過去ー5、4、3年前ー
ある日、夢を見た。
少女が記憶を探す旅に出るという夢だった。
そういうファンタジーとかには興味はなかったのに。
それから一週間経っても私はその夢を忘れず頭の中に残っていた。
(どうせなら小説みたく書こうかな。旅も中途半端だったし)
今考えれば、そう思わなければ私は別の人生を歩んでいたかもしれない。
それから一年かけて私は少女の旅を書いた。
基本の世界から全て専門用語にしたので、作るのが大変だったけど苦ではなかった。
因みに、その物語の世界…現実で言う地球の名前は『サクラ』。
これはただ単に私が好きだから付けた。
そして、この旅もそろそろ終わりに近づいた頃。
衝撃の日にケンカした友達が
「来年の7月に、誰でも参加できる小説の大賞を決めるイベントがあるらしいけど出てみれば?中々面白いし。少女の旅」
彼女には今まで私が書いた内容を全て見てもらってて、ときにはアドバイスや提案をしてくれている。
「で、でも…」
「いいじゃない!応募するだけならタダよ。実力を試すのはもってこいじゃない!」
…確かにそうだ。
やるだけやってみよう。
そう思い、来年のために少女の旅を書き進めた。
そして、一年後の4月。
新しい環境で生活をして2週間ほど経った。
私は赤いポストの前に立っている。
この手に持っている
『少女の旅』を書き始めた頃を思い出す…。
(はぁ色々あったな〜。ここは一つの登竜門よ!頑張れ私!)
深呼吸をして『少女の旅』をポストに入れた。
「お〜い!早くしないと学校遅れちゃうよ〜」
私を呼ぶ声がする。
大学で出来た友達で、道が一緒なので行きと帰りにいつも喋りながら歩いている。
今日はなんだか嬉しい気持ちでいっぱいだった。