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【反・神説】背徳の獣  作者: 緋宮 咲梗
section,Ⅲ:悪の溜まり場編
23/24

episode,Ⅹ:悪意なき悪なる罪

【登場人物】

釘鎹聖綴(くぎかすがいさとと)(12歳)……身長142cm。赤ん坊の頃、自動車事故により両親を失った唯一の生き残りでキリスト教児童保護施設から脱走し無意識にスラム街に辿り着き、仲良くなったヴェルハルトと犯罪に手を染めながらも人生を謳歌していく。しかし、突然の暴走車にはねられ呆気なく死亡する。


(ひいらぎ)ヴェルハルト(14歳)……身長166cm。日本人の母とフィンランド人の父を持つハーフだが父親を病で失って以来、五人姉弟の真ん中だが居場所を失い家出をしてスラム街で生きていたが聖綴を拾ってその兄貴分となる。聖綴を失ってからは一匹狼として生きる。父の影響でキリスト教信者だが神を信じてはいない。碧眼に長い金髪を後ろ一つに結んだヘアスタイル。


*ナムウドッグ=チリプス・ナタスレグアトサエブ(年齢不詳)……身長198cm。釘鎹聖綴(くぎかすがいさとと)という少年の人生を生きた核なる存在。美麗と醜悪が混ざった外見をしている。自分の存在に疑問を抱く。


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 第七圏谷の第三円環の中では、亡者は泣き喚きその皮膚は火の熱で(ただ)れ更にその箇所を火が降り注いでは、繰り返し焼いた。

 火で焼かれて熱くなっている砂地を、その火の熱にて気がおかしくなって悶絶し、転げ回っている者が多くいた。

 火傷の痛みで耐え切れず頭髪を掻き(むし)り、そのせいで頭から流血もしていた。

 釘鎹聖綴(くぎかすがいさとと)は平然としていたが、(ひいらぎ)ヴェルハルトは顔を顰めずにはいられなかった。

 すると遠くから何か音が聞こえてきた。

 距離が近付くにつれ、その音がどんどん轟音になってきた。

 (やが)てその轟音が全身にくまなく響いてきた頃、その音の正体が把握出来た。

 それは沸騰した真っ赤な血の滝だった。

 この滝は、第七圏谷第一円環を形成している血の川プレゲトンが地中に浸透し、第二円環自殺者の森の地中を流れその土手から湧き出ると第三円環の火炎砂漠へ滝となって、落流して中央に開いている大穴の中へと落水している。


「よし。第八圏谷に向かう為に、ここを降りようヴェル」


「えぇえぇぇーっ⁉ 滝壺へ飛び込むつもりか⁉ しかもこの血の滝、まだグツグツ煮え(たぎ)っていると言うのに‼」


「馬鹿言わないでよ。誰が滝壺なんかに飛び込むもんか! 翼を出して飛空で降りるんだよ!」


「ん? あ、ああ、成る程……聖綴の姿の時に、ナムウドッグの能力引き出して使う所は、まだ慣れねぇもんでな。人間のままの聖綴扱いをしちまう」


「そうだろうとも」


 軽く頭を掻いて述べたヴェルハルトに、聖綴もそう答えた。

 そう答えているこの聖綴の発言も行動も、実際は中身はナムウドッグ本人が演じているのだが。

 あくまでも、ヴェルハルトの為だけに。

 そうして聖綴は背中を丸めると、ナムウドッグの歪な翼が出現した。


「……ナムウドッグの時と比べたら翼が小さいけど、それで俺を抱えて飛べるのかよ? 聖綴」


「身長のサイズに合わせてるから翼が小さいんだと思うし、ヴェルを運ぶ事には問題ないだろうね。まぁ、あのキューピッドがあのサイズの翼で飛べるくらいだから、大丈夫っしょ」


「……キューピッドって、あの食品メーカーでお馴染みのキューピッド?」


「うん」


「え、あれ、翼あるんだ?」


「……ついでに教えておくけど、キューピッドも天使だからね。下等だけれど」


「え゛っ⁉ そうだったのか‼」


「大半がヴェルと同じ反応するだろうから、今更得意げに自慢するつもりもないけれど」


 言うと聖綴はヴェルハルトの元に歩み寄るや、彼をグイッと引き寄せて抱きかかえた。


「……何か、自分より身長も年齢も低いお前から、抱きかかえられるのは何とも忍びないもんだぜ……」


「どうぞお気になさらずに~♪」


 聖綴は言うと、翼を羽ばたかせ浮き上がった。


「それじゃあ、いざ第八圏谷へ向かうよ~!」


 聖綴は声を弾ませると、第三円環の中央に開いている暗黒の穴へと飛び込んだ。

 こうして第八圏谷、"悪の溜まり場"に突入した聖綴とヴェルハルトの二人だったが、暗黒の中を下降飛行しなければならないので聖綴は注意深く下降している中、下の方から轟音を立てる滝壺の音や苦悩の叫び声が次第に近くなってきた。

 そして(ようや)く、悪の濠マレボルゼの谷底に到着し、足の爪先が地に付いた事を確認してから両足を着けると聖綴は、そっと腕の中のヴェルハルトを下ろした。

 そうして降り立った場所は、これまで巡って来た地獄よりも更に険しい所だった。

 場所は地獄の中で悪の濠(マレボルゼ)と呼ばれる所で、物皆全て、鉄色をした岩から成っていた。

 その周りを取り巻く崖も坂も同じ色をしている。

 それで高い絶壁と穴の間に円く土地が広がっているわけだが、その底の部分は十の濠に分かれている。

 地形を詳細に言うと、丁度城壁を守る様に城を順々に濠が取り巻いている様な形、それがここの姿だった。

 こうした城壁の門口から濠の外部の岩へ橋が架かっているが、ここでも岩壁の下から岩で出来た橋が、いくつもの堤や濠を越えて穴にまで通じ、そこで集まって穴の中へ曲がり込んでいる。

 この地獄の第一袋にいる罪人達は、二組に分けられていた。

 一つの群れは、他人の為に婦女を誘拐したり(たぶら)かした女達の行列で、もう一つの群れは自分の為に婦女を誘拐して犯した色魔達の行列だった。

 その二組の裸の罪人達が、悪魔達の(むち)で背中を打たれながら、対面した状態で黙々と歩き続けていた。

 つまり二つの列は互いに逆方向を、無言で歩かされているわけである。

 悪の袋と言う意味の"マルボルゼ"の第一袋では、女を(だま)して売り物にした亡者達と、女を騙して捨てた亡者達が、大きな鞭で打たれながら進んでいた。

 堀の上に架かった小橋を渡ると、そこは第二袋で地獄の中でも最も悪臭が酷い場所だった。

 その地獄には、糞尿の中に浸けられた亡者達がいた。

 それは男に()(へつら)う娼婦達だった。

 そしてまた、神イエスの奇跡の力を金で買おうとした者が訴えて来た。


「私は別に神になりたくてそうしたわけではない! ただ(ひとえ)に、力を分けてもらう事で何かと苦しむ人々を癒してあげたかった、それだけの事だ‼」


 これに何て答えていいのか分からずにヴェルハルトは黙っていると、その男は悪魔に腕を押さえつけられ、地面に掘った穴に逆さまに頭から入れられ脹脛(ふくらはぎ)の所まで埋められた。

 そしてその足の裏には火を点けられていた。

 苦しさと熱さで罪人はもがき苦しむ様子を見ながら、第四袋への橋を渡った。



ここまで読んでくださったあなたに歓喜の鞭を!←弩S(w

大変ありがとうございます‼

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