧を着た男たち、さらにそれを囲うようにして赤いバンダナを巻いたいかにも盗賊です!といった感じの男たちが襲いかかっている。

ざっと様子を見たところ、鎧を着た男たちが押されているようで、何人かが怪我をして倒れている。

私は助けに入ることにして、盗賊たちに向かって走り出した。

走っている途中に魔法の準備にかかる。使う魔法は氷塊をつくりだし、任意のタイミングで爆発し、辺りに氷の矢を降らす氷属性6型複数範囲系魔法の《フリーズプロ―ジョン》だ。


「くらえっ!」


放った氷の塊は敵に当たり何人もの敵を巻き込んで周りの盗賊を貫いた。

私の登場に気づいた盗賊たちは、子供だどいうことに油断したみたいなので、私は遠慮せずにそれを利用させてもらおう。


「ハッ!!」


という掛け声と共に近くのおっさん(体臭が酷い)に足刀蹴りを浴びせた。

おっさんが宙を飛び、地面に落ちるのを呆けて見ているので構わず次の敵に攻撃する。

跳んで男の頭を両手で掴み、膝蹴りで昏倒。次の獲物を設定する。着地と同時に足払いをして前に倒れる男にアッパーを決めて撃破。

ここで盗賊たちは私の脅威に気づいたようで、獲物を手に襲ってきた。

迫りくる剣を右手でいなし、右側からの敵の水月に掌底を放つ。いなした相手を蹴り飛ばし、壁蹴りのようにして空へ跳んだ。

上から見るとどこにどれくらいの人がいるかよく分かる。とりあえず、敵の密集しているところに氷属性8型複数範囲系の《アイシクルレイン》をお見舞いした。

鋭い氷の礫が敵を傷つける。重力に従い、落下する私は体をひねり、近くの盗賊の顔を踏み台にして再び空に舞う。

同じようにまた盗賊を踏み台にして跳び、そうして私は鎧の人たちのいるところへ向かった。

やがて、目的地に着き、着地と同時に後ろ回し蹴りをした。


「ぐはぁ!」


といううめき声と共に吹き飛ぶ男を無視して私は近く一番強そうな鎧を着た男に、


「加勢する」


と簡潔に言った。

近くで見るとその姿はまるで騎士のようで、声をかけた男は堀の深く、整いつつも逞しい顔をしていた。

簡単に言えばイケメン爆ぜろ!

まあ体のいたるところに怪我をしているが。

そんなことを思っていたら、男が盗賊たちを見ながらこちらに話してきた。


「すまない、助かる」


どうやら私が少女であることに甘く見たりせず、何も言わないようだ。(さっきのプチバーサークっぷりを見たら誰でもそうか)

とりあえず怪我を直してやるかと、能力補正のかかった回復魔法で傷をいやす。

次は驚愕にめを丸くしたが、男は、


「度々すまない」


と言って剣を敵を切り倒した。

他の者にも回復してやろうかとみてみたが、今すぐ命に係わるような者はいなかったので、盗賊を倒してからにする。

そこから、騎士たちの反撃が始まった。

私は無双状態で敵を蹴り、殴り、投げ飛ばし、魔法で倒し、時々騎士たちのサポートをして戦闘を続ける。

やがて、盗賊は数人となり、終わりが近づいた。


「さあ、観念して大人しく捕まるか、抵抗して死ぬか選ぶがいい!」


イケメンは剣先を向け、敵にそう言った。


「アニキ、ここは大人しく・・・・・・」


「うるせえ、もうこうなったら、“アレ”を使うぞ!」


「アニキ正気ですか!?ホントに“アレ”を?」


「モタモタすんな!いくぞ!!」


アニキと呼ばれる太眉毛のリーダーっぽい人が懐からビー玉ほどの緑の玉を取り出した。


「なっ!?貴様!!」


イケメンの言葉を無視して、眉毛は緑の球を地面に叩き付ける。すると魔方陣が出てきて、何かが魔方陣をくぐって現れた。

出てきたのは、《フレイムオーガ》というオーガの上位亜種、またの名をイフリートと呼ばれる魔物だった。

名前の通り炎を使う魔物でランクはB級、そこそこ強い奴だ。


「クッ、まさかイフリートが出てくるとは・・・」


「ひゃっはっはっは!どうせ死ぬなら、てめえらも巻き添えよ!!」


うわぁ、典型的な悪者のセリフだな。

悠長に《フレイムオーガ》と眉毛を見る私に、恐怖で呆然としていると勘違いしたイケメンは肩を掴みこう言った。


「君、早く逃げるんだ!ここは私たちが時間を稼ぐ。その間に急いで!!リックとザルツ、コリンはあの方たちとこの少女を連れて街へッ!」


指示を出してるとこ申し訳ないが、これなら逃げるほどではない。さっさと始末しようじゃないか。

私は一歩、また一歩と前に進み、《フレイムオーガ》のに近づく。


「止せ、どこへ行く気だ!」


後ろからかかってきた声を無視して、私は手のひらを魔物に向けて魔法を唱える。


「我が身にかかる火の粉を払え、我に迫る害悪を倒し、貫け《ストーム・ランス》!」


私の周囲で風が渦を作り、三つの竜巻が鋭い槍となって《フレイムオーガ》に襲いかかる。

竜巻の槍(ストーム・ランス)は頭と、胴体を貫いて、吹き飛ばした。何もすることなく、現れた魔物はさらさらと光を放ち、消滅していったのだった。

私はあんぐりと口を開けて呆けている残党に手刀で意識を奪っていった。全員気絶させたら、イケメンの前に引っ張って放る。


「あとは怪我人を治療して、一件落着だな」


パンパンと手を払う私に騎士たちが唖然と見つめていた。


「君は一体・・・・・・」


イケメンはやっとそう口にしたが、はっとして私にもう一度礼を言い、少し待つよう頼むと部下を連れ、馬車の方へ向かった。

扉を開け、中から出てきたのは、美しい銀髪を三つ編みにし、碧い瞳を持つ圧倒的な美貌の十代後半くらいの男子だ。

その男は馬車の方に向き、手を差し伸べてる。そんな仕草がものすごく絵になって、内心イラッときた。

この世から、イケメンは皆居なくなればいいのに・・・・・・。

手を貸してもらって中から出てきたのは、私より少し年上かなという腰ほどの銀髪にウェーブのかかった碧眼の美少女だった。確実に兄弟だろう、ものすごく似ている。

二人は私に近づき兄であろう人が話しかけてきた。


「貴方が、我々を救ってくださったのですね」


「まあ、偶然通りかかった所に見つけたんでな。成り行きだ」


「ふふふ、そうですか。ですが、助けられたのは事実です。どうか命の恩人にお礼をさせてください」


「気にするな。大したことじゃないさ」


「そんなことはないです!あのイフリートを倒して助けていただいたのです。何かお礼をしなくては・・・」


私はそこまで言われたので少し考えて、こういった。


「それなら、私をその馬車で王都まで連れて行ってくれないか?」


その言葉を聞き、超イケメンはほほ笑んで答えた。


「その程度でいいならいくらでも。どの道、我々も向かうところでしたから」


私は怪我人に魔法で癒していき(補正があっても、所詮低級の魔法なので、あちこちに傷痕や直しきれないものがあった)少し休憩をしてから先に進むことになった。


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