第10話 近道
デイヴ、ドン、カズ、ジェシカの4人で旅に出てから一週間が経過していた。
デイヴのペンダントの修理屋がいるという街までの道のりは遠い。
──ある夜のこと。
「どうしたの?」
焚き火を皆で囲んでいた時にジェシカがデイヴに話しかけた。
デイヴはペンダントの先に付いているミレクリスタルをじっと見つめていた。
「ううん。何でもないよ。」
彼はぎこちなく笑い返した。
彼のその視線は彼の横でじっとしているM
-01に移った。
M-01は最長15時間は連続稼働することが可能だが、15時間ごとにエネルギーをペンダントに戻し、ペンダントのミレクリスタルの中で充電することが必要なのだ。
通常は心を持たない無機物にしかエネルギーを供給しないミレクリスタル。
それが、ロボットに心を宿すという奇跡を起こしたことに彼はまだ実感を持てないでいた。
しかも、何故かM-01のエネルギーはペンダントで再充電可能だ。
ミレクリスタルは通常、一度使うと輝きを失い、二度とエネルギーを取り出すことが不可能になる。
よって、人々はミレクリスタルが無くなるごとに他者から購入するか、自分で新たに採掘するかせねばならない。
数十年前までは、この鉱石はこの星に潤沢に存在していた。
しかし、この鉱石も今や殆ど取り尽くされ、人々は唯一のエネルギー供給源の枯渇に苦しんでいる。
豪族が経営している悪徳企業が、この鉱石の採掘権、販売権を独占し、正規のルートでは高額で取引されているためだ。
それがミレクリスタルが希少といわれている所以だ。
デイヴのコミュニティでも、義賊の活躍無しには貧民街の人々は生活が困難となっている。
(何故、兄ちゃんのクリスタルは復活するのだろう…?)
この旅の中で、この理由も彼の記憶の全てと共に解明することが出来るだろうか。
(絶対、大丈夫。)
彼はそう自分に言い聞かせると、決意を新たにぐっとペンダントを握りしめた。
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皆が寝静まった夜、彼らの近くの岩場の陰で話している者たちがいた。
「"計画"を実行するなら今です。」
「今はまだ待って。」
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──翌朝。
デイヴはM-01に向かってペンダントをかざし、一晩ミレクリスタルに充電したエネルギーを再び彼に戻す。
「起きて、兄ちゃん。」
M-01の目に再び光が灯る。
「デイヴ、キケンハナイカ?」
(デイヴ、危険はないか?)
「さぁ、出発だ!」
一行は再び旅路を歩き出す。
──歩き始めてから数時間が経過。
「街まで遠いなぁ。あとどんだけ歩かなきゃいけないんだよ。」
ドンが退屈そうに腕を振り回す。
「まだ、全体の十分の一も行ってないね。僕たち。」
カズが地図と現在地を照らし合わせながら言った。
「近道でも無いかなぁ。」
ドンが欠伸をしながら、うーんと伸びをしたその時、ジェシカが皆の前に進み出て言った。
「近道なら、無いこともないよ。」




