プロローグ
初投稿
意味不明な部分などあるかもしれません。
それでも楽しんでいただけたらと思います
感想などもお待ちしています。
暇だ・・・・・・。
朝起きて学校へ行き将来役に立つのかわからん勉強をして帰宅。ネットゲームやマンガで時間をつぶし、疲れたら眠ってまた学校へ行く。
代わり映えのしない退屈な毎日に辟易していた俺は刺激を求めていた。
別に超展開を求めているわけではない。
いや出会えるならその方がいいが、無理とわかっているのでせめて今の状況から抜け出したいと思う。
今日もいつも道理帰りへの道を歩いているところだった。
公園のそばの道を歩いていたら、子供が泥だらけで前を過ぎていった。
俺にもあんな時があったな、あの年くらいに戻って人生やり直せねぇかな、とまだまだ若いくせにと自虐しながら考えていた。少年A(一人しかいないが一応仮名)はきちんとしつけられているようで信号が青になるのを確認して渡っている。
全く感心だな、俺はそんなの守ってなかったが!
すると横からトラックが走ってきた。
トラックは信号のそばへ近づいているのにスピードを落とす気配がない。
・・・あれっ?これやばくね?
胸騒ぎを感じた俺は鞄を放り捨て、少年Aへと走る。
案の定トラックの運転手は寝てるみたいで、このままだと少年Aは確実に死んでしまう。
「クソッ!!」
目の前で人─しかもそれが無実の少年─が死なれてはものすごく寝覚めが悪い。
道ばたで呆然としている少年Aにトラックより速く接近したが抱えて逃げるには間に合いそうもない。
俺は手を突きだし少年Aを車線の外へ押し出す。
つか、これ確実に俺死んだな。
一人残った俺の目の前のトラックをみて過去の記憶が流れてくる。
毎日ダラダラと無意味に過ごし、遊んだ記憶で全くまともなこと思い出せん。
おぉう、これが走馬燈って奴か。なんか感激だ、つか余裕あるなぁ俺。
そして次の瞬間、全身にものすごい衝撃を受け俺の体は紙のように吹き飛ばされた。
地面にたたきつけられ再び衝撃が走る。
ウワァ、すっげー痛い。
体が燃えるように暑いくせに体温がなくなる感じがするっていう矛盾だ。
俺の人生微妙だったが、最後に良いことしてレア?な体験をしたんだ、上々ではなかろうかと思うことにしよう。
そういえばあの少年は大丈夫だろうか?
チッ、周りが騒がしい。後なんか眠たくなってきた。
体の熱が殆ど無くなり今じゃ指先一つ動かせなかった。
・・あぁ・・・もぅ・・・いいや・・・・・・おや・・す・・・・。
風が頬をなでる、自然のいい匂いが鼻をくすぐる。
田舎のばあちゃんの近くの山で作った秘密基地で寝たときもこんな感じだったな。
そんなどうでもいいことを考えもう少しこの感覚を味わおうとする。
そんなとき、かわいらしい声が聞こえた。
「ねぇ、・・・きて」
きれいなソプラノを響かせつつ、体を揺らしてくる。
「ねぇ、おきてってば」
誰だと思い、瞼を開けるとそこには俺の顔をのぞき込む美少女がいた。
髪は細く作り物じゃないかと思う腰ほどまである滑らかな金髪、目はルビーのような色をしておりクリッと愛らしく、形の整った綺麗な眉は心配そうにしている。
年はおそらく9か10といったところか。
大変将来有望そうな子だ。
声の主はこの子だろう、とても合っている。
「よかったぁ、目が覚めたのね。しんぱいしたのよ?」
俺は体を持ち上げ、座って話しかけることにした。
・・・あれ?視線が同じってどういうことだ?
確か俺、175は身長あったはずなんだが。
てか俺って死んだんじゃないのか?
生きてても病院にいるはずだろ。
まぁ俺が人類が滅亡するまで寝ており、周りに樹木が急成長したと言うことがなければだが・・・それはまずないだろう。・・・ないよな?
俺の周りは幼女以外見渡す限りの木、木、木とまるで森の中にいるようだ。
「ここは・・・・」
鈴のように澄んだ声が自分の口から漏れた。
アレェ、なんで俺の口からこんな高い声がでるの!?
「ここは《ラナラの森》の入り口のそば。あなたはここで倒れてたの」
天国じゃないのか。それより《ラナラの森》っていや俺のやってたVRMMOに出てくる初心者の場所と同じ名前じゃないか。
「少し聞きたいんだが、この大陸ってもしかして・・・」
「?ノートラムだけど」
やっぱり!てことはやっぱり・・・いやいや待て待て、冷静に考えて願っていたゲームの中に入ったって信じるより先に夢やドッキリの可能性を疑うべきだよな。
まず自分の頬を思いっきり引っ張る。うん超痛い、痛くて涙がでそう。
これで、可能性一つ消えた。
次はドッキリだが、カメラみあたらねぇ。
しかもこんな豪華なドッキリされるような立派な存在じゃないし、・・・本人に聞くか。
「これはドッキリ?」
「?ドッ、えっ?」
マジで分からんって顔してる。これが演技なら彼女は天才だな。
とりあえず可能性低いとみていいか。
「いや、なんでもない。あと鏡とか持っていたら少し貸してほしいんだけど」
少女は鞄から小さめの鏡を渡してくれた。ちょっとおしゃれな感じだった。
それを使い俺はやっと自分の容姿をみた。肌は褐色で黒い髪が腰まで伸び、全体的に体が小さい。少しつり目で気の強そうな印象を与えるエメラルドグリーンの瞳の見た目10歳ほどの美少女。
これはまさに俺がVRMMOの《イストラティス・オンライン》で使っていたアバターだ。
「ありがとう、助かった」
「いえいえ、どういたしまして」
少女は曇りのない笑顔を見せてくれた。
見た目が同じ年くらいだから少しの奇抜な行動は大丈夫みたいだった。
「わたしはマルタ・ベリッツ。あなたは?」
「あか──じゃなくて、ネフィリム。ネフィリム・エヴァンシスっていうんだ」
思わず、明石圭一という本名、を言うところだった。
この世界に日本の名前とかありえないだろう。
「ネフィリムかぁ、じゃあフィーって呼んででいい・・・かな?」
「別にかまわない、好きに呼んでくれ」
と自己紹介をする。マルタはマリーと呼んでと言ったのでそう呼ぶことにした。
「でねフィー、あなた何でこんなところで倒れてたの?誰か一緒の人は?」
どう答えよう、たぶん異世界からきて気づいたらここにいましたという訳にはいかないし。
「・・・えっと、わからない?」
おもわず疑問系で返してしまった。
「わたしが聞いるから質問で返すと困るんだけどな」
デスヨネー。どうしよう・・・
あっ!このまま記憶喪失って事にしよう、頭いいな俺。
「えっと、なんか記憶が思い出せなくって・・・」
「記憶喪失ってこと?」
「・・・・たぶんそう、名前くらいしか思い出せない」
マリーはそっかと納得してくれた、ホントいい子だな。
「じゃあフィー、とりあえずうちにこない?」
「なんで?」
「だって記憶がないんでしょ?ここは魔物もでてくるし、フィーみたいな女の子をおいてはいけないもの」
この子はいい子だな、もはや聖母ではと思うくらいだよ。
とりあえずここにいてもあれな感じだし、お言葉に甘えることにしよう。
いろいろ聞きたいこともあるしな。
「じゃあ、なんか図々しいようであれだけどマリーの家にいってかまわないかな?」
「ええ、もちろん!」
満面の笑みを向けたマリーは俺に手を貸して立ち上がり、歩き出すマリーにつれられ後をついていくことにした。
歩きながらふと俺のステータスはどうなっているのか、どれくらいゲームと同じ事ができるのかと確認するためコマンドを小さくつぶやいた。
「システムオープン」
すると目の前に半透明のメニューウィンドウが現れた。
レベルは359、職業魔導士/魔導技師。
ライフ28000魔力55600と高スペックな数字が表示されていた。
あと俺―――というかネフィリムは、魔法職のくせに物理攻撃力が高いので接近戦もしようと思えばできる。
レベルの上限はゲームと同じなら300、限界突破して500までである。
さらにアイテムボックスは空、装備も布の服などの初期装備とワンドしかなかった。
どうやら本人ステータスは《イストラティス・オンライン》で使っていた俺のアバターと同じで、それ以外の装備や道具類は失ったようだ。
あの装備そろえるの結構時間かかったんだがなぁ、まあ無い物はしょうがない。
最後に一番下にあったはずの設定画面はなく、その中にあったログアウトも使えない。
やはりここから出れないのなら(あっても出るつもりはないが)この世界の生活を楽しむことにしよう。
俺はメニューウィンドウを閉じた。
「フィー、すごく静かだけどちゃんとついてきてる?」
どうせ願っていた非日常なんだし役になりきるってのも悪くないだろう。
「ああ大丈夫だ、問題ない」
・・・・・・これは別に狙ったわけじゃない、・・・ホントだよ?