プロローグ
うまく文章は書けず、更新も遅いですが、この作品で青春を感じて頂ければ嬉しいです。
幼い頃の俺は、父に連れられてよく演劇を見に行っていた。
大きい劇団では広い大ホール場で公演が行われ、舞台役者が素早く入れ替わる立ち振る舞いでは、子供の俺から見たらマジックでもしているかのように思えた。
舞台役者が様々な表情で役を演じる姿はとても輝いて見え、舞台という場所がとても現実ではない別の世界を見ている気分だった。
ストーリーによっては戯曲をモチーフにしたり、昔から存在する話を元にした舞台をしていて、子供の俺には難しくて正直内容は理解出来なかったが、それでも何か心の奥に光を与えてくれる存在だった。
父は昔から演劇が好きで、高校時代は演劇部に入り、大学では演劇サークルなどに所属してボランティアなどで老人ホームや保育園などで公演を行っていた。
若い頃は小規模ながも小さな劇団で役者をしていた事もあったが、今では出版社に勤めて編集長という肩書きで働いている。
その出版社での父の編集部では、数ある劇団の紹介や公演などを記載した専門雑誌を作っており、そのお陰かよく公演のチケットを貰っていた。 まあそれで演劇を観賞する機会が多くあったのだが、今の俺はこれといって昔のように演劇に対する興味が無くなっていた。
成長して物心がつくと、他にも色々な興味を湧くものが溢れ、演劇には目が行かなくなっていた。
そうなると演劇を見る機会は減り、見に行こうと誘う父の言葉を断るのが多くなった。
それ以来、父が誘う事は少なくなり、俺が高校生となった今ではもはや誘う事すらしなくなった。
そして高校に入って役3ヶ月を過ぎて、そろそろ夏休みが始まるという時期になった頃、俺はある1人の女子生徒によってまた演劇というものに関わる事になった。