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M-01(モデル-ゼロワン)──時を超えた約束  作者: とろろ
第1章

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第13話 死界の決闘

デイヴが身を隠しながら中の様子を伺っていると、一人の男の大声が響いた。


「祈りの時間だ!」


共同の大部屋で休憩していたボロ服の男たちは天を仰ぎ手を合わせ始めた。


テイラーは手錠をかけられ、中央の柱に繋がれている。


彼は依然、ボーッとした表情で空を見つめている。


デイヴは男たちが手を合わせている対象を見ようとしたが、彼の位置からはよく見えなかった。


すると、1人の女性がどこからともなく現れ、テイラーの前で立ち止まった。


「苦しいですか?辛いですか?」


その女性は前屈みでテイラーに話しかけた。


テイラーは憔悴しきり、やつれて頬がこけた顔を力無く女性の方へと向けた。


「・・・・。」


女性は少し微笑むと話を続けた。


「これは、神からあなたへ与えられた《《試練》》なのですよ。今のあなたには何も分からないかもしれませんが、あなたは現世において業を犯してしまった。豪族が世界を統治し、貧しき人々がそれに順ずるというのは当然の理なのです。ですが、あなたはあろうことか社会秩序に逆らい、貧民の身分でありながら豪族ルーカス・ブランフォードと共に心中してしまった。これはとても罪深きことなのですよ。あなたはこれからも罪を償ってゆかねばならないのです。」


女性は監督官に鞭を持って来させると、テイラーに対して鞭打ちを命じた。


鋭く響く鞭の音。


テイラーの叫び声がこだまする。


デイヴは兄を直視することが出来なかった。


鞭打ちが終了し、女性は側近の男に合図をした。


側近は大声で叫ぶ。


「これから我らの神に生け贄を捧げる!」


部下の男たちは大広間の両側に二つの小さな牢を用意した。


それぞれの牢には1人ずつ人が入れられていた。


(あっ!!!!)


デイヴは思わず息を呑んだ。


牢に入れられていたのは、ドンとカズだったからだ。


「これから、《《決闘》》が始まるぞ!!!」  


「特等席で観るのは俺だ!!!」


ボロ服の男たちは我先に、と他者を押し除けて大広間に集まってきた。


(決闘だって?!)


デイヴは状況が飲み込めなかった。


女性の側近の男は、皆の前へと進み出た。


「これから決闘をするのは、たった今、現世から連れて来られたばかりの生人だ。決闘で勝利した方の少年の脊髄液を神に献上する。」


牢の鍵が開けられた。


ドンとカズは目の前の光景、そして今自分たちが置かれている状況を察したのか、足が震えて前に進むことが出来ない。


彼らの目の前に剣と盾が置かれた。


「さぁ、少年たちよ、《《殺し合う》》のだ!!!」


側近の男が威勢よく叫ぶ。


「こ、殺し合えだって????」


「ぼ、僕たち友達なんです…そんなこと出来ません…。」


ドンとカズの声が震えている。


すると、側近は部下に命令し、謎の装置から怪電波を彼らの方へ向けて発生させた。


「殺し合うのだ!!!!!」


怪電波を聞くや否や、ドンとカズの瞳から光が見る見るうちに消えてしまった。  


それどころか、二人の顔からは笑みすら溢れていた。


「はい…。」


「仰せのままに…。」


彼らは先程の戸惑いが嘘のように軽やかに前へと進み出て剣と盾を受け取った。


大広間は熱狂の渦に巻き込まれている。


(二人とも、何を考えてるんだ…!!!やめるんだ…!!!)


デイヴの心の中は、目の前で友人たちが互いを殺そうとするのを見ているだけで止められない無力感で満ちた。


彼は声を上げようとしたが、不思議な力に阻まれてしまい何故か声を出すことも出来なかった。


それどころか、彼は"こういうものなのかもしれない"と、この状況を肯定し始めていた。


激しくぶつかる剣と剣の刃音が響き渡った。


ドンとカズの表情は狂気に満ちていて、お互いの剣先が身体を掠っても痛みの表情すら浮かべない。


しかし、体格が大きく、力の強いドンの勝利が誰の目にも明らかだった。


大広間の熱気は最高潮に達していた。


カズの剣が遠くに弾き飛ばされ、ドンの刃がカズの身体を貫こうとしたその時──。


デイヴのネックレスに付いたミレクリスタルが蒼白く光り輝き、光線を放ったかと思うと柱に錠で繋がれているテイラーの身体を貫いた。


テイラーの目には先程までの虚ろさは消え、生前の時のような凛々しい表情が戻った。


彼は常人とは思えないような凄まじい力で一瞬にして手錠を引きちぎった。


ドゴォォォォォン!!!!!!!


勢いで柱が崩れる。


カズを刺そうとするドンの剣がピタッと止まる。


人々は物凄い地響きがする方へと視点を一点集中させた。


煙の向こうからゆっくりと歩いてきたのは、全盛期の頃の面影を宿したテイラーだった。


「ヤメロ…デイヴノ…トモダチヲ…キズツケルナ!!!」

(やめろ…デイヴの友達を傷つけるな!!!)


司祭の女は彼のあまりの気迫に圧倒されかけたが、急いで自分を取り繕った。


「お前は、テイラーではないな?」


「オレハ、モウヒトリノテイラー、M-01(モデル-ゼロワン)ダ…!」

(俺はもう一人のテイラー、M-01だ…!)

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