15.森の中
「倒せた?」
確認の為に機兵に触れ、インベントリに仕舞えるか試してみる。
「収納できた。倒せたっぽいよ」
ふぃ〜、急に遭遇するからちょっとビビったぜ。
「にしてもお前、火力すげぇな」
「自分でもビックリした」
「職業レベルに見合わないスキルレベルしてるものね」
チュートリアルで徘徊していたアイツには全然通用しなかったから、まさかここまで威力が出るとは思わなかった。
まぁでも、ハルカのナナのステータスを見る限り職業レベル3でスキルレベルが100になる事は無いっぽいからなぁ。
「初めての魔法も上手くいって良かったよ」
「魔法……? 殴ってなかったか……?」
「拳に魔法を纏わせて殴ったのね、この脳筋は」
いやだって、魔法を放つとか感覚が分かんないんだもん。現実では使った事ないし、現実の動作の延長線上にもないし。
「魔力放出のレベルが高いお陰でレベル1でも相当な威力になったみたいね」
「ほぇ〜」
「なんで本人が感心してるのよ」
だって、そこら辺まだよく理解してないんだもん。
そもそも魔力放出スキルだってダイスで決めたスキルであって、自分で選んだ訳じゃないんだよね。
「まぁ、いいわ。今度は慎重に偵察して来てちょうだい」
「りょ」
今度は急に飛び出さないように、少し様子を見てから樹上へと跳躍する。
「――お、森の切れ目発見!」
東の方に森の切れ目と、そこから続く道らしきモノも発見した。
早速下に降りて、ハルカとナナの二人に伝える。
「そう、なら当分はそこを目指し――なんかいっぱい来たわね」
「そういえばさっき倒したやつ偵察機らしい」
「なるほど、通信されてたのね」
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脅威度:☆☆★★★★★★★★
名称:Alice4435G
種別:歩兵
説明:C.C4435年に運用開始された汎用機兵。その森林適応ゲリラ型。森の中に隠れ潜む難民を狩るのが主な任務。
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「呪いあれ――、呪いあれ――、呪いあれ――」
ナナの呪いを含んだ水球が四方八方に弾け飛び、機兵の動きが分かりやすくガクッと鈍くなる。
その隙を見て、私とハルカが一斉同時に前に出た。
「意外と銃弾が痛い」
「一発一発はそこまでじゃねぇんだけどなぁ」
威力は低いんだけど、大量にばら撒かれるからチリツモで耐久値がそこそこ減っていく。
ただまぁ、敵自体は猛撃を使うまでもない拳の一発で沈んでいくから弾幕は徐々に減っている。
「魔法使いなんだから遠距離攻撃しろよ」
「む?」
ハルカに言われた通りに遠距離攻撃をしてみよう。魔力操作スキルが無いから難しいけど、魔力放出スキルはあるからぶっ放すだけなら出来るはず。
拳に魔力を纏わせるのと同じ感覚で良いはずだ……纏わせた魔力を魔術で雷と冷気に変換して溜め、そして後はそれを思いっ切り撃ち出す。
「とりゃあ!」
【※※※※――】
目にも留まらぬ速さで撃ち出された魔術は通り道にあった銃弾を消滅させ、木々を抉り取り、機兵の胴体に大きな風穴を空けても止まらず、デタラメな軌道を描いて森の奥へと消えて行った。
「…………よし! 拳で殴るか!」
「そうだな、誤射されたら怖い」
「次レベルアップしたら魔力操作スキルを取りなさい」
「うい」
ナナが動きを鈍らせ、私とハルカで始末していく。そう時間も掛からず近場の敵は掃討できた。
「今度こそ終わりか?」
「視界が悪くて分からないわね」
「今のうちに移動しようよ」
倒した敵を手分けして収納し、周囲を警戒しながら移動を開始する。
相変わらず歩きづらい環境で足を取られそうになるし、時折急に敵が顔を出したりするので気が抜けない。
森林地帯に適応した迷彩を採用した敵など、本当に何時どこに現れるのか分からない上に、攻撃されているのに場所が掴めないなんて事もザラだった。
「なんか、索敵できるスキルも欲しくなるね」
「適正じゃなさそうだけれどね」
「戦士、魔法使い、呪術師……そういうのに向いてなさそうだなぁ」
なんか無いのかなぁとちょっとスキル一覧を調べてみる。
「お、魔力察知とか気配察知とかあるよ。魔力察知は魔法使いの適正っぽい」
「へぇ、じゃあ呪術師でも覚えられそうかしら」
「気配察知は戦士に適正があんのかな」
他にも直感とか、危険察知とか、うわぁいっぱいある。逆に隠蔽や隠密も見付かるし、私の思ってた以上のスキルっていうのは数があるらしい。
でも欲しいスキル全部を取得できる訳じゃないんだよなぁ……厳選しないと、枠が足りないよ。
「おっと、ビックリした」
余所見していたせいか発見が遅れた敵と鉢合わせになり、咄嗟に出た拳で頭部を破壊した。
「……スキルを調べるのは森を出てからにしましょう」
「それもそうだな」
「はーい」
減った耐久値はナナが癒術で治してくれるとはいえ、あんまり気を抜き過ぎるのは良くないからね。
それからは言葉少なめに、敵に発見されたら速攻で倒してさっさとその場を移動するという事を繰り返して森の外を目指した。
「お、道に出た」
「この林道を進めば森から出られそうね」
「……道の隣を歩いた方が良いんじゃねぇか?」
上空を指差すハルカに促され、ナナと二人で空を見上げる。
「最初に遭遇したのと同じやつかしら?」
「偵察機だね、道をそのまま歩いたらすぐ見付かりそう」
「道に沿うように、木々に隠れながら進みましょう」
その言葉に同意を示し、コソコソと空から見付からない様に移動する。
「……何を探してんだろ、やっぱり難民かな」
「……かも知れないわね」
敵のステータス画面に表示される説明文とか、ちょっと嫌な想像をさせる内容だったからね。
「私たちを探してるかもよ? 偵察機に一回見付かったし、それからも何体か敵を倒したから」
「その可能性もあるわね」
「だといいな」
まぁ、私たちと遭遇したのは偶然でしかないから希望的観測だけど。
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