19.ドロップアイテム
「ヒナミー、そんなの持ってたか?」
手に入れた外套を羽織り、バサバサと仰いで遊んでいるとハルカから声をかけられたた。
「これはさっきのPvPの戦利品」
====================
レア度:☆☆☆★★★★★★★
名称:暗闇の外套
種別:装備品
防御力:280
耐久値:580
魔力伝導率:E+
装備条件:魔力700以上 耐久500以上
説明:脅威度2以上の機兵から採取できる繊維と品質Eの闇の水晶を材料に作られた外套。魔力攻撃に微補正。
====================
これはあれだ、闇の焔くんが身を包んでいた装備だ。彼を倒した時にドロップしたらしい。
「へぇ、外套なのに玉鋼の胸当てとそんなに変わらないな」
「その分だけ要求ステータスは多いわね」
確かにレア度は私のレベルと同じなのに、要求されるステータスは魔力と耐久それぞれ高かった。
同じレア度でも要求されるステータス値が高ければ高いほど、それだけ性能が良くなるのだろう。
少なくとも今の私にとっては嬉しい追加装備だ。
「胸当てと一緒に装備できるのが素晴らしい」
「なんか特に制限は無いっぽいよな」
「そうね、着けられるならいくらでも装備できる設定みたいね」
他のゲームだと胴体装備は一つだけしか装備できず、鎧と服という競合しない物でも同時には装備できないらしい。
しかしこのゲームでは服の上に鎧、さらにその上に外套など、盛ろうと思えばいくらでも重ね着する事が出来る。
ただ物理的に不可能な組み合わせや、上手く装備出来ても動きづらくなったりはするので、そこら辺は上手く調整されているのだとか。
まぁ、私の様に外套と胸当て程度だと全然デメリットは無いけど。
「ちなみに貴女、先頭を歩いているけれど何処に向かっているのか分かっているのかしら?」
「いや?」
「お前……」
ナナの質問に答えたらハルカから引かれてしまったので慌てて言い訳をする。
「いやだって、そもそも誰も帝都の場所なんて知らないでしょ? オーガスタスさんも特に何も言って来なかったし、今までと同じ方角に行けば何とかなるかなぁって!」
「……まぁ、オーガスタスに質問もせずに着いて来てしまった私達も同罪ね」
「堂々と進むものだからついな」
「ご、ごめん……」
二人のフォローが心に刺さるぜ。
「それでどうする? 引き返す?」
「そうだなぁ、何の当てもなく彷徨っても良い事ねぇだろうし」
引き返して、また改めてオーガスタス達に街の方角とか聞いてみようと話が纏まった直後――私の耳に異音が届いた。
「待って、何か聞こえる」
「……これは、機械音か」
「敵が近くに居るのかも知れないわね」
三人で周囲を見渡していると、遠目に黒い集団が見えた。
「あれっぽい……けど、多いね」
「ちゃんとした部隊っぽいな」
今までは偶発的な遭遇というか、偵察兵や見回りに見付かってその場で戦闘という形だったけど、あれは違う。きちんと纏まって、何か目的があって動いている集団だ。
ちゃんと連携なんかも取って来るだろうし、そもそも数はそれだけで脅威になる。下手に刺激すると被害が出るだろう。
でも、私はそんな事は関係ないと思った。
「ねぇ、あれ追い掛けて狩らない?」
「どうしてよ?」
「機兵って人を襲うんでしょ? アイツらを追い掛けたら街か、奴らの拠点に辿り着くんじゃない?」
「……まぁ、その可能性はあるわね」
「ついでにスキルレベルを上げようぜ!」
「はぁ……」
私が游雲と戦った時の経験から、スキルレベルは自分よりも強い相手と戦うほど上がりやすいと考えられる。
游雲のような圧倒的な個を相手にする訳じゃないけど、そこそこの強さの奴ら複数を同時に相手にする事でもスキルレベルを上げられるんじゃないだろうか。
現状ではあの部隊の脅威度は分からないけど、星三つを下回る事は無いと思う。
「ウチはいいぜ! さっさとレベル5くらいにはなりてぇからな」
「……まぁ、そうね。この先も【True・historia】に絡まれるかも知れないのなら、少なくとも初心者を脱却したと言える程度の力は必要ね」
「決まったね! じゃあアイツら追い掛けてぶっ倒そうぜ!」
私も早くレベルを上げたいからね! 次はどんなスキルを取得しようか、実は今から楽しみなんだよね。
面白いと思って頂けたらブックマーク、評価、感想をよろしくお願いいたします!




