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第7話『旅立ちの前日』

更新大幅に遅れすみませんでした


1話分遅れたので連続投稿します。


「ちょっとフィー、村を出るってどういうこと?わたしそんなの聞いてないわ!」


「まあ言っていなかったから、知らないだろうね」


「でもどうしていきなり村を出るんだい?」


「もしかして何かここに居づらい理由でも・・・」


私のいきなりな言葉にも、心配してくれるダントンさんにアリスさん。ホントにいい人たちだなぁ。


「いや、そんなのはないです。けど私もこのセカ───じゃなくて、過ごし方?もわかって、私も一カ所にとどまるんじゃなくて、そろそろ旅に出てもいいかなーと思って」


「もしかしてフィー、記憶が戻ったの?」

ああ、そういえばそんな設定もあったっけ。


「ええっと・・・・・・、少しだけ・・・なんだけど」


それを聞いてみんなは、そうかと何か納得したような表情をした。


「ついでにフィーはどこから来たんだい?ご家族は?」


「遠いところです、それ以上はまだ・・・」


「私達になんで黙っていたの?」


「それは・・・・・・」


思いついたのがつい最近だからとはとても言えないです。


「少し・・・聞いていいかしら」


アリスさんが私にやさしい笑みを向け聞いてきた。


「なんですか?アリスさん」


「あなたがあなたの意志でカノンノ(ここ)を出るというなら私達に止める権利なんてないわ」


その言葉に一瞬マリーが反応したが、そこから動かずにみんなと同じく大人しくアリスさんの声に耳を傾ける。


「けど迷惑かもしれないけど、私達はあなたを本当の娘、姉妹のように思っているの。そんなあなたを心配してこれからどうするか、それだけでも聞いてはダメかしら?」


この人にはかなわないな。さすがマリーのお母さんだ。

私はとりあえず、王都に行ってギルドに入り、仕事をしながらさらに先のことを考えようと思っていることを伝える。


「フィーの実力なら、どんな敵でも特に遅れはとらないだろうが、世の中にはそれだけで解決しないこともたくさんある。人を平気で騙したり、嫉妬や恨みにさらされることもあるかもしれない。それでもいくのかい?」


「うん、決めたことだから」


ダントンさんは、そうか、と呟き最後にこう言った。


「辛くなったり、嫌になったらいつでも戻ってきなさい。・・・・・・ここはフィーの家でもあるのだからね」


そう言って私に、暖かい笑顔を三人は向けてくれた。

私は「はい!」と言って立ち上がり頭を下げる。


「短い間でしたが、大変、お世話になりました!!」


皆は頷き、ダントンさんがパンッ!と手を鳴らした。


「さぁ、さっさと食事を終わらせよう。明日出るなら今夜は村の皆でフィーの送別祭をしよう!」


「またお祭りなの、パパ?ま、私は大賛成だけどね!」


「うふふ、じゃあその前にフィーの旅の準備もしなくちゃね。どうせ、まだ何もしてないんでしょう?」


「うっ、さすがアリスさん・・・・・・。おっしゃる通りです・・・。」


「短い間だったけど、ネフィリムのお母さんなんだから、これくらいわかるわよ」


そう言って私にウインクするアリスさんは、とても可愛らしく女の私でもドキッとした。

あっ、私、元は男だったっけ?最近ほとんど自覚なくて、女として生まれたような気さえしてくる。

・・・・・・悪くはないんだろうけどね。










ということで、私とマリー、アリスさんの三人で現在冒険に使う道具を揃えるために買い物をしているところだ。

回復アイテムは魔法があるのでA級のクエストを受けるならともかく、初めの冒険にはまず使わないので無視。

防具や武器も王都に売っているものの方が性能がいいので買わなくていい。そう考えると何もいらないんじゃないの?と思っていた

が、実際はゲームとは違い、ここでは歩けば疲れるし消耗し、時間がたてばお腹がすく。

野宿の道具に寝る時には寝袋みたいな道具もないと地面で寝て、次の日がつらくなる。

他には普段着る服に日用品etcetc...

と実際は必要なものがたくさんある。しかも男であった時と違って、女は男以上に物が必要なのだ。

正直甘く見てました。二人がいなかったら色々困ったことになってたと真剣に思う。「しかし、これ全部持って冒険はさすがに面倒だなあ」


私が使うことになる大きな鞄を見つつ、呟く私に、マリーは呆れた声で言った。


「これでもかなり減らした方よ。ホントならこの倍は欲しかったんだけどね」


「それで身動きできなくて、魔物に後れを取ったら意味がないもの。仕方ないわ」


苦笑するアリスさんはマリーと一緒に私の服を選別しながらそう諭す。

今見ているのは、空色のシンプルなワンピースで、とても可愛らしいのだが、自分が着ると思うと遠慮したくなる。


「そういえばフィー、あなたあの精霊石や素材みたいにどこかに仕舞えばいいんじゃないの?」


「あー、あれね。実は試してみたんだけど、どうやら入れれるものと、そうでないものがあるみたいで」


今マリーに言った通り、どうやらアイテムボックスに入れることが出来るのは、ゲーム時代に入れていたような武器防具や道具、装備品に素材、食材だけのようなのだ(もっとも、入れている間は劣化などしないため、食材に関しては常に新鮮を保てるのだから、喜ぶ所だろう)。


「へぇ、便利なものだと思ってたけど、不便なところもあるのね」


まあねと言う私にこれは?といくつかの服を見せるマリー。白いブラウスとダークブラウンのスカートや、キャミソールに似たもの、赤と白の可愛らしいセーターもどき、メイド服、赤いベストに紺色のスカートなどだ。

ってあれ?なんかおかしいものが入ってない?

それからさらに時間をかけて悩んだ末、最終的には二人にごり押しで進められたワンピースとブラウスとスカート、私が選んだ動きやすそうな黒い服とズボンを三つ購入した。

ついでにお金は素材をいくつか売って手に入れたもの。

おごりではない、ちゃんと断ったからな。


「よし、必要なものはそろったし、荷物を一度おいて、お祭りに行きましょうか!」


アリスさんの意見に賛成し、一度家に戻った私たちはダントンさんと合流して広場に向かった。まだ夕方であるにもかかわらず、村の皆はすでに集まって昨夜のようになっていた。

到着した瞬間皆に囲まれ揉みくちゃにされ、抱き上げられと休む暇なく村の人に相手にされた。

中には「いっちゃやだ!」と頬をすりすりしたり、胸に抱きかかえられて窒息しかけたりもした。

あぁ、私、明日無事に旅に出れるのだろうか・・・・・・。

旅立つ前から不安が生まれた。

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