表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/16

第2話『平和な日常』

突然現れた魔物を難なく倒した私は前にかかった黒髪をさっと払う。

そこに立っているのは小さな少女二人だけだった。


「マリー怪我はない?」


「う、うん大丈夫・・・」

 

「そう、ならよかった」


それにしてもここはG級が平均なはずなんだが、と手を顎に当て思案してているとマリーがキラキラとした瞳を向けてきた。


「フィーすごいわ!今の何?まるで王国直属の魔法騎士団みたい、いえもしかしたらそれ以上かも」


「そう?」


私はあまり気にせず簡潔に答えた。


「わたし魔法にはそんなに詳しくないのだけど、今のが凄いっていうのは分かる」


「なんだか、そんなに褒められると照れるな」


そういって頬をかくと


グゥゥゥゥ―――――


と私のお腹から情けない大きな音が出た。

さっきの活躍が台無しだ。

顔を赤くし恥ずかしさで俯く私を見てクスリと笑うマリーは言った。


「魔物もフィーが倒してくれたし、早くわたしのうちにいこ!おいしいものをごちそうするわ」


そういって私たちは再び歩き出した。






この後はとくに魔物にだ会うことなく無事村につくことが出来た。


「ここが私の住む村のカノンノよ」


そういって指をさしたのは主に農作物を育て生活している小さな村のカノンノだった。

私も初めのころはお世話になったものだ。懐かしいな。

マリーはその中でも一番大きな家、つまり村長の娘だったらしい。ついでにゲームでは存在していなかった。100年以上前だから当然だが。


「娘を助けてくれてありがとう、お嬢ちゃん」


「いや、私も助けてもらったんだ。お互い様というやつです」


そういって私と話ているのは、この村の村長でありマリーの父親ダントンさんだった。

最初は私がキラーマンティスを倒したというと信じなかったが、怪我もなく無事だったので私がうまくして逃げたのだろう考えているようだ。別に訂正する必要もないのでそのままにしておく。

あと、マリーは無断で森に行ったらしくしっかりと説教を受けていた。

現在はお礼として豪華な昼食を楽しんでいた。空腹だったこともあり、遠慮なくがつがつと食べてしまった。


「マリーの母さんの料理はどれもうまいな」


「でしょ?ママの料理は宮廷料理にも負けないと思うの」


「あらあら、お世辞を言っても何も出ないわよ?」


宮廷料理を食べたことないからわからないがものすごくうまいのは確かだ。

もぐもぐと食べる私に村長のダントンさんが話しかけてきた。


「はっはっは!いい食べっぷりだネフィリムちゃん。子供は元気が一番だ!しっかり食べなさい」


「ありがとうございます。あとフィーと呼んで構わないですよ」


食事中にいろんなことを聞かれたが、記憶がないということを使いあやふやに誤魔化しながら答えた。


「そうか、大変だったね。フィーさえよければここに住むといい。自分の家だと思ってゆっくりとな」


「いい考えだわパパ。フィーパパもこう言っているし一緒に住みましょ。わたしもっとフィーのこと知りたい」


「ええ娘がもう一人できたものね、私も賛成よ。もちろんフィーちゃんの意見を尊重するけれども」


いい家族だな。マリーの母さんのアリスさんもいい人だしこの世界に慣れるまですこしお世話になろうかな。


「ありがとうございます。ではお世話になります」


私は立ち上がり皆に向かって頭を下げた。

こうして私はこの村で生活が始まった。









食後はマリーに町を案内してもらった。


「ここが道具屋さんであそこが武具屋さん、あっちは食材屋さんで・・・」


位置は大体ゲームと変わりないようだが民家が増えていた。これも当たり前かと考えつつマリーの案内に耳を傾ける。

それと歩いて思ったが、この村はどうやら子供が少ないようだ。

日が暮れだしてきたので、家に戻り夕食を食べて部屋に案内された。

きれいに掃除されており、家具は最低限そろっているシンプルなものだった。

一日いろいろあったためか着替えて(服は全てマリーのものを譲ってもらったが、着るのにかなり抵抗があり、特に下着はもうノーパンでいいんじゃないかと思った)ベットに入るとすぐに強烈な睡魔が押し寄せ抵抗せずそのまま身をゆだねた。

夢に見た異世界で明日は何をしようかと胸をたかならせながら。








翌日、私はどんな本があるのか見たら文字がわからないことに気づきマリーに文字を教わることにした。


「これが”い”でこれが”す”よ」


「ふむふむ、じゃあこれで”私は今、掃除をしようと思います”になるのか・・・・」


「そうよ、さすがフィーね!」


向こう(地球)では英語もろくにわからなかったがここでは知識がどんどん入ってくる。知力補正のおかげかもしれない。

この一日で私は文字の読み書きができるようになった。

これでギルドへ行ってもひとまず問題はないだろう。






「ねえフィー、あなた昨日お風呂に入った?」


そういわれたのは夕食が終わった後だった。


「あー、昨日は疲れてたのかベットに入ってすぐ・・・」


「だめよ、女の子がそんなこと!フィーは可愛いんだから特に気にしないといけないわ!」


そういったがすぐにマリーは私を風呂につれて行く。

服を強引に脱がされ風呂に浸かるらせた。少しすると布の擦れる音が聞こえマリーが入ってきた。もちろん風呂なので素っ裸である。


「えっ!?ちょ!!なんでマリーまで入るんだ!」


「だっていっしょ入った方が楽しいし、どうせお風呂でもわからないことがあるんでしょ?」


いやいや、風呂くらいわかるから!後なんでそんな躊躇しないの?あっ私が今、女だからか。

罪悪感を感じつつ風呂に入る私とマリーは髪や体を洗い次に私の長い黒髪を洗った。

人に洗ってもらうなんて子供の時以来だ。それより恥ずかしすぎる。


「フィーって綺麗な黒髪をしているね」


「そうかな、私はマリーみたいな髪の方が素敵だと思うけど」


「えへへ、ありがと」


そう言ってほほ笑むマリーはまるで天使のようだ。

髪の泡を流し、体も現れそうになったので、自分でするといって洗っていたらアリスさんまで入ってきた。

勘弁してほしい・・・・・・。







風呂から上がり、髪を拭いていたが途中で面倒になり温風魔法で済ませて(毎回洗うのが面倒だから髪を切ろうとしたら二人に止められた)部屋に戻った。

マリーが部屋に来て一緒に寝ることになった。

お互いのことを話し合って気づけば私たちは眠っていた。

朝おこしに来てくれたアリスさんはまるで本当の姉妹のようだといっていた。

元男にそれはどうなんだろうかと思いつつ私はそんな風に数日を過ごし、村の人たちとも仲良くなった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ