12話『出会い』
なんだか月一になってしまってます(T_T)
しかも短くて話が進まないとか、駄目すぎですね(^^;)
――――side イリナ
私はイリナ・リジル、中級区で親が宿屋をしています。私はそこの一人娘で、毎日その手伝いをする以外、これといった特徴のないごく普通の女の子です。
そんな私がなぜ、大勢の女の子たちと空を飛んでいるのでしょうか。
始まりは十数日前の朝のことです。
今日は久しぶりにお父さんからお休みをもらったので、新しい服を買うために出かけていたら、お婆さんが困っているのを見つけました。
私は話を聞き、どうやら道に迷ったそうなので案内をしてあげることにしたのです。
場所は下級区の孤児院らしく、道はそこまで難しくありません。お婆さんをその孤児院にに送ってあげ、帰っていたところでした。
「キャァ―――――!!!」
という女の子の悲鳴のようなものが聞こえました。
私は嫌な予感感じつつも、私の体が自然に声のもとへと向かわせたのです。
その方向は下級区の中でも治安の悪い場所、通称《無法地区》という場所なのですが、そのすぐそばで小さな女の子が、大きな男の人数人に捕まっていました。
「ちっ、おいコラ大人しくしろ!」
「ムグッ!ンムゥム!!」
女の子は口に布をくわえさせられ、声を出せなくされています。
「いいからさっさと連れて行こうぜ、ここだと他の奴に見つかる可能性がある」
「だなっ!」
私はその光景にいてもたってもいられず、彼らの前に出たのです。
「何をしているんですか!今すぐその子を解放して下さい!!」
我ながら冷静に考えると、後先考えない無謀なことだと反省です。しかし、黙って見過ごすなどできなかったのだから仕方ありません。
男たちは一瞬私の声に驚きましたが、私がただの小娘だと知ると下品な笑みを私に向けてきます。
「へっへっへ、嬢ちゃんマズいモン見ちまったなぁ。これを見られたからにゃあ、ほっとくことができねぇんだわ」
そう言って私を女の子と同じように捕らえようとしてきました。
私は抵抗し、無理ならばせめて女の子だけでも助けなくてはと暴れたのですが、結局なにもできないまま彼らに捕まってしまい、暴れていた私を大人しくさせるために気絶させたのです。
気がついたのは牢屋の中で、鎖で繋がれてました。
助けようとした女の子は同じ場所に入れられて、他にも私たちのような子がいることを私は見ました。
時々来る監視の男のなめ回すような嫌らしい視線、出される不味くて少ない食事、泣き声が五月蠅いという男の怒鳴り声、知らない身なりのいい男が来て女の子を無理矢理連れて行き、帰ってこなかった女の子たちを見て私も誰かに売られるのかと恐怖に耐えながら目の前の小さな女の子を慰めることしかできない日々が何日過ぎたことでしょう。そしてまた新しく誘拐されたのか、小さな女の子が連れてこられました。
黒髪と褐色の肌が綺麗な女の子は眠っているのか、かつぎ込まれて奥の牢屋に入れられました。
目が覚めたとき、悲しみや不安そんな気持ちで泣いてしまうのだろう。
しかし私は何もできない、そんな悔しさに歯がゆい思いをしていくらかの時がたちました。
奥でガサガサと小さな物音が聞こえ、どうやら目が覚めたみたいです。
小さな声が聞こえましたが、泣き声などは聞こえません。とても強い子だと思いました。
そしてパキンッという音、さらに少ししてガンッという音が聞こえました。
その音にビクッとした女の子が再び小さく泣き出しました。
私は
「大丈夫だよ」
といって優しく抱きしめます。するとペタペタと足音が聞こえ、牢屋の前に先ほどの子が立っていました。
私はなぜこの子は外にいるのか不思議で声をかけようとします。
「あの、あなた「私はネフィリム・エヴァンシス。今から君たちを家族の元へ連れて行ってあげよう」」
しかし私の声に被さるようにその子は私や周りの女の子に話しかけてきました。
女の子――もとい、ネフィリムちゃんが言ったことを理解できず顔をしかめた私に向かって話しかけてきました。
「危ないから奥へ」
力のある声に促され私は牢の隅に二人で座ります。
それを確認しネフィリムちゃんは手を真っ直ぐにして一言と共に腕を振りました。
「《アクアエッジ》」
すると手から水が現れ、手の振った後に軌跡を残して水が飛び牢屋を切り裂きました。
そう、彼女は魔法を使ったのです!しかもこんなすごい威力で詠唱をしていませんでした。
その光景に目を丸くする私たちを気にせず近づき、鎖に向かって別の魔法を唱えます。
「《ウィンドスラッシャー》」
すると私と女の子の鎖が綺麗に切り落とされてなくなりました。私たちに怪我の一つもなく、です。
同じようにして他の子たちを助けます。
一瞬で私たちを縛り付けていたモノから解放してくれたこの子に明らかに年上の私ですが、この子に頼れば、大丈夫と情けないですが思いました。
そこで、私たちのように牢屋にいた私と同じ年くらいの人がネフィリムちゃんに話しかけました。
「助けてくれて、ありがとう。けどいったいここからどうやって逃げ出すの?おそらく――いえ、絶対逃げている間にあの男たちに出会うわよ?」
確かに、と私も思いました。この人数です、嫌でもまとまって動けば目立つことでしょう。
しかしその言葉を待ってたというように彼女は笑います。
「大丈夫、私に全部任せてくれ」
私たちを集めて薄桃色の半球幕で覆い、そして天井を見つめながら少し歩いて止まったかと思うと次に、手を斜め上にかざします。
「《ホーリー・ランス》!!」
その手のひらに私の頭くらいの光の玉が生まれ、それは空に向かって天井を貫きました。
何もかもが思考を遙かに越える次元で呆然とします。
薄桃色の幕が消え、足下に風を感じたと思ったら、次の瞬間には私たちはさっきできた穴を風に乗って飛んでいました。
外の光に眩しさに目を細めながら、私は家に帰れるという気持ちと、空を飛んでいるという夢のような現実に不謹慎かもと思いながらも心を高鳴らせていました。