カツ太郎とカツ丼
20XX年、都内某所。
とあるマンションの一室で、少年が夕飯を食べようとしていた。
「よーし!今日の夕飯はこれだ!」
少年の名前は「カツ山 カツ太郎」
この街に住む小学五年生。
両親は共働きであまり家にいない。
それ故に、夕飯はいつも一人で食べていた。
「じゃじゃーん!カツ丼!スーパーで安く売ってたから買っちゃった!」
カツ太郎はルンルン気分で、カツ丼を電子レンジに入れる。
「いただきまーす!」
勢い良くカツ丼を食べるカツ太郎。
よほどお腹が空いていたのだろう。無理はない。
しかし、カツ太郎の表情は少し暗かった。
「…美味しくないな」
カツ太郎の口から言葉が漏れる。思わず、彼の箸が止まった。
「一人で食べるご飯って美味しくないんだ…」
カツ太郎の瞳に涙が溜まりだす。
その時だった。
カツ太郎の目の前で金色の眩しい閃光が突如として現れた。
「うわ!!一体なんだ!?」
眩い閃光の後、カツ太郎の目の前に一人の老人が現れた。
「私はカツ丼の仙人。カツ丼仙人だ。」
「カ、カツ丼仙人!?」
「いいか、カツ太郎。お前がそのカツ丼を美味しくないと感じるのは、お前が孤独だからではない。」
「ど、どういうこと…?」
「お前は本当のカツ丼を知らないだけなんじゃ。」
「本当の…カツ丼?」
「そう。本当のカツ丼が食いたいか?カツ太郎」
「カツ丼仙人…俺、食べたいよ!本当のカツ丼が食べたい!」
「そう言うと思ったぞ。では、お主にこれを渡そう」
「カツ丼仙人、これは何…?」
「カツ丼ソードじゃ。美味いカツ丼を食う為の必需品じゃ」
「カツ丼ソード……うわっ!」
カツ太郎が手に取ったカツ丼ソードが光り輝き、カツ太郎は思わず驚いてしまった。
「やはり君は、カツ丼に選ばれし子だったんじゃな…」
「カツ丼仙人!これは一体なんなの?」
「いいか、カツ太郎。お前は究極のカツ丼…いや、伝説のカツ丼を探しに行くのじゃ」
「伝説のカツ丼?」
「そうじゃ。そのカツ丼はお主だけでなく、この世界を救うために必要な物となるじゃろう」
「僕が…世界を救う?」
「そのカツ丼ソードが、お前を導いてくれる。さぁ、行くのじゃ!」
「カツ丼仙人!か、身体が!」
気づけば、カツ丼仙人の身体が透け、実体を保っていられなくなっていた。
「ワシもここまでか…行くのじゃ!カツ太郎!世界のために!カツ丼のために!」
「カツ丼せんにーん!!」
カツ丼仙人はそう言い残すと、優しい光となり、部屋の中で静かに消えた。
「カツ丼仙人…俺、行くよ!伝説のカツ丼を探しに行くよ!!」
涙を流しながら叫ぶカツ太郎。それに呼応するように、カツ太郎の握っていたカツ丼ソードが静かな闘志を燃やすように光り輝いていた。




