第3話『クエスト』
この世界の生活になれ始めたある夜、私は急にトイレに行きたくなりベットを抜け出した。
いまだにこれだけはなれない用を足し部屋に戻ろうとしたら会議などに使われる大部屋から明かりが漏れていた。
何だろうと思いそっと覗いてみるとダントンさんの他に男の人が何人もいて話し合いをしていた。
「それで間違いないのか」
「ええ、木にあった傷跡やキラーマンティスの数からしてクイーンマンティスがいるでしょう。しかもウルフやウッドベアの死体跡の数からして産卵前だと思います」
「そうか、想定していた最悪の結果というわけか」
「どうしましょうか、やはり町のギルドに頼みますか?」
「しかし金額もあまり用意できませんし、なにより時間が間に合うかどうか・・・」
どうやらクエストをギルドに出すかどうかで話しあってるらしい。
私は扉を開けて中に入った。
「フィーちゃん!?どうしたんだいこんな時間に」
道具屋の店主が私に気づき話しかけてきた。
「フィー、もう遅い時間だら部屋に戻って眠りなさい」
ダントンさんが言い、アリスさんが私を部屋に連れ戻そうとしたので私は皆に聞こえるように大きな声で言った。
「私がクイーンマンティスを倒す!」
皆はその言葉に唖然としすぐに否定した。
「だめだ、クイーンマンティスはC級の強力なモンスターなんだ。それをフィーのような小さな女の子一人に任せるなんてとんでもない!」
「フィー、私たちはあなたのことを本当の娘みたいに思っているの。そんな危険なことさせられないわ!」
ベリッツ夫婦は本気で心配してくれているようで、村の人もだめだ危険だと真剣に心配してくれる。本当にいい人たちだ。
「大丈夫、私は魔導士だから」
その言葉にみな驚きを隠せないでいる。
無理もない、魔導士は魔法使いの上位職である。この世界で魔導士になろうとしたら少なくとも20年以上は修行しないといけない。それを10歳くらいの少女が取得しているというのは本来ありえないことなのだ。
これがゲームプレイヤーと生身の人間の違いである。
ついでに言ってはいないが魔法技師は魔導士と錬金術師を持ち、高レベルにならないとできない魔導士より高い高位職である。
「い、いや駄目だ。いくら魔導士といえど前衛がいなければ危険すぎる」
それでもダントンさんは私の身を按じてくれる。
私はさらにこう続けた。
「心配してくれるのはうれしい、けど私は皆の役に立ちたいんだ。どうしても気になるならまずキラーマンティスの討伐をするからついてきて。もちろん、魔物退治は私一人でするから怪我はさせない」
ここまで言ったら誰も何も言えなくなり、村の中で強い人を数名同行することで納得してもらった。
村の会議はこれで終わり、次の日は装備などを整えるため出発は二日後となった。
次の日何の準備もしていない私を見たダントンさんが話しかけてきて、必要ないということと装備を買う金がないからいいと言ったらお金をくれて、これで装備を買ってきなさいと言われた。
ホントに申し訳ない。お金は明日の魔物から素材を回収して売り、そこから返そう。
私はそのお金で防具を買うことにした。
ぶっちゃけ武器いらん。近距離戦でもSTLが高いので向こうで昔やってた体術で戦えばいい。アイテムも今は治癒魔法が使えるし問題ない。
そう思い私は武具屋に足を運んで一番いい装備(革鎧とマント130ユノ)を買った。ついでに職業により装備出来ない者とかは基本ない。
昼頃にマリーが私に魔物退治に行くことがばれた。本人はついていくと言い張り私は駄目だろうなと思ったが念のためにダントンさんに聞くとやはり止められた。
不機嫌なマリーをなだめるのに私は午後の時間をすべて使った。そうしていつも通りマリーと一緒に私の部屋で眠り終わった。
次の日―――
私とそのほか大人7人は私と一緒に森を歩いていた。
村の精鋭は《アナライズ》で調べた結果10~18とものすごく低かった。
私は念のため補助魔法をいくつか皆にかけ死ににくくして《ディティクト》という索敵魔法を使いキラーマンティスを探す。
3分ほど先の場所に4体の反応があったのでその方向へ向かった。
「うわ!出た!」
と後ろの一人が言ったので魔物が気づいてしまった。ま、特に問題ない。
私は最初が肝心だと思い、一気にけりをつけることにした。
「大気に存在する水たちよ、我が命に従い我に仇名す敵を貫け《アイスジャベリン》!!」
前回も使った氷魔法だ。今回は魔力を多めに込めると通常より大きな槍が生まれ、向かってくる4体のキラーマンティスを貫き凍らせた。
本来は一部分だけを凍らして動きを鈍らせる付属効果は私のステータス補正により先に命を奪う。
魔物からアイテムを手に入れるには自分ではぎ取らなくてはいけないのかと嫌々魔物だった物にふれると、魔物だったもの(面倒だから以降元魔物という)が消えた。
元魔物がどこにいったのか周りを見回すとふと何かを感じた。
なんだか分からないがステータスなどを調べるとアイテムボックスに《巨大な鎌》があった。
どうやら元魔物にふれることでアイテムを手に入れることがでくるようだ。自分で解体とかグロすぎて私には無理だと思っていたのでこれは本当によかった。
そうして私は半透明のウィンドウを閉じる。戦闘は一瞬で終わり、唖然とする皆が後ろで私を見ていた。
「この程度ならまだ余裕があるな」
そう独り言を話していると大人たちは意識を取り戻し私のそばに来た。
「すげーなフィーちゃん!圧倒的じゃないか」
「ホントすごいよネフィリムちゃん!こんな実力があるなら確かに僕たちなんていらなかったかもね!」
次々と私を褒める言葉をかけてくる皆をなだめ、私は次の獲物を探すため再び《ディティクト》を使った。
「これで、終わりだ!」
懐に入って掌底を放ち、吹き飛ぶ魔物の頭を掴み地面に叩き付け蹴りを放ってとどめを刺す。
日が沈み始め、あたりが暗くなり始めた。
「そろそろ暗くなってきた。魔物も結構倒したし、村に帰ろうか」
「これだけ証拠があれば皆も納得するだろうし」
皆もうなずき素材を持って村に戻った。
村の皆は初めは信じなかったが、素材という証拠を見せて納得した。ダントンさんとアリスさんはまず無事に帰ってきたということに喜んで抱きしめられた。嬉しくて、恥ずかしくてこそばゆかった。
素材を売りお金を渋るダントンさんに返した。
明日は、クイーンマンティスを倒すこととなり私一人で行く。一日の汚れを落とすため風呂に浸かりゆっくり寝るとしよう。
私がのんびり浸かっていると風呂にまたマリーとアリスさんの二人が入ってきた。前は男としてドキドキしたが今はいろいろ悲しくなってきた。
もしかしたら中身が器に馴染んできたのかもしれない。
スタイルのいいアリスさんとか見たら本来は嬉しかったり何かしらあるはずなのに自分の胸を見て沈んだ気持ちになる。
その夜、私とマリーはお互いを慰めあいながら夜を過ごした。
そして翌日、私は村の皆に見送りされて魔物退治に行くところだ。
「はいフィー、これお弁当ね」
「忘れ物はないか?ポーションあるか?」
「家に帰るまでが冒険だぞー」
「お土産の素材楽しみにしてるからな~」
なんか遠足の見送りみたいなノリになってた。私も同じ気もちだし別にいいんだけどね。
あと武具屋のおじさんよ、役に立ちたいとは言ったがさり気にたかるな。
ふとあたりを見て思ったが今朝からマリーの姿を見てない。もしかしてまだ寝ているんだろうか?
どうせすぐ戻ってくるし別にいいかと自己完結して森の中に入っていく。
さあて、害虫駆除と行きますかね。
11月20日微修正しました。