第10話『王様に謁見とかメンドクサイよね』
久々の投稿。
全然先の話が思いつかないですorz
エドたちと共に移動して二日目の昼、ようやく私たちは目的地のミッドベルンに着くことが出来た。
その間に私は街での計画をたてていた。まずはドラコさんから教えてもらったオススメの宿で部屋を取り、ギルドに登録して生活費を稼ぎつつ、ゲームや漫画のような面白展開でも探そうかなとか思っていた。
・・・・・・思っていたんだけどなぁ。
私はこの国の国王様の前にいるのだ。あー、時間かかりそうだ。
いやまあ確かに異世界に来て王様謁見は大体必須イベントですけど、私が求めていたのは、もっとこう、アクティブだけど、町の人とのほほんみたいな7割冒険残りほのぼの〜みたいなのなんだよ!
勇者っぽいのはNGなのです。なぜなら自由に遊べそうなイメージがないから。
んっ?そんな贅沢なこと言うなって声が聞こえる気がしたけど、あまり気にしないでおこう、うん。
「君がエドやリリーを救ってくれたネフィリム・エヴァンシスだね?」
「あ、うん。そうだけど?」
ってしまった!考え事をしてて無意識で返事をしちゃった!!無礼だとか言われて、罰を与えられでもしたらどうしよう。
「はっはっは。なかなか気の座った御嬢さんだな。王にため口とは」
なんか笑われた。隣ではエドやリリーも笑いをこらえるために俯いていた。
いやあんたら、ちょっと笑い声漏れてるから。
よく考えたら、あのエドたちの父親だし、私はこんなキャラなんだからもう考えるのをやめよう。
そうして諦めて、開き直ることにした。
「で、私を呼んでどうしたいんだ?」
「くくっ、いやなに、王として、そして一人の父として一言礼をと思ってな」
「じゃ、今感謝の言葉はもらったから、帰ってもいい?」
「いや待て、もう一つ、用件がある」
うわぁ、なんかやけにメンドそうなにおいがプンプンするわ。
そこで私は、自分の直感(今なら女の勘ともいうのかな?)を信じてこう答えることにした。
「よし、断る!!」
「ウム、実は・・・・・・って、なんじゃとーーーーーーー!!!!」
「「っぷ、あっはははははははは!!」」
そこで、限界が来たのか、王様の子供たちは、声を上げて笑った。
うむ、なんかウケたんでよかったよかった。
だが少しふざけすぎて、ドラコさんに怒られた。
少し王子たちが落ち着いてから、話を聞くことにした。
「実は・・・・・・」
要約すると、この国は大きいが、力がそれに伴っていない。また魔法使いの少ないのにも頭を悩ませている。そこで、怪物を瞬殺するほどの力を持つ私に、騎士団の鍛錬と、魔法の先生をしてほしい。以上。
やっぱり面倒だった。
「やっぱり断る」
「金が欲しいなら、国からの頼みだ、そこそこの値を出せるぞ?」
「私は金という俗物なモノより、私の心を動かす、ワクワクするようななことがしたい。エドたちを助けたのも、何か面白そうなことがありそうだったからだし、だからそんな退屈そうなことは嫌だ」
「どうしても無理かのぅ」
「無理だな」
私の答えにいくらか考察し、王様は私に言った。
「そうか、いや時間を取らせた。申し訳ない。だがこちらも余裕がないのだ。もし、お主の気が変わったらでよい。その時はここにきておくれ」
何とも変わった国王様である。
こんな小さくて、正体も分からない私にここまで言うなんて。
私は、エドやドラコさん達に送ってもらった礼を言って、国王に別れの挨拶をし、城を後にした。
時刻は思っていたよりは早く終わったようで、まだ時間帯にして二時半を過ぎたといったところだろうか。
街は大勢の人と活気であふれかえり、自然と足取りを軽くする。
私はまず、寝る場所を確保するために件の宿屋に向かう。
場所は店のおっちゃんや買い物をしているおばちゃんに聞きながら先に進む。
もちろん、同時に情報収集も行う。といっても、服や道具など生活や冒険に必要なモノがある場所や簡単な国の状況を聞くだけだが。
話を聞くと、この国は比較的さっきの王様の善政のおかげで、かなり平和かつ過ごしやすい国だが、国が大きければそれだけ闇もある。
その中、少し気になる話を聞いた。
この国では人の権利を持たされず、不当に扱われるような、いわゆる『奴隷』は禁止されている。
もちろん、見つかれば即お縄を頂戴することになっているが、しかし、その目をかいくぐり、商品として他国に売りさばくなどする奴隷商も存在するとかしないとか。
また、最近、下級区(この街は貴族区、中級区、下級区が存在し、下級区は簡単に言えば貧乏な人が住む地域だ。これも私がゲームプレイ中にはなかったものだ。)で、人の失踪が増えているらしい。
この話はお互い、関係ないのだろうか?
っと、情報整理に集中しすぎてたようだ。
気づけば私は大通りを抜けており、人がかなり減った場所を歩いていた。道も細くなり、足場も悪く、周りの雰囲気も幾分重い気がする。
私は道を間違えただろうと思い、来た道を戻ろうとしたら、汚れたボロいマントの男に話しかけられた。
「嬢ちゃん、なにをしてる?パパやママとはぐれたのかい」
「?父や母はここにはいないが?」
私は返事をする。
すると、それを聞いた男が不気味に ったような気がした。
ねっとりとした背筋が冷えるような嫌な感じた。
「迷子かな、おじさんが送ってやろうじゃないか」
この時点で何かありそう、胡散臭さがハンパない。
「大丈夫だ、来た道を戻ればいい」
関わらない方が良さそうと判断した私は相手の誘いをしっかりと断る。
「しかしここは下級区でもかなり道が入り組んでて、地元の人間以外は迷うのも当たり前のような場所だ。時間を無駄に浪費するくらいなら素直に聞いた方がいい」
「・・・・・・何が目的?」
「へっへっへ、なに、お嬢ちゃんのパパやママから、ちょいと道案内の駄賃をもらうだけさ」
私は男の話に耳を少し傾ける。
実は考え事をしながら歩いていたせいか、道の記憶が少し、自信がない。
「・・・・・・いくらだ・・・・」
「えっ、なんか言ったかいお嬢ちゃん?」
私の声が聞き取れなかったのか、聞き返してきた男。
「金は私が持っている。私が払うからその値段を聞いているんだ」
その言葉に眉をしかめたが、男は20ユノといったので、お金を見せた。そして男が確認した後に懐に仕舞う。
「これでいいだろう。金はここをちゃんと出たら渡す、途中で逃げたりしたら報酬は無しだからな」
「へへ、わかったよお嬢ちゃん。ンじゃあ案内してやるから、ついてきな」
そう言って、私の前を歩きだす男に私は、大人しくついていった。
何かされそうになったら、チートクラスの力で何とかなると思いながら・・・・・・。