第4話『クエストその2』
お待たせしました。
思ってたより時間がかかってしまった・・・
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森に入って何体か倒したときに私に近づく気配と草をかき分ける音がした。すぐに《ディティクト》を使ったが魔物ではないようだ。
私はある可能性に気づき気配を消して音の方へとまわりこむ。
そこにいたのは思った通り、周りを見回しているローブを着たマリーの姿があった。
私はさらに近づきマリーの肩をチョンチョンとたたく。
「うひゃう!?」
ビクリと飛び上がりしりもちをつく。痛かったのかそれとも単純にびっくりしたのか目に涙をためていた。
ど何か悪いことした気になり罪悪感で押しつぶされそう。
「なんだ、フィーだったんだ、驚かせないでよ」
「ごめんごめん、それよりなんで私についてきてるのかな?確かマリーは家でお留守番だったはずだけどなあ」
その言葉にビクリとするマリー、理由は見当ついているが一応聞いてみる。
「だってフィーが心配で」
「カノンノの皆が大丈夫って言ってたし、なによりマリーは私と魔物の戦い見ていたろ?」
「万が一フィーに何かあるかもって思ったら怖かったし、なにより一人で行かせたらフィーがどこか行っちゃうような気がして・・・」
マリー意外と鋭いな。
実は私はクイーンマンティスの討伐が終わったら村を出て町のギルドに行こうと思っていた。
「魔除けの宝石は?」
「置いてきた」
これじゃ一人で帰らせたら魔物に出合い襲われるかもしれない・・・・・・。仕方ない連れて行くか。
「はぁ、私からあまり離れないこと。今日の討伐対象と戦うときは巻き込まれないよう離れてみること。この二つを守れるならついて来ていいよ」
私は出せる最大の譲歩を出した。
「うん!わかった!」
帰ってきたのはあふれるような笑顔と元気な返事だった。
私は一生この笑顔に勝てないような気がした。
私はきっと心配している皆に《コール》の魔法(半径5キロ以内のフルネームを知ってる人と会話する無属性の魔法)を使ってベリッツ夫婦たちに事情を話した。彼らに必ず無事に帰ることを約束してこれを止め、クエストを続けることにした。
魔物が目の前で跡形もなく消えた。
うん、大分魔法の扱いに慣れてきた。規定量の魔力放出や多めに魔法を込めるのは簡単なのだが、私の魔力量が多いのが原因なのか力のセーブが難しい。
簡単に説明すると魔力を20使う魔法があったとする。これを40で使うと2倍とまでは言わないがかなり強化されて使うことが出来る。
しかし威力を弱めるのは簡単ではない。たとえば魔力の使用量を規定以下になると魔法が発動できないのである。(普通は威力を抑えて使用することわまずないので人に聞いてどうこうなるわけもない)
つまり、魔力の使用量和同じでかつ威力を抑えるにはどうすればいいのか?と私は試行錯誤を繰り返していた。
そして見つけた(というか目を付けた)のはイメージだった。
今までは呪文を唱えると普通の魔法に能力強化され、力を込めて発動したら強くなった。その前から魔法を弱めることを意識したら発動しない、その発動するギリギリに力を抜くイメージをした。
その結果、魔法の手加減を可能にした。また、この逆で全身の力を込めて使うと魔力を多く使わなくても強化できることが判明した。
これは嬉しい、一々辺りを荒れ地や焦土にする心配がなくなった。
私は自身の成長(?)を噛みしめつつ、心の中でガッツポーズをとる。そんな時に隣を歩いているマリーから話しかけられた。
「ねえフィー、わたしに魔法をできれば治癒系のを教えてくれない?」
「どうしたのいきなり?何か理由でも?」
「わたし、フィーが来るまでずっと思ってたの魔物と戦う皆が村のために命がけで戦ってくれるのに村長の娘の私は何もできないって。せめて皆の傷を癒してあげられないのかなって」
「別にマリーはまだ小さいんだかだら、そんなに気負うことないんじゃないかな」
「うん、パパやママ、村の皆もおんなじことを言ってたわ。でも私と同じくらいのフィーはたった一人でもキラーマンティスを倒して、しかも皆にその親まで任されるんだもん。それに比べてわたしは何もできないって思うと情けなくて・・・」
私のせいでマリーを悩ましてしまったのか、私はただ私にやさしくしてくれたみんなに恩返しがしたかっただけなのに。
「もちろんフィーが悪いわけじゃないし、あなたのことは本当の姉妹のように思うわ。感謝もしてるし、これが自分が勝手に思ってるだけなのも理解してる。こんな身勝手な子だったなんてとフィーはガッカリしたかもしれないね」
そういって俯いていたマリーは少しの静寂を得て私を力ある瞳を向けて再び言葉を紡ぐ。
「でもわたし、やっぱりフィーみたいに大好きな皆の役に立ちたい!!」
震える腕をスカートを掴み、綺麗な瞳にうっすらと涙をこらえるマリーを見て私は掛ける言葉を決めていた。
「・・・・・・・マリー、私は別に君を嫌ったりしないし、私もマリーを家族だと思ってる。それにこんな得体のしれない子供に居場所を与えて、優しくしてくれたあの村の皆の役に立ちたいと思ってこんなことをしてるんだ。マリーの気持ちだってわかる。だからね私はマリーの優しい願いを聞いてあげるよ。でも私は攻撃専門の魔法ばかりだから、できる限りだけどね」
マリーにウインクをして私は言った。
するとマリーは、ぱぁっと花が満開するように笑顔を向け元気よく返事をした。
やっぱり、マリーには笑顔が一番だ。
まずマリーの現状を知るためにマリーに《アナライズ》をかけた。
マリー・ベリッツ
レベル7、職業なし
ライフ103、魔力156
所属なし
ん?レベル1って言ってなかったっけ?
「ねえマリー、君は最近魔物と戦ったりした?」
一応確認してみる。
「ううん、最近どころか一度も戦ったことなんてないわ」
「だよねえ・・・」
ならどうしてレベルが上がっているのだろう。この世界に不〇議なあめなんてものはないし、経験値はパーティーを組んで、戦闘時に活躍した分しかもらえないしなあ。
・・・・・・んん?パーティー?
そうだ、あるじゃないか、最初だけの方法が!
このゲームは最初に自分の住む領土を決め転送される。そのためそこが高難易度の場所なら初心者が先に進めず死ぬばかりなので、最初の低レベル時はパーテイーを組みすぐ死なないようにレベルを上げるためにパーティーに入って活躍しなくても微量の経験値がもらえる。
これなら高レベルな魔物がいても死なずに経験値が手に入るし、強い魔物なら少なくともレベルアップもできる!
まあゲーム通りならこれでレベル上げをするのは15までが限界だし、(ずっと楽ができないようにシステムガードが施されている)各領土に初心者専用の場所があるのはあるんだが・・・。
細かいことは気にしないおこう。理由もはっきりしたしな。
それよりマリーは魔力が高めだな。生粋の後衛職タイプのようだ。
「マリーは回復と基礎の戦闘魔法を教えよう、しっかり聞くようにね」
そういって私はマリーのまねをして楽しそうに笑った。