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M-01(モデル-ゼロワン)──時を超えた約束  作者: とろろ
第1章

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第7話 USBの正体

すると突然、デイヴのネックレスの先のUSBから眩く蒼白い光が放出されたかと思うと、彼の体が宙に浮き始めた。


「えええええーーーーーーっ!?」


そして、USBがまるで磁石のようにアンドロイドの方へと強く引き寄せられていった。


「うわぁあああーーーーーっ!!!」


USBがアンドロイドに接触した途端、蒼白い強烈な光と共に小爆発のようなものが発生し、一同は皆顔を覆った──。


──────────────────


気がつくと、デイヴは晴天の下、見晴らしの良い草原の上に立っていた。


(あれ?僕は隊長の家の中にいたはずじゃ…?)


すると、目の前には彼より少し歳下と思われる少年、少女が3人ほど前方から歩いてきた。


「俺の夢はなぁ…聞いて驚くなよ!世界一の発明家になって世間をアッと言わせることだ!」


少年のうちの1人が声高らかに、そして自慢げに2人に話す。


「不器用で無鉄砲なライアンが?」


1人の少年が腹を抱えて笑い出す。


(え?ライアン…?でも、どうして子供?僕は過去に飛ばされたのか?)


デイヴが思考を巡らす。


すると、ライアンと呼ばれた少年はもう1人の少年を肩でどつくと言った。


「じゃあ、テイラー、お前の夢は何なんだよ?」


「俺の夢?うーんと…」


少年は少し下を向き、考えると口を開いた。


「争いのない、平和な世の中をつくること。へへへ…。変かな?」


テイラーというその少年は、はにかみながら照れくさそうに頭を掻いた。


「はぁ?!」


ライアンは口をあんぐりと開けた。


「そんなの…俺の夢がちっぽけに見えるじゃねーか。」


その様子を少女は微笑ましそうに見つめる。


「ところでエリサ。君の夢は?」


テイラーが少女の方に目を向ける。


「…内緒。」


彼女は2人よりも先をスキップしながら小悪魔的な笑みを浮かべた。


「なぁーんだ、つまんねーの。」


ライアンが大きく伸びをする。


テイラーが彼らに笑いかけた──。


突然、デイヴの周りの空間がとてつも無い速さで動き始めたかと思うと、次に彼が立っていたのは真夜中の屋敷であった。


「あっ!!!」


彼は思わず声を上げた。


彼の目の前に広がっていたのは、吐血し、満身創痍のテイラーが紳士に向かって飛びかかっていき、そのまま一緒に落下している光景だった。


彼は力一杯手を伸ばそうとするが向こうには少しも届かない。


「うわぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」


──────────────────


気がつくと、彼は元のライアンの作業部屋の床の上に横になっていた。


仲間たち全員が彼のことを見下ろしている。


そして、その傍には現在のライアンの姿があった。


「大丈夫か。もう少しで危ないところだった。」


ライアンは落ち着いた口調で言った。


「僕は…今まで…一体…?」


デイヴはまだクラクラする頭を抑えながら、ゆっくりと起き上がる。


「あの…信じられないことかもしれませんが、僕…過去の兄ちゃんやあなたに会ったんです。」


それを聞いて、ライアンは目を丸くし、深く黙り込むと再び口を開いた。


「原因は、おそらく君のネックレスだろう。」


ライアンは静かにデイヴの胸に光る物体を指差した。


「それはUSBメモリのように見えるが、実は似て非なるものだ。」


「えっ?!」


デイヴは思わず目を丸くして、チャームを見つめる。


ライアンは静かに話を続ける。


「そのUSBはおそらくミレクリスタルで出来ている。そして、厄介なことに私の開発途中であった《《ヒト型マシン》》に共鳴してしまったようだ…。」


「ヒト型マシン?」


その場の全員が口を揃えて目の前のアンドロイドを見る。


「はぁ….。」


深いため息をつくとライアンは話を続けた。


「出来るだけ隠しておくつもりであったのだが。何しろ、こんな馬鹿げた研究をしているのはおそらく世界中を探しても私くらいだろうからね。しかし、見られてしまったからには仕方がない。私は5年前の事件で痛感した。人の儚さ、そして己の無力さを。だから、私の全頭脳、技術を駆使してでも《《ヒトの限界を超えた存在》》を創り出す、という禁忌にとうとう手を出してしまった。」


ライアンは頭を抱え、うなだれる。


デイヴたちは真剣な眼差しで彼を見つめる。


ライアンは話を続ける。


「しかし、現実はそう甘くはなかった。私はミレクリスタルを主導力にして、このヒト型マシンを何とか動かそうとしたが、ピクリとも動かなかった。何が足りなかったと思う?《《人の心》》だよ。」


そして、デイヴのネックレスにもう一度目をやる。


「テイラーは記憶障害に酷く苦しんでいた。あいつは人前では決して弱いところを見せないから、いつも平気そうに振る舞っていた。だが、俺には痛いほど奴の苦しみが伝わってきた。彼は《《忘れたくない》》という強い想いから、無意識のうちにミレクリスタルをUSB型に掘り、彼の精一杯の《《記憶》》を込めてお前に託したのだろう。」


そして、彼は再びアンドロイドを指差し、


「今、このヒト型マシンは己に足りなかった《《最後のパーツ》》をようやく見つけ、自ら引き寄せたんだ。」


ライアンは顔を一同の方に向き直すと、


「私はこの発明をしてしまったことを後悔している。もうこれからは絶対に過去に囚われないで生きていこう。これは、明日にでも完全にスクラップにする予定だ。すまないが、今日は帰ってくれないか?」



今日この家で聞いたことを絶対に他言しない、ということをライアンに念を押され、4人は彼の家を後にした。


「これが、まさかUSBメモリじゃなかったなんて。だから、解析しようとしても出来なかったんだ。」


デイヴはそっと呟き、ネックレスを握りしめる。


その頃、1人自室に残ったライアンは椅子に静かに腰掛ける。


「テイラー、俺はお前のように強くはない。」


ボソッと呟き、一筋の涙が彼の頬をつたった。


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