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「ただいまより、合同チュートリアルを行います。5秒後に皆様を訓練場へと転送させていただきます」
走り出した直後にアナウンスをされ、思わずずっこけそうになる恭祐である。
とりあえず立ち止まり、転移されるのを待つ。
数秒後、一瞬の浮遊感と共に景色が切り替わった。
円形のグラウンドの周りには観客席があり、まるでコロッセオのようだ。
それなりの広さはあるが、ここに8万人もの人が入れるようには思えない。
「現在、各国ごとにエリアを分けさせていただいています。それでは、合同チュートリアルを開始する前に、今一度このゲームについて重要な部分を説明させていただきます」
そのアナウンスと同時に、空中に巨大なウィンドウが表示される。
その中には、白いフードをつけた女性が写し出されている。
「ご存じの通り、このゲームはβ版となっております。皆様には、バグなどの報告義務がありますので、見つけた場合には済みかに運営へ報告をお願いします。重度の場合は皆様を強制ログアウトさせていただく場合もありますので、ご了承願います。また、バグを見つけたにも関わらず報告せず、そのままゲームを続行された場合なんらかのペナルティを設けさせていただきます」
この辺りは、契約書にも書かれていたことなので、不満の声が上がることはない。
少し間を開けて、女性は続けた。
「それでは、合同チュートリアルを開始いたします。まずは、右手を縦に振ってください。メニューが表示されます」
試しに降ってみると、そこには3つのウィンドウが表示される。
左側には現在装備中のアイテム。
中央には自分の今のアバターの格好。
右側には各種メニューが並んでいる。
「メニューの2番目にあります、装備のアイコンをタッチしてください」
さわってみれば、右側のウィンドウが一度閉じ、その後に新しいウィンドウが開く。
そこにはいくつかの装備品が並んでいる。
「皆様が選択された職業にそった武器、防具がありますので、それを左側の各部位にドラッグしてください」
ショートソードを右手にドラッグすると、中央のアバターの腰にショートソードが装備される。
自分の腰を見ると、そこにはショートソードが装備されていた。
残りの防具もそれぞれの場所へと装備させていく。
「次にアイテムの使用方法です。右メニューのアイテムのアイコンをタッチしたあと、使用したいアイテムを選択し使うのアイコンを押せば使用することができます」
その後も基本的なチュートリアルが進められていく。
VRMMOというのは、漫画やアニメでは題材にされているが、実際に使うのは初めてである。
1つ1つの動作に感動しながら、恭祐もチュートリアルを進めた。
「以上で合同チュートリアルを終了いたします。5秒後に皆様を噴水広場へと転送させていただきます」
ここへ転送されたように数秒後、一瞬の浮遊感と共に景色が切り替わった。
噴水広場の景色に見とれていると、チリーンと鈴の様な音が響く。
この音はメールが届いた音だ。
右手を降ってメニューを開き、メールのアイコンをタッチする。
差出人は妹の名前だ。
開いてみれば、合流したいから今の場所を教えろとのことだった。
噴水広場にいると書いてメールを送信。
妹が来るまで、メニューにあるヘルプを読むことにした。
約2年ぶりの更新になります。
もしまだブックマークに登録してくださっていた方がいましたら、感謝感激です。
これからは多少時間に余裕があるので、少しづつ更新していきたいとおもいます。
それにしても、説明ばかりでまだ主人公が一言も話してない……。