9.レベル2
「よっしゃー! レベルアップしたどー!」
もう何十回周回したか分かんないけど、やっと魔法使いレベル2になったぜー!
「Aliceなんちゃらを全員ぶっ潰すよりも游雲の野郎を一発ぶん殴る方が経験値が多かったのがアレだけど」
でもまぁ、そのお陰でレベルアップしたんだから今は文句は言うまい。
そしてレベルが上がった事で新たに二つのスキルを取得できるようになったけど、さてどのスキルを選ぼうか。
……なんて、実はもう決まってるんだけどね。
「よし! 私が新しく取得するスキルは〝疾走〟と〝跳躍〟だ!」
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PN:HINAMI・L
性別:女性
種族:鬼人
職業:魔法使いLv.2(30/100)
筋力:654
耐久:216/216
知力:100
魔力:280/280
技量:190
敏捷:112
幸運:100
状態:通常
スキルスロット
◇格闘術Lv.28
◇怪力Lv.29
◇強撃Lv.30
◆魔力放出Lv.30
◇疾走Lv.1
◇跳躍Lv.1
ユニークスキル
なし
称号
なし
運命
未定
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【疾走】
会得条件 :なし
レベルアップ時:敏捷+8
解説 :レベルに応じて動作速度と逃走にプラス微補正 スキルとして使用すると一定方向に瞬間的に移動する事が出来る
【跳躍】
会得条件 :なし
レベルアップ時:敏捷+4 筋力+2 技量+2
解説 :レベルに応じて跳躍距離と跳躍高度の最大値にプラス微補正 スキルとして使用すると瞬間的に跳躍する事が出来る
「あっはっはっはっ!」
うん、やっちまった感があるが後悔はない! あのケンタウロス野郎をぶっ飛ばす為なら後悔はない!
今の目標はあの野郎に二発目をぶち込める様になる事だぜ!
「早速試運転――うおっ!?」
疾走スキルを使ってみた途端一気に視界がグンって感じで移動してビックリした。
移動距離はまだそんなに無いけど、これは瞬間的な回避に使えそうだ。
「跳躍は――おぉ!」
これは楽しい! めっちゃ視界が高くなった!
「ほっ! はっ! ふん!」
何度もぴょんぴょん飛び跳ねてみる。全然飽きないこれ。
「これで高い位置にあるアイツの顔をぶん殴れるな」
まぁ、その為にはアイツの速度に最低限ついていける様にならなきゃいけないけど。
「よし、ぶん殴れるまで頑張ろう」
春香:チュートリアルクリアした?
雛美:まだだぜ!
奈々:レベルは? 上がったの?
雛美:上がったぜ!
春香:なんのスキル取得したんだ?
雛美:疾走と跳躍
奈々:はぁ?
春香:いやなんでだよ!?
雛美:ヤツの顔面をぶん殴る為に速さが必要だった
春香:そうかー、なら仕方ねぇなー
奈々:呆れた
雛美:私はやらなきゃいけない事があるから二人は先に進んでていいよ
奈々:そうさせて貰うわ
春香:早くぶん殴って追い付いてこいよー
ゲームを始めてからもう一週間は経過していた。
それなのに、私は未だにチュートリアルクエストから出られていない。
一緒に遊ぶ約束をしていた二人にも悪いとは思っているが、私の負けず嫌いの心に火がついたのだから仕方がないのだ。
それに、もう少しで二発目をぶち込めそうな予感がしている。
「アイツぶん殴るとマジで経験値効率が良いんだよなぁ」
たった一発だけ、それもほぼ自爆攻撃みたいなもんなのに、その他の機兵を全員倒すよりもスキルレベルが早く上がる。
まぁ、それだけ今の私とアイツに力の差があるって事なんだろうけど。
「絶対に一回のループで二発目をぶち込んでやるし、その生意気な顔面をぶん殴ってやるからな」
アイツに何度殺されたか分からない。この借りは必ず返す。
そんな決意を新たに、私は休憩を終えて再度ゲームにログインした。
「なんだあれは?」
「ありゃ何処の子だ?」
「ちょっと村長を呼んだ方が良いんじゃない?」
「何してんだ?」
段々と私の周囲に村人達が集まって来ているのが分かる。
彼らは私を遠巻きに囲み、ヒソヒソと言葉を交わし合っていた。
まぁ、それも仕方ないだろう。だって、アイツが現れる時刻になるまで暇だからと村のクリスタルの周囲で疾走と跳躍を繰り返しているのだから。
「あともう少しで時間だな」
敏捷が上がり、さらには移動にも使えるスキルを二つも手に入れた事で私の行動速度は格段に上がった。
徘徊系ボスが現れるまでに余裕をもって雑魚機兵を片付け、暇な時間にスキルの特訓を出来るくらいの余裕が生まれたのだ。
シャドーボクシングで格闘術を鍛えながら、魔力放出を併用しながら疾走や跳躍を行う。こうする事で無駄なく時間を使う事が出来る。
特に魔力放出と併用すると、想像以上に速く長く移動できるから楽しい。
「これ、そこの不審者」
「あ、村長だ」
修行を続けていたら村長さんに呼び止められてしまった。
「誰かは知らんが、余所者が村で好き勝手するな」
「そろそろ襲撃があるので避難していた方が良いですよ」
「お前は何を言っている?」
まぁ、そうだよねー、今の私に信用なんてないよねー、村を窮地から救った訳でもなければ村の中心で騒いでるだけの変な人だし。
「にしてもNPCだっけ? よく出来た反応だなぁ」
「NPC? なんだそれは?」
「あぁ、ごめんなさい。こっちの話です」
ビックリした。NPCって単語にもちゃんと反応するんだ……そこら辺はなぁなぁで流されるかと思った。
「なんでもいいが、この村で暴れるのは止めてくれ」
「あ、はい、すいません」
でもここだと時間ギリギリまで特訓できるしなぁ……とか思いつつ、そろそろ時間なので拳を構える。
「おい」
「村長さん、離れてて」
多分だけど、プレイヤーじゃない普通の人は衝撃だけで吹っ飛ばされると思うし。
「――〝疾走〟」
時間が来ると同時に、姿勢を低くしながら疾走で前方へと移動する。
「……ッ」
頭上スレスレを通り抜ける暴風に痛みを感じながらも、初撃の拳を避ける事に成功した。
「――〝強撃〟」
身体を捻り、振り向きざまに人馬機兵の伸び切った腕へと拳を振り上げる。
右手が壊れる感触がした。私の全力攻撃よりも奴の素の防御の方が上らしい。
「ひ、ひぃ!」
「逃げろ!」
村長含め、村人達が一斉に逃げ出すのを視界の端に捉えた。
「――〝跳躍〟」
腕を引き抜くよりも早く、その場から跳んで踏み付け攻撃を回避する。
大地が抉れ、幾つもの礫が身体中を穿っていくのも無視して前を向く。
「よぉ」
【……】
奴と目線の高さが合う――相手はしっかりとコチラへ視線を向けていた。
「――〝強撃〟」
壊れた右手の代わりに、左の拳で、これまで何度も何度も私を殴り殺してくれた野郎の顔をぶん殴る。
【※※※※】
「チッ」
今回はここで終わりか――そう理解した時にはもう、私は大きな両手に挟み潰されていた。
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